394話
ステラは部下の男性に雷輝石の事を伝えたが、他にも炎輝石、水輝石、風輝石、地輝石、光輝石、闇輝石が存在しており、これらは凛がアミュレットを作製した後に用意し、各属性の物質変換スキルや纒雷スキルにアレンジを加えた物となる。
それぞれの輝石はソフトボール位の大きさで色の付いたガラス玉の様な見た目をしているものの、歴とした消耗品だったりする。
発動させるにはどちらかの手で輝石を持つ必要があるが、輝石に収められている魔力量に応じて属性の魔法や攻撃が行える様になる。
そして使用後に無限収納へ直すと、ナビが使用済みと判断して無限収納内で分解を行い、新たな輝石として作製し直す。
凛は最初に光属性の光輝石を創って超級魔法のエクストラヒールやディバインパニッシュメントが使える事を確認し、他の輝石の作製に取り掛かったと言う流れとなる。
ステラは先程現在地とは異なる場所にて、部下に説明がてら捕縛した犯罪者に雷輝石を用いて雷系初級魔法のスタンボルトを放つ。
犯罪者はスタンボルトを当てられた事で痺れて動けなくなって前方に倒れるのだが、ステラは倒れて動けなくなった犯罪者へお構いなしに、経験を積ませるとして部下へ弱めのスタンボルトを使い続ける様に命じ、やがて犯罪者はそのまま気絶する事に。
しかしその犯罪者はステラ達から電撃を浴び続けた事で何かに目覚めたのか、たまに悪さをしてはねこにん隊にスタンボルトを受けて喜ぶ変態さんになってしまう。
それと、犯罪者は電撃を受けた事で喜んでいたが、ステラはステラで朝食後の訓練の最後に凛から呼ばれて輝石の練習を行っており、凛と2人だけだった事もあって火遁・炎龍弾!や水遁・水龍弾!等とノリノリで叫んでいた。
そして炎輝石や水輝石から炎や水で出来た蛇状の龍を生成し、(他のも含め)試みが成功する度に喜んでいたりする。
火燐は(元極貧層近くを含めた)一般層の各地にある犯罪者達が集まる建物へ向かい、物理的説得を行っては建物の中にいた犯罪者達を強制的に外へ追い出した後に建物を燃やす。
しかしステラの部下から他にも同様の建物が複数あると報告があり、部下達が建物を制圧する度に火燐が移動して火柱を上げていた。
それと、加害者側に帝都の貴族が何家か絡んでいたのだが、火燐は貴族達とその取り巻きだけに制裁を加えた後、次は屋敷を燃やすと告げる。
貴族達は火燐に恐れをなしてその場にへたり込んだり、悲鳴を上げてその場から逃げたりしていった。
「あー終わった終わった。今日は午前中の内に商都へ行く予定だったのに、余計な邪魔が入って潰れちまったじゃねぇか。それに案の定っつーか、貴族だけじゃなく商業ギルド本部の奴も何人か裏で協力してたみたいだし…やっぱ燃やすか?」
「火燐様、お願いですからそれだけはお止め下さい!!この通りです!」
火燐はポータルで商業ギルド本部へ移動した後にエントランスホールへ向かい、面倒臭そうな表情でそう独り言ちていた。
商業ギルド本部のマスターは帝都の何ヵ所かに巨大な火柱が起きていたと言う情報を得ており、間違いなく火燐の仕業だと確信していた。
その為、ギルドマスターは火燐の発言を受けて必死な形相で土下座を行い、他の商業ギルドの者達や中にいた人達は唖然とした様子となる。
しかし商業ギルド本部でお留守番をしていた雫はお澄まし顔で火燐の事を見ており、シャルルとシャルロットは納得の表情で何度も頷いていたりする。
「火燐。ギルドマスターさんも困ってるし、その辺にしときなよ。」
「ちっ。まぁ凛がそう言うなら許してやるか。ただし2度目はねぇ、部下の教育はしっかりと行っとけ。」
「は、はいぃ!分かりましたー!!」
凛は商業ギルド本部でポールや雫達が待っていたからと言う事で合流しており、苦笑いの表情を浮かべて不機嫌そうな火燐を宥め、火燐は舌打ちを交えて渋々納得した表情で話す。
ギルドマスターは火燐の事が怖いからか、そう言って逃げる様にしてこの場からいなくなってしまった。
その後、火燐は逃げたギルドマスターを見て溜め息をつき、凛は苦笑いの表情のまま火燐を慰める。
それから火燐は呆然とした様子のアウラに話し掛けるのだがお昼に近い事もあり、皆で昼食を摂る為にポータルで第1領地へと向かうのだった。