404話
凛達がポータルで移動した先のフーリガンにて
「いやー、かなりごり押しでの交渉になっちまったが、意外と何とかなるもんだな。」
「以前ガイウスさん達から王国についての話を聞いてたからね。それがなかったら今回程交渉を有利に進める事が出来なかったかも。」
「だな。とは言えあいつらはプライドが全てだからな。状況が不利になると黙るし、俺達へ頼もうにもそのプライドが邪魔しちまう。と言いつつ、こちらからわざと煽ったりして向こうが不利な状況に持ち込んだ訳なんだが…レオン様。不快な思いをさせてすまなかった。」
「良いって事よ。むしろ反対にレナードとか言う野郎の悔しがる表情を見れて清々した位だぜ。」
「あの…レオン様。先程仰った中で、金級や魔銀級の強さを持つ者達がいるって…。」
「ん?あれは本当の事だぞ。実を言うと、そこにいるゼノンとフィリップ教皇はアレックスと同じく神金級の聖人に、俺はナラシンハってのに進化しててな。他にも凛様の協力のおかげで、帝国、神国、獣国には神金級の奴もいたりするんだぜ。」
『………。』
話の途中でアレックスがレオンに対して申し訳なさそうにする場面があるものの、凛やレオンを交えて談笑を行っていた。
そこへパトリシアが恐る恐ると言った感じでレオンに尋ね、レオンはにやりと笑いながら説明する。
これにパトリシア達は絶句し、視線をレオンからゼノン達の所へ向けるのだが、ゼノン達は黙ったまま満足そうな表情で頷いていた。
それとレオン達の話には出て来なかったが、ポールは魔銀級の強さとなっていたりする。
その後、レオン達は凛に促されてフーリガンの人達への炊き出しの手伝い(と言っても既に出来ているポトフやクリームシチュー、コッペパン、コーンポタージュを装った物を渡す係)を行う事に。
フーリガンの人達は(先程のアレックス達の時もそうだったが)いきなり現れた凛達に初めはびくびくとした様子で驚くも、凛からフーリガンの領主や手下達は既に捕えており、これからはフーリガンを治める者が変わると伝えられる。
するとフーリガンの人達は安心した様子を見せた後、凛達からお盆に乗った料理を受け取って食べ始める。
今回用意したポトフとクリームシチューは消化を優しくする為に野菜が柔らかくなるまで煮てある事や、フーリガンの人達は始めて見る物ばかりだった事もあって感動しながら食べていた。
それとついでではあるが、パトリシア達はお昼がまだ済ませていなかった事に加え、王城でのやり取りが済んだ安心感やフーリガンの人達が炊き出しを食べている様子を見てお腹が空いた様だ。
パトリシアのお腹がくぅ~っと可愛らしい音を立てた事で本人は恥ずかしそうにし、周りからは笑いが起きてしまう。
その後、パトリシアは顔を真っ赤にしながら渡された料理を食べ始め、ライアン達も同様に食べる事となった。
凛は周りの様子を見て自分達がいなくても大丈夫だと判断し、火燐達に後の炊き出しの事を任せ、美羽、アレックス達、ゼノン達と一緒にルドルフがいた領主の館へ向かう事に。
「アヤカ、アヤネ。ここを2人で任せる形にして悪かったな。」
アレックスが先頭で領主の部屋へ入ると、すぐの所にいた赤い髪で狐の耳と尻尾を生やした姉妹に声を掛ける。
姉のアヤカは年の頃が22歳位、身長が166センチ程で腰近くまで真っ直ぐ伸ばした髪型で少しつり目。
妹のアヤネは年の頃が19歳位、身長が155センチ程で肩下まで伸ばした髪を左のサイドテールにしてまとめており、幼い顔立ちで垂れ目をしていた。
「いえ。この程度でしたら全く問題ありません。」
「そぉですよぉ~。私達ぃ、ただ見てるだけでしたし。」
「こら、アヤネ。いい加減、アレックス様に対して馴れ馴れしい態度を取るのは止めなさい。」
「えぇ~?別に良いですよね~、アレックス様ぁ~?」
「アヤネの言う通りだ。アヤカも無理に敬語で話す必要はないんだぜ?」
「い、いえ。私はこのままで結構です…。」
アヤカはクールな性格の為かキリッとした表情で、アヤネは甘えん坊な性格の為かにへらと笑いながらそれぞれ返事を行う。
アヤカはアヤネの話し方が上司であるアレックスに対してそぐわないと思ったのか注意するも、アヤネは少し困った表情を浮かべて話しながら、アレックスの左腕に抱き付いて豊満な胸を当てる。(一方、アヤカの大きさは人並みより少し上だったり)
アレックスは特に気にした様子を見せずに右手でアヤネの頭を撫でながら話し、アヤカは恐縮して返事を行うも、アレックスに撫でられてくすぐったそうにしているアヤネを羨ましそうに見ているのだった。




