335話 67日目
本日は修正を含めた3本立てとなっておりますw
67日目
ライトソードを用いての訓練を行う際に魔力を消費し続けて光刃を出す事で、武器の技術向上だけでなく魔力を維持する為の訓練にもなる事が分かった。
その為本日から武具屋の前に特設コーナーを設け、レンタル可能となったライトソードを並べる事になる。
武具屋から貸し出すライトソードは鉄級、銅級、銀級、金級の4種類でそれぞれ100本ずつとなっており、持ち手の所に黒字で大きく『鉄』『銅』『銀』『金』と記載してある。
そして鉄級のライトソードなら鉄級までの、銅級のライトソードなら銅級までの魔力しか受け付けない様に調整されている。
これはそれぞれのランクに合わせて用意した物でもあるのだが、銀級や金級の冒険者でも魔力の扱いが苦手等と言った理由で、それまでライトソードの購入に手が出しにくかった者達が銀級用や金級用のライトソードが人気の為に仕方なく鉄級のライトソードを借りたと言う名目で(わざと文字が見える様に)練習を積むと言う風景が見られる様になった。
そしてそれはフィリップもその1人と言うか、リハビリも兼ねての訓練となっていたりする。
フィリップは午前8時頃に食べた黄金の林檎の影響で50代半ば頃にまで若返ったのと、昨日の運動場での様子を見て元騎士団団長としての血が騒いだ様だ。
8時半頃にヴェルナー達へ今日の業務内容を伝えた後、凛に第1領地へ向かいたい旨を伝える。
そして領地に着いてすぐに凛へ運動場で体を動かしたいと言う申し出を伝え、一行は運動場へと向かう事に。
午前9時過ぎ
それから30分程、フィリップはアーウィンとの手合わせを行っていた。
フィリップは最初こそ躓いてその場に倒れる等していたのだが、時間が経つに連れて段々と動きが良くなっていき、開始して20分程で銅級冒険者と同じ位にまで動ける様になる。
どうやらフィリップの体内…特に筋肉や骨にある細胞が、黄金の林檎の影響による賦活効果の為か急速に超回復を繰り返す事により、アーウィンとの訓練に適応しようとしている様だ。
それからフィリップは魔力を用いた訓練も交えたいと伝えられた為、凛は銅級までの出力しか出せないライトソードをフィリップに渡す。
「ほっ、ほっ、ほっ…。いやー、久しぶりに体を動かしてみたいと思い実践させて頂きましたが、ライトソードとはかなり楽しい物なのですね!」
「教皇様…相手をさせて頂いている私からすれば(ハラハラしっぱなしで)全く楽しめるものではないのですが…。」
「はっはっはっ。アーウィン、良いではないですか。10年以上もの間、私はこの様に体を動かす事はとてもではありませんが出来ませんでした。凛様のおかげでこの様に動けるまでになりましたが、私が運動をしたい等と言いましてもすぐにヴェルナー枢機卿達に反対されるのではと思い、先程は凛様の領地に行くとしか言わなかったのです。」
「それはそうかも知れませんが…。」
「…ほらほらアーウィン、呆けている場合ではありませんよ?」
「え、ちょっ、教皇様!?」
フィリップは白い光刃を出したライトソードを右手に持ちながら輝く様な笑顔で話すのだが、手合わせを開始してすぐに転倒するのを見たアーウィンはそれどころではないと言いたそうな表情を浮かべながら、同じく白い光刃を出したライトソードを右手に持って返事を返す。
これにフィリップは苦笑いの表情で言い、アーウィンが複雑な表情を浮かべて話している内にフィリップがそう言って再び突っ込んで来た。
アーウィンは非常に困った様子を浮かべながら楽しそうにしているフィリップの攻撃を捌いて言った為、端から見たらアグレッシブなお爺さんが息子をしごいている風にしか見えなかった。
午前9時半頃
「(マスター、少し宜しいでしょうか?)」
「(ん?ファイ?どうかした?)」
「(10分程前に、アレックス様が出された飲み物をお召し上がりになられた事で昏睡させられた様です。昏睡させられたアレックス様がそのまま人質となりました為、現在私達や藍火様、それにアイシャ様がアレックス様と一緒に檻へと捕らわれております。)」
その後もフィリップがハッスルしながらたじたじな様子のアーウィンと手合わせを行っていたのだが、そこへ凛の元にアレックスの護衛として就かせたファイから念話が入る。
凛が不思議な様子で答えると、ファイからその様に伝えられるのだった。