390話
午前8時頃
凛は美羽と一緒にオーバ山を纏めている代表の元へ向かって話し合いを行った。
そして途中からフィリップ達や(気絶から復活した)エリオットを話し合いに加え、オーバ入口前の広場の一角に女神教教会を建てた後にエリオットを司祭として派遣し、他にも何名かをエリオットを補助する形で送る事が決まる。
と言うのも、オーバも霊峰エルミールや(過去の)ドネグ湿原、それとソルヴェー火山と同様、活発的な魔素点の為か多数の魔物を生み出していたからだ。
凛は代表から昨晩だけでも100体近い魔物が入口から出て対応したとの報告を受けた為、エリオットを女神教教会の司祭として、他にも何名かをエリオットを補佐する形で送る事を決める。
その後も凛達は話し合った結果、朝から夕方までを採掘や魔物の討伐とし、夕方になったら補助要員がオーバの入口を土魔法で封鎖して作業を終了すと言う流れで管理しやすくした。
仮に夕方封鎖した為に翌朝解放するタイミングで魔物が押し寄せたとしても、エリオットは既に魔銀級に近い金級、エリオットの補助を行う者達(主に人化スキルを施した魔物だが)は最低でも魔銀級以上の強さとなっている。
その為エリオット達は入口を解放した事で押し寄せる魔物達の相手だけでなく、ブンドール達がサボったり暴動を起こさない様に牽制すると言う役目も担って貰う事に。
それと、採掘箇所は凛達のおかげで広くなったとは言えブンドール達が到着して人数が大幅に増えてしまった為、いずれ下の階を徐々に解放する事も視野に入れていたりする。
一方その頃
魔銀級中位の強さとなったリュファスはサラ、シーラ、ティナ、それと凛から能力を底上げされた事で昨日から参加する様になったアイシャを連れ、最深部にあるポータルを介してオーバ中層へとやって来ていた。
これは朝食時、凛がゼノンから昨日オーバに挑んだ際に途中までは良かったが、フルドラクイーンの魅了にやられて息子のウェルズや教育係に攻撃を仕掛けてしまった事、
その後に教育係から治療を受けるも、他のクイーン達やレインボーファンガスに良いようにされた事で散々な結果で終わったとの愚痴を溢した事が切欠となる。
凛は昨晩、暴君スキルを用いてレインボーファンガスやクイーン達を倒した事で得ていた状態異常スキルをアレンジし、無効化にしたものを8色の小さな宝石に封じ込め、それをバングル型のブレスレットに収めたアミュレットを作製していた。
凛はゼノンの愚痴を聞いた後にアミュレットを無限収納から取り出して効果の説明を行うのだが、その最中に宝石を用いたアクセサリーと言う事で反応したメアリーが凛の元へ向かい、説明を終えた後に凛へねだり始める。
一方のゼノンはがっくりと肩を落とし、そんな物があるのなら自分が挑んだ時に渡してくれれば良かったのにと良いながらじと目で凛の事を見ていた。
その後、リュファスがアミュレットの性能を見るテスト要員として丁度良さそうだと言う事になり、リュファスがサラ達を連れてオーバ中層へやって来たと言う流れとなる。
因みに、アミュレットは試作品だからと言う事でやんわりとメアリーに渡せない事を伝え、メアリーはメアリーで肩を落としていたりする。
ヴォォン
「グォォ…。」
「…ふぅ。よし、これで2つめの部屋も粗方攻略し終えたか。魔物が強いのは勿論だけど、状態異常効果のある攻撃を仕掛けて来る敵が多いのが厄介だから時間が掛かるな…。凛様からこの腕輪を借りた訳だが、いつでもあるとは限らないし避けれるなら避けるに越した事はないからな。皆の様子は…っと。ははっ、サラ達は喜んでるみたいだ。アイシャ様は…ティナちゃんの援護もあってもうすぐ終わりそうだな。」
リュファスは慎重に戦いを重ねながらライトソードで大地龍を袈裟斬りにし、大地龍は断末魔を上げながら床に倒れていった。
リュファスは一息ついた後、少し疲れた表情で独り言ちながら辺りを観察して軽く微笑んでいた。
リュファスから少し遠くの位置では、アークドラゴンブラッドツリーを協力して倒したと思われるサラとシーラが笑顔でハイタッチを行っていた。
そして別な所では最近参加する様になったアイシャが弓矢でパープルディオネアマスキプラを攻撃しており、ティナが炎系魔法で援護を送る事で間もなく終わりそうだと言うのが窺える。
サラとシーラはリュファスに懐いたのか様付けでなく普通に話して欲しいと言われ、レオンもそれを認めた事で普通に会話する様になる。
それとここにはいないが、垰はフラム達を含めたアレックス、ユリウス、進化して聖人となったナル、それとアレックスが帝国兵から個人的にスカウトして空孤となった妖孤族2名(他にも一応男性がいたのだが、フラム達やアイシャ達の意向で女性だけとなった)と一緒に、深層に近い死滅の森中層で狩りを行っていたりする。
リュファスはその後もティナ達を連れてオーバを進み、午前中の内に最深部へと辿り着く。
そして一角に設置してあるポータルを使い、報告しにゼノンの元へと向かうのだった。