373話
一方の凛達はと言うと
「火燐ちゃんも忙しいねぇ…。」
「まぁ、あれで火燐も面倒見が良いし、ポールさん達商業ギルドの人から信頼されてるからね。恐らくだけど、攻略しながら壁に生えてる火鉱石を採取したり、溶岩の中にいる魔物を討伐するとかだと思うよ。」
「今更だけど、火燐ちゃんって火山の中でも全然平気とか凄いよね。」
「火燐は熱に特化してるからね、こう言う所でこそ強みを発揮出来る。でも逆に言えば寒い所は苦手で全く動けなくなるし、それは雫も同じ様な事が言えるんだ。」
「成程…。」
火燐が再びソルヴェーの中へ入って行った後、ステラは苦笑いの表情で入口の方を見ながら話し、凛が笑顔で答えていた。
次いでステラが火燐の事を褒めた為、凛が火燐と雫の特性について話すと、ステラは納得の表情で頷く。
その後も凛達は軽く話を行い、先程アレックスが配下にしたとされる亜空間部屋へと向かって行った。
凛達は亜空間部屋へ移動した後、そこで待たされていた業火竜、アークグリフォン、タートルドラゴンと向かい合った。
「凛。こいつらの扱いはどうするんだ?」
「んー、僕の一存で決めるのも悪いからなぁ。この子達はどうしたいかちょっと聞いてみるね。」
アレックスは業火龍達を見た後に凛の方を向いて尋ね、凛は業火龍達を見ながらアレックスからの問いに答え、念話で業火龍達へ尋ねる事にした。
「彼女達に僕がアレクの主だって伝えたんだけど、アレクに3体共服従したって共通点から仲間意識が芽生えたみたい。皆アレクに付いて行くって。」
「彼女…達?」
「うん、3体共雌だってさ。」
「マジか…。」
凛は念話で得た情報をアレックスに伝えると、アレックスは反対に3体共雄のつもりでいた為、頬を引くつかせながら凛に再度尋ねる。
これに凛が頷いて話し、アレックスはそう言って項垂れる事に。
その後、アレックスが業火龍達の主になると言う事で凛達と話し合い、(凛が魔素の供給係としてアレックスの背中に左手を当てながら)アレックスが業火龍達の主として名付けを行う事となった。
「…それじゃアレク、あの子達の名前は君が考えてね。」
「俺が、名前を…?」
「うん。あの子達を呼ぶのに名前がないと不便でしょ?それに、アレクが考えた名前の方が喜ばれるんじゃないかって思ってさ。」
「んなもん、ポチ、タマ、コロ辺りで良いんじゃねぇか?」
凛達は迂闊に名前を付けてしまわない様にと言う事で業火龍達から離れた後、話の流れでアレックスが業火龍達の名前を考える事になった。
しかしアレックスは業火龍達に対し、適当感満載の名前を付けようとしていたりする。
「なんだか犬や猫みたいな名前だね…。悪くはないかもだけどさ…。」
「いや、ダメでしょ。」
「そうだよ!この子達は女の子なんだよ?折角なら可愛い名前を付けてあげなきゃ!」
「「(こくこく)」」
「えー…。」
凛はアレックスから告げられた名前を聞いて苦笑いになりながらそう話し、ステラと美羽が即却下して翡翠と楓が頷いた為、凛達の反応を見たアレックスは渋い表情となる。
「ならよ、アークグリフォンだけでもステラが引き取ってくれねぇか?」
「んー、僕の1番得意な属性は(雷込みの)風だから相性は良いんだろうけどさ、アレク忘れたの?これでも僕、今ではちょっとした隊の隊長をしてるんだよ?部下の人達が驚くし、アークグリフォンにも悪いから覚悟を決めなきゃ。」
「そういやそうだったな…。やっぱダメか…。」
アレックスはそう言ってアークグリフォンだけでもステラに押し付けようとしたのだが、ステラからの返事を受けて複雑な表情で話す。
アレックス達はそれから5分程話し合った結果、業火龍にフラム、アークグリフォンにはリーゼ、タートルドラゴンにはロゼと名付けた。
凛は名付けによる休息に併せて人化スキルも施す様にナビへ頼み、フラム達をそのまま亜空間部屋で休ませる事に。
そして夕方にはサラマンダーも含めて全員目覚めた為、サラマンダー達の歓迎会を行ってこの日を終えるのだった。