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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~ダライド帝国編~
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356話

「? …?傷が、塞がっている…?」


ゼノンはアレックスにエクストラポーションを傷に沿って掛けられた事で治ったのだが、まさか治るとは思っていなかったらしく、そう呟いてからしばらくの間自分の胸やお腹を擦っていた。


「お袋、それにお前ら。ジラルドを治めるって件はまたの機会で良い。だがその前に、帝都にいる獣人や奴隷…それとジラルドや極貧層にいる奴らに関しては、俺に一任させて貰えねぇか?」


『(こくこくこくこく)』


「ありがとよ。代わりと言っちゃなんだが、決して損はさせねぇから安心してくれて良いぜ。」


アレックスはゼノンへの用事は済んだと判断したのか不思議がっているゼノンを他所に、ユリウスと共に皆の所へ戻っていた。


そしてアレックスは今日中にジラルドの統治権を凛にするつもりだったが、帝都を移動している間にレオンでも獣人を助け出せそうにない事をユリウスから聞き、自分も訳の分からない理由でステラ(日向)が引き離されたら嫌だと感じた様だ。

話の途中で丁度良いと判断したのか、ジラルドと極貧層の者達の事を含めた提案を行う。


しかしアレックスはゼノンに勝てたと言う興奮からか、肩に担いだフランベルジュに炎が纏ったままとなっている事もあり、オリビアや重鎮達はゼノンの様に斬られたくないと思ったのか何度も頷いていた。

アレックスはこれを肯定の返事と受け止め、満足げな様子でそう話す。


「殿下、やったな。」


「ああ、ユリウスのおかげだ。」


少しだけ後ろにいたユリウスがアレックスの横に来て、そう言いながら自身の顔の横に右の拳を持って来ると、アレックスは返事しながら小指同士が軽くこつんと合わさる様にして左の拳を重ね、その後2人は笑い合っていた。




火燐はアレックスが勝った事でポールがいる所へ戻った(際にこれ幸いとして抱き付こうとした為、チョップで迎撃して沈めた)のだが、それから凛達は3つのグループに別れて行動を始める。

楓、垰、(シャルル達がメアリーとオリビアを無理矢理引き剥がした)骸、シャルル達が帝都から西にあるジラルドへ、

雫、翡翠、ユリウス、ナルが極貧層へそれぞれ向かい、そこにいる人々を人間と獣人とで行き先を分けて誘導する事に。


そして凛とアレックス、美羽と(美羽と2人っきりと言う事で恥ずかしがっている)ニールのペアで奴隷商や、重鎮を含めて獣人を奴隷として飼っていそうな者達の所へ向かい、奴隷1人辺り白金貨1~2枚を支払ってその場で奴隷達を解放する。

そして楓達や雫達と同じく、解放した者達も凛が用意した縦横2キロで高さが500メートル程の草原で満たされた亜空間部屋へ誘導した。


凛達(ついでにニールも)が先に作業を終えて屋敷に戻ると、ウェルズが目を覚ましたのか上体を起こしてぼーっとしていた。

アレックスがウェルズにユリウスと2人掛かりとは言えゼノンに勝った事を伝えて驚かれた後、ウェルズが歩く事に問題はないと判断し、半ば無理矢理ウェルズとニールの2人を城へ送った。


それからアレックスは(再び人質として囚われる可能性があった為)先に屋敷のリビングで休ませていたティナにどうにかゼノンに勝てた事を報告すると、涙を流しながら抱き付かれた後に怒られてしまう。

ティナはゼノンが敵対する者に容赦がない事を知っていた為、アレックスに危ない真似をして欲しくなかったそうだ。


今もアレックスの前でぽこぽこと胸を叩いており、アレックスは降参とばかりに両手を挙げる。

それをマリアは微笑ましい表情で見ていた。




楓達やユリウス達、それと合流した美羽が合計6万以上もの人々を誘導する作業は夕方過ぎまで掛かり、凛はその間に次々と亜空間部屋を増やす等して対処を行っていた。

そして屋敷組が総出で夕食を用意する事になるのだが、移動した者の大体が栄養不足で衰弱していた為、まずは消化に良いスープを与えてから様々な料理を出す事に。


「凛、それに皆。今日は色々と助かったぜ。ありがとうな。」


「これから宜しく頼む。」


「よろしくー!」


「宜しくお願いしますね。」


「宜しくねぇん。」


一方の凛達は(屋敷組が食事提供で不在の為)慎ましくではあるが、アレックス、ユリウス、ナル、ティナ、マリアがそれぞれそう挨拶を行ってからの歓迎会を開いていた。


ユリウスとナルは極貧層の生まれで極貧層の者達がこちらに来たからと言う理由で、マリア達は人質に取るような帝国は信用ならないとして、どちらも今後は帝都に戻るつもりがないとの事。


歓迎会の途中でナルが気に入ったのか、2リットルのコーラと超特大サイズのポテトチップスのうすしお味を凄い勢いで食べ始め、これに火燐が対抗するシーンを含めた事で歓迎会が盛り上がりを見せる等して凛達はこの日を終えるのだった。

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