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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~ダライド帝国編~
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341話

「レジスタンス?ユリウスさんは転生者なんですか?」


「転生者?…良く分からねぇが、レジスタンスって名前になったのは割と最近だし、名付けたのはそこにいる(アレックス皇子)殿下でな、悪いが俺にはさっぱりなんだ。」


「成程…。まずはアレックス皇子殿下と話をした方が良さそうですね。起こして来ても宜しいですか?」


「…頼めるか?」


「勿論ですよ。」


凛はまさかここでレジスタンスと言う単語を聞くとは思わなかった為ユリウスに尋ねてみたのだが、ユリウスは肩を竦めて答えた為、ユリウスの事をアレックスの知り合いだと判断した様だ。

頷いた後にアレックスを見てから再度ユリウスに尋ね、ユリウスが苦笑いの表情を浮かべて答えた事で凛は笑顔で話し、凛はアレックスの元へ向かって行った。




「ユリウスちゃぁん、久しぶりねぇん。」


「ん?ああ、マリアか。どうやらそっちも元気そうだな。」


「ユリウスちゃんも元気そうで良かったわぁん。…極貧層(スラム街)は相変わらずなの?」


「そうだな。殿下が昨晩(アイテム袋から出した)食料を渡してくれた事で取り敢えず最低限は渡せたが…皆を満足させるにはまだまだ足りねぇ。」


「極貧層の人達は多いし、今も増える一方だものねぇ…。」


そこへマリアがユリウスとひそひそ話を始め、共に再会を喜んだり悲しい表情となっていた。


2人は同じ魔銀級冒険者ではあるが、マリアは一般層から冒険者になったのに対し、ユリウス極貧層で生まれ育ってから冒険者になったと言う経歴を持つ。

マリアは10年程前に、ユリウスは一昨年魔銀級となったのだが、2人は同じ魔銀級冒険者として(恋仲とかではないが)仲が良い。


ユリウスは同じ極貧層の人達の為にとがむしゃらに魔物を討伐して行った事で強くなっていき、魔銀級冒険者となった今でも極貧層の人達の手助けをする為にと頑張っている。

しかし帝都の最下層である極貧層の者達は現在4万人程と中々に数が多い事もあって、ユリウスは皆を食べさせるのに苦労している様だ。


そしてユリウスは昨晩、帝都の近くに夜営をしたアレックスと会っており、その際にアレックスからアイテム袋(大サイズ)の中に入っていた大量の食料を渡していたりする。

ユリウスはこれに引き攣った表情となるが、すぐにレジスタンスのメンバーと一緒に極貧層の者達に届ける事となった。


因みに、帝都ダグラスは帝国城を中心に半径30キロ程と広い面積を持っており、その中に100万人以上の者達が住んでいる。

しかし帝国…特に帝都は納税のノルマ(特にお金)が非常に重い事もあり、頻繁に人々の入れ替わりが起きている。


だが、中には皇族貴族に妻や娘が目を付けられた事で連れていかれる、或いは地方から拉致られる等された事が理由で帝都に残らざるを得なくなり、頑張って取り返そうとするも失敗して極貧層に落ちる、と言った者がそれなりに存在していたりする。

そして一旦極貧層に落ちた者はまともな職に就けない事もあってその日暮らしがせいぜいだったり、冒険者となってはみたものの1日でも早く取り返そうとして無理に無理を重ね、それが原因で亡くなると言う事が多い様だ。




「う…。」


「アレックス皇子殿下、お目覚めになられた様ですね。」


「凛か…ん?クソ兄貴(ウェルズ)?何でこんな所にいるんだ?それにユリウスもいるじゃねぇか。」


アレックスは凛が介護した事で目を覚まし、凛が優しげな表情でアレックスに声を掛ける。

アレックスは上体を起こして凛に話した後、辺りを見回した事でウェルズやユリウスがいるのに気付いた為そう話す。


「よぉっ。昨日ぶりだな、殿下。」


「ああ…。凛、こいつらなら気にしなくても大丈夫だ。ここなら俺達以外に誰もいないし、普通の口調で俺が気を失った後の事を話して貰えるか?」


「分かった。ユリウスさんも良いかな?」


「ああ、勿論だ。」


ユリウスは軽く右手を挙げてアレックスに挨拶を行い、アレックスは表情を寝ぼけたものから真面目なものへと変えて凛に尋ねる。

凛は笑顔で答えた後にユリウスの方を向いて促し、ユリウスも笑顔で答えてマリアと共にアレックスの元へと向かった。


「…所でよ、こいつ(ウェルズ)は何で床で寝てやがるんだ?」


「早い話が、そちらのお嬢さんを自分の物にしようとしたんだよ。」


「藍火をか?はぁ、良い女と見るやすぐに自分の物にしようとするとか、相変わらず節操のねぇ馬鹿な野郎だぜ。」


「ははっ、そりゃあ違いねぇ」


アレックスは左手の親指で斜め後ろにいるウェルズを指差しながら言うと、ユリウスは苦笑いの表情を浮かべて説明する。

これにアレックスは呆れた様子を見せ、溜め息混じりでそう話した事でユリウスは笑顔で答える。


その後、凛達は雑談を交えながら互いに情報交換を行っていくのだった。

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