401話
もう少し会話が続きますので、今回は続けて載せる事に致しますね。
「馬鹿な!」
「ふざけているのか!」
「いい加減にしろ!」
「ここをどこだと心得る!」
「凛とか言ったか。いきなり大人数で押し掛けて数多の無礼を働いただけに飽き足らず、フーリガンを解放する代わりに婚約者である私のパトリシアを奪い取ろうとする。貴様…何様のつもりだ?」
凛の発言により、周りにいた重鎮達は限界に達したのか次々と野次を飛ばして来た。
レナードはそれらを右手で制し、怒った様子で凛に追及を行う。
「くくっ、何様か。」
「貴様っ、何が可笑しい!?獣人の分際で私を笑いおって!口を慎め!!」
「お前こそ口を慎め。王国では偉い身分なのかは知らんが、それが一国の王に対する口調か?獣国はとある協力者のおかげで、金級や魔銀級の強さを持つ者が結構増えてな。1人の貴族の発言が元で王国は滅びた、等と記録に残してぇのか?」
「…!…っ。」
レオンはレナードの発言が少しツボに入ったらしく、軽く笑ってしまった事でレナードが激昂し、右手の人差し指でレオンを指差しながら叫ぶ。
しかしレオンが真顔で答えた事によりレナードはたじろぎ、その後に悔しそうな表情を浮かべて黙ってしまう。
どうやらレナードは現在各国の代表達が揃っている状況下で嘘の証言をしても得をしないと判断したのか、渋々レオンの発言を信じる事にした様だ。
因みに、レオンが言った協力者と言うのは勿論凛の事で、タリアやレオパルド達は魔銀級、城に勤めている兵士は凛の配下となったラミアが進化した者達が鍛えており、銀級から金級の強さとなっていたりする。
他にも、漁業の手伝いをしているカリュブディス達の扱いは配下にした場所でと言う事で獣国となっている為、レオンはいざとなればカリュブディス達も戦力に加わる事になっており、かつて火燐が超・爆炎斬で倒した以外のシーサーペントを配下にして進化させた者達も同様となっている。
「そういや、凛様が何様かについてだったな。俺達が一緒にいながら、前に出てエリック王へ発言出来るって時点で俺達よりも立場が上だって分からねぇのか?」
「凛…様?」
「ええ。凛様は創造神様の弟様。つまり私達よりも遥かに身分が高い御方なのです!」
「それに凛様は商業ギルド総本部の会長。私の上司でもあらせられます。」
『…!!』
「あはは…。」
レオンがにやりと笑いながら話した事でレナードは不思議そうな表情を浮かべて答え、フィリップが少し大袈裟気味に、ポールは恭しい態度で凛の説明を行う。
これによってエリック達は驚愕の表情となってしまい、凛は苦笑いの表情を浮かべながら困った様子となる。
「大変です!パトリシア王女殿下がフーリガン近辺で襲…わ…れ……?あの、パトリシア王女殿下は何故こちらに?」
「ありがとう。凛達が来てくれたおかげで私は無事に済んだのよ。貴方は職務に戻って頂戴。」
「は、はい!失礼致します!」
そこへ兵士の1人が扉を開け、エリック達に報告を行おうとするのだが、パトリシアが兵士の元へ向かった事で困惑気味となる。
パトリシアは笑顔で兵士を労い、持ち場に戻る様に促すと兵士は緊張した様子でパトリシアに礼を言って離れて行った。
「聞いたな?パトリシア王女殿下が襲われていた所を凛様達が助けたのだ。これはフーリガンをそのままにしておいた事で、パトリシア王女殿下に被害が及びそうになった王国に非があると俺は思う。エリック王やレナードとやらはどうだ?何か意見があるのなら言って欲しいのだが。」
「「………。」」
「帝国にもジラルドと言う都市があったのだが、凛様達の手によって生まれ変わってな。帝都もホズミ商会が入る様になったおかげでかなり利便性が増したのだよ。」
「こっちの王都もだ。」
「聖都もですね。」
「私達は先程も申しました通り、商業ギルドは完全に凛様の配下になっております。それに伴い、総本部を商都から死滅の森にある凛様の領地へと移行致しました。ですので凛様が王国とは取引しないと申されれば、残念ですが王国から全ての商業ギルドを撤退。王国とは今後一切お取引出来なくなってしまいますねぇ。」
ゼノンがエリック達に尋ねるも、エリックとレナードは下手な発言をするとフーリガンを鎮圧するのに兵を差し向けなければならなくなってしまう事、そして何より自分達よりも先に自国の醜態を他国の代表達に知られてしまった為、プライドの高い彼らは内心かなり悔しい思いをしながら黙っていた。
続けてゼノンは嬉しそうに話しており、レオン、フィリップも嬉しそうに話す。
ポールだけは残念そうな表情で話していたが、仮に王国と取引出来なくても他の4ヵ国や凛の領地で充分取り戻せる為、内心では王国と取引出来なくても構わなかったりする。
「王国以外の4ヵ国は実質凛様の下に付いた様なものだ。エリック王は俺達に同調せず、自分の道を進むと言うのならそれも良かろう。だがエリック王もブンドールが完敗した事や、サルーンが栄える様になったと言う噂位は聞いた事があるであろう?それら全てがこちらの凛様が関与しているのだ。」
そしてゼノンが話の締め括りとして、エリック王達にそう言い放つのだった。