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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~ダライド帝国編~
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360話

凛達はフィリップ達を領地に置いて帝国城へ向かい、午前中の内にブンドール公爵以下兵士達の処遇を帝国東にあるオーバ山へ送る事が決まった。

ブンドール達は生涯を終えるまで、オーバ山で銅級の魔物を討伐しながら採掘作業を行う事になる。


ブンドールはゼノンから下された処遇を不満に思ったのか、ゼノンに何か言おうとして口を開けながらゼノンの顔に視線を送る。

しかしゼノンが自分に向ける視線は道端にある石ころを見るのと同じ、全く関心がないものだった為、いくら意見を述べても処遇は変わらないと判断した様だ。

ブンドールは話そうとするのを止め、しばらく黙ったまま項垂れた後にカスメールやウーバウと一緒に連行されて行った。


そしてブンドール達の処遇を決めている間、それと並行して城から使いの者を走らせ、帝都内にいる貴族達にジラルドを凛に一任させて帝都で新たに(商店等の)店を出す旨の報せを届けさせた。

しかし報せを読んだ貴族達は納得いかなかったのかゼノンに対して激怒し、多くの者達が得体の知れない店や人物に好き勝手されてなるものかと言った抗議をしに城へやって来た。


しかし(予め伝言を済ませている)城の門番から、新たな店は最近出回る様になった商品を取り扱う店と言う事や、その店の代表者だと伝えると貴族達は納得した様だ。

城の入口に来た時は怒った表情だったが、帰りはにこにことした様子となり、何があるのかやどれだけ買おうか等と話しながら離れて行った。


帝都では今まで需要に対して供給が全く追い付いておらず、サルーンで仕入れた商品を帝都で販売し始めたら1時間もしない内に完売し、下手するとそれが元で買った客と買えなかった客で喧嘩になってしまうと言う状態だった。

特に商店の商品は貴族に人気があった為、今回城にやって来た者達から今後は商店の商品を急いで買い占めなくても大丈夫だと判断された。




「凛様、待たせたな。これでジラルドは凛様のものとなった。後はジラルドを好きにしてくれて構わないぞ。」


「分かりました。後は紅葉が来たらひとまず昼食に…。」


ゼノンはメアリーや重鎮を含めた者達を謁見の間から出し、残りがウェルズ、ニール、オリビアだけとなった状態で凛の方を向いた。

そして両手を胸の前にやりながら話すと、凛が頷いてそう話そうとする。


「凛様、お待たせ致しました。数が多かった為に時間が掛かってしまいましたが、こちらの方々が私の新たな配下となりました。」


「私の仲間ー♪」


『………。』


そこへ死霊魔術(ネクロマンシー)の作業を終えてポータルで移動した紅葉がお辞儀をしながら話し、クロエが右手を挙げて嬉しそうにそう言っていた。

そして紅葉とクロエの後ろでは、魔銀級の魔物の肉や骨等を用いた事で上級吸血鬼、或いはリッチとして甦った16~42歳の様々な種族の男女が20人程立っており、皆黙ったまま凛達の様子を見ていた。


彼らは主にブンドール達から拉致られたり買われたりした事でジラルドへ連れて来られ、散々弄ばれて殺されたり扱き使われた事で命を落とした者達だ。

その後、強い未練だけが残ってジラルド内をさ迷っていたのだが、彼らの存在に気付いた楓や雫が紅葉に状況を伝えていた。


そして先程、凛達が獣国へ出発する頃に紅葉がクロエを連れてジラルドに向かい、彼らに死霊魔術を行っていた様だ。

凛は楓から紅葉がジラルドへ死霊魔術を行いに向かった事を聞き、ゼノン達がブンドール達の処遇を決めている間、紅葉から何かしら連絡が来るのを待っていた。


「紅葉、お疲れ様。この人達がジラルドにいて、紅葉が死霊魔術を使って甦らせたって事なんだね?」


「左様でございます。」


凛が笑顔で紅葉の元へ向かいながら話をすると、紅葉はそう言って再び頭を下げる。


「…。(今、凛様は死霊魔術でと言ったが、この紅葉なる者は妖鬼族にして死霊魔術師(ネクロマンサー)と言う事か。死霊魔術師は何人か見たが、死霊魔術を行えたのはせいぜい鉄級や銅級の魔物や人だったな。初めて見る者ばかりだが…揃いも揃ってウェルズと同じ位の強さではないか。かなり癪だが、これはレオンの奴に救われたと考えるべきであろうな。)」


「………。」


それから2人は軽く話をし始めるのだが、ゼノンは凛、紅葉、死霊魔術で甦った者達を見て内心そう思いながら戦慄しており、ウェルズも同様なのか冷や汗をかいていた。


その後、凛は甦った者達や紅葉とクロエも一緒にVIP宿へ連れて行き、皆で昼食を摂る事にした。

一緒に来たウェルズ、ニール、上級吸血鬼達は食事に夢中となるのだが、そんな中で凛は昼食後、解体等の作業を行いにジラルドへ向かう事をゼノン達に告げる。


凛から話を聞いたゼノンはカプロス()とミノタウロスキングのハンバーグを食べつつ、折角なので凛達が作業を行う所を見たい事を伝える。

するとそれまでおとなしかったニールが(魔銀級の強さで体長が5メートル程ある)鮭王のカルパッチョを食べながら自分も見たいと告げ、それにオリビアとウェルズが乗っかる形となった。


それから30分程経って食事を済ませた後、紅葉達や上級吸血鬼達をその場に残し、凛達一行はポータルを使ってジラルドへ向かうのだった。

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