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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
339/594

331話

『………。』


「魔物達の片付けは今ので以上になります。皆さんはこれまでの長い間、次々に現れる魔物やドネグ湿原そのものに苦労していたと思われますが、もうこれからはキツい・汚い・危険な思いをしなくて済みますよ。」


『ソウデスネ…。』


「?」


騎士達やアーウィンとレイラはあれ程の規模を持つ(超級の)魔法を初めて見たからか、大爆発の後に消滅してしまった斜め上空を唖然とした様子で見ていた。

凛は後ろを振り返って笑顔でそう言うのだが、アーウィン達は凛がとんでもない事をあっさりとやってのけただけでなく、満面の笑みを浮かべながらだった為か付いて行けなくなった様だ。

揃ってがっくりと項垂れた様子でそう言うのだが、凛はそれをにこにことしながら不思議そうな表情で見ていた。


「(凛は)やはり天然じゃのぉ…。」


そしてそれらの様子を見た朔夜が苦笑いの表情を浮かべてそう言い、美羽と雫は同意するようにくすくすと笑っていたりする。




《マスター、ご報告です。もう間もなくイクリプスドラゴン様の人化スキルの入力(インストール)が完了致します。》


「あ、そうなんだ。作業を始めてから結構時間が経ってたんだね。イクリプスドラゴンさん、すみませんがちょっと僕に付いて来て貰えますか?」


「ん?ああ、分かったぜ。」


そこへナビから報告を受けた後に凛は少しだけ驚いた表情で話し、視線をアーウィン達からイクリプスドラゴンへと変えて尋ねた。

そしてイクリプスドラゴンが了承した事で凛達は少し離れた位置へと移動し、凛がイクリプスドラゴンを囲う様にしてドーム状の土壁を生成し始める。

アーウィン達やバンパイアロード達は凛が何故イクリプスドラゴンを連れて行く等の行動を取ったのかが分からなかった為、不思議そうな表情で凛達の様子を見続けていた。


その後、土で出来たドームの天井から光の柱が伸びた事にアーウィン達は驚くのだが、それから2分程経ってドームが解除される。

するとにこにことしている凛とは別に、白いTシャツに黒いジャケットを羽織っており、ジーパン姿の男性が隣に立っている事で皆の視線を集めた。


男性は年の頃が40歳位。

ややボサボサ気味のくすんだ灰色の髪をミディアムに伸ばし、パッと見た感じではワイルド風と言うか、少しさばさばしてそうな印象を受ける。


「…格好良い。」


「ん?レイラ君、何か言ったかね?」


「いえ、特には何も。」


「そうか。」


しかしレイラはその男性を見て一目惚れしたのか、そう呟いてしまった事が切欠で隣にいるアーウィンと軽いやり取りを行っていたりする。




「お待たせしました。こちらは先程までは大きな龍の姿をしておりましたが、今は人間になって貰ったイクリプスドラゴンさんになります。」


「やはりか…。」


「(魔物から人間へと変化する、と言うのはこうも受ける印象が変わるものなのね。まぁ、普通は魔物から人間へ変わるなんて事自体、まず想像すらしないのだろうけど…。)」


『…!!』


凛が左手で男性を指し示しながら皆に紹介するとアーウィンやレイラは納得の表情でそれぞれ反応を示すのだが、ここにいる騎士達は朔夜達の龍の姿を見ていなかった為、一様にしてイクリプスドラゴンが龍から人になった事を知って驚いてしまう。


「王も私達と同じ様なお姿になられたのですね。」


「とても素敵です。」


騎士達がざわついている中、バンパイアロードとクイーンが前に出て、それぞれ尊敬した様な表情でイクリプスドラゴンに話し掛けて来た。


「あー…俺ぁこれから凛の下に付くからなぁ、もはや王でもなんでもねぇんだよ。…そうだ凛、丁度良い機会だし俺にも何か名前を貰えるか?凛も毎回、俺の事をイクリプスドラゴンって呼ぶのも疲れるだろうからよ。それと、普通に話してくれると助かる。」


「うん?んー、分かった。それじゃ君の名前はこれから『(むくろ)』だ。骸、改めてこれから宜しく頼むよ。」


「骸か、良い名だ…っと。…凛様、こいつらも纏めてこれから世話()なるぜ。」


イクリプスドラゴンはバンパイアロード達からキラキラと視線を浴びせられた事で困ってしまったのか、隣にいる凛の方を向いて助けてくれと言わんばかりの表情で話を振る。

これに凛は笑顔で答え、近い内にどこかで名付けを行うだろうと用意していた魔素を用い、男性を骸と名付けた。


イクリプスドラゴン改め骸は名付けの影響により、左目を閉じて軽くふらついた様子を見せるのだが、すぐに立ち直りを見せる。

その後、骸はにやりと笑いながらそう話すのだった。

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