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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~ダライド帝国編~
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352話

シャルル達は骸から兵達を傷付けない様にと言われている事もあって、背中に羽を生やした状態で軽く飛びながら両腕の赤い刃を用いて兵達の武器を次々に破壊し、空いた方の腕を兵達の目の前に突き付ける等して心を折ると言った戦い方をしていた。


「………。」


一方、垰は移動を始めてすぐに立ち止まって土魔法を用い、自身の前に直径2メートル程の巨大な岩の拳を生成する。

そして垰は両手を握ったり閉じたりと言った動作を行うのだが、垰の前にある岩の拳も同様の動きを行っていた。


「よし。…成程、そう言う事ですね。」


垰は準備が済んだと判断したのか、そう言って前を向く。

そしてすぐにシャルル達が自身の左右斜め前方で兵達の無力化に努めている事が分かり、垰は頷きながらそう独り言ちていた。


兵達はシャルル達に敵わないと判断したものの、隙間を縫いながら数で押し切ろうとしたのか、正面や左右の方向から凛達の元へ向かおうとする。


「それでは、私も行かせて貰いますね…。」


ガッ、ドゴッ、ベキッ、ガシャン


しかし垰がそう言って行動を開始した為、向かってきた兵達の悉くが岩の拳で殴られる事となった。

その影響により、兵達の剣や鎧の曲がる音や悲鳴ばかりが響き渡る事に。


「おぉー!垰ちゃんカッコ良いー!」


そしてナルは垰が戦う姿を見て興奮したのか、そう言ってキラキラとした視線を垰に送っていた。


因みに、一見すると垰は両手首から先だけをドラゴンに戻す必要はない様に思えるが、本人曰くこのスタイルの方が(手加減を含めて)色々と操作しやすいそうだ。


「…やっ。」


ドムッ…ゴゴゴゴゴゴゴ


そして垰がすぐ近くに誰もいない事を確認した後に岩で出来た拳を斜め下の地面へ殴ったかと思うと、垰の前方に大きな刺状の岩が隆起した物が現れ、そのまま道沿いに100メートル程進んで行った。

その為、兵士達(ついでに一般人も)の度肝を抜いたのだが、垰は兵士の合間を縫って岩を生やしていた為、その岩のすぐ傍で兵達が尻餅を突いたり、腰を抜かして逃げようとする等していた。


そしてこれが止めとなったのか、始まってから5分もしない内に戦闘が終わる。

シャルル達3人はまだまだ余裕の様子を浮かべているシャルル達3人に敵わないと分かり、兵達は300人以上いたが次々と降参していった。




「………。」


「驚いただろ?垰もドラゴンなんだが、あれで()()魔銀級なんだってよ。端から聞いたら恐ろしいの一言だよな。」


「まだ?…他にも何かあると言うのですか?」


「シャルル達の事だ。あいつらはああ見えて神輝金級のバンパイアロードとクイーンなんだよ。髪の色が銀色じゃねぇ事位は分かるだろ。」


ディランは地面から生えた岩の刺を見て呆然としていたのだが、アイシャを宥めてディランの前にやって来たアレックスが苦笑いの表情を浮かべながらそう話した。

これにディランは垰の後に笑いながら兵士達の武器破壊をしているシャルル達へと視線を移して尋ねると、アレックスが少しきょとんとした様子で答える。


「馬鹿な!金級の上級吸血鬼(グレーターバンパイア)ではないのか!あんなガ…。」


「しー!馬鹿!今は大分手加減してくれてるが、あいつらは(凛達の中で)かなり血の気が多いんだぞ。お前の一言が原因で帝都が滅びかねねんだ、言葉は慎重に選べ。」


「…!わ、分かりました…。」


それを聞いたディランは、驚いた表情であんなガキ共がと言いそうになるのだが、それをアレックスが少し慌てた様子で止めた後、軽く怒った表情でディランに指摘する。

その為、ディランは少し萎縮した様子でアレックスに返事を返した。


「ふぅ。さて、後ろはあの通りなんだが…まだやるか?まだやるってんなら、今回の死亡者はお前だけになりそうだな。」


「…やはり(人質を取る事に)失敗した時点で負けは決まっていたか。私も降参します。」


シャルル達は仕事が済んだとばかりに凛達の元へと戻っており、物凄い笑顔で凛達と話していた。

その為アレックスは先程のディランとのやり取りが気付かれていなかった事に対し、軽く安堵の溜め息を吐いた後、右手にフランベルジュを構えた状態となってディランにそう話し掛ける。


そしてディランは辺りを見回し、どう考えてもここから挽回出来そうにないと判断した様だ。

苦笑いの表情を浮かべてそう言った後に持っていた剣をその場に置き、降参の構えを取った。




「…終わったみたいだね。」


そこへ1人の男性が安堵の表情を浮かべながらやって来た。

その男性はアレックスの兄で次男のニールと言って、身長が165センチ位。

サラサラの茶色の髪を首まで伸ばした髪型をしており、穏やかそうな雰囲気を纏っていた。


「? ニール(にい)か。来てたんだな。城とかじゃなくこんな所にいるなんて、珍しい事もあるもんだ。」


「うん。本を借りて城に帰ろうとしていたら兵士が走って行くのを見掛けてさ。何事かと思って付いて行ったらアレク達がいたって感じだったんだ。僕は争い事が苦手だし、終わるまで待ってたって所かな。」


「成程な。」


アレックスが少しだけ驚いた様子で話すとニールは穏やかな笑みを浮かべて話した為、アレックスもそう言いながら笑顔で答える。


その後、垰が岩や道を元通りにしている間にアレックスが凛達にニールの紹介を行い、ディラン達を引き連れる形で帝国城へと向かうのだった。

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