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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
332/594

324話

「グルルルァァァァ!」


「………。」


「グ…!」


ルインバンパイアロードは正面にいた朔夜を敵だと判断したのか、空中から真っ直ぐ朔夜の方へ突っ込んで来た。

そしてルインバンパイアロードは移動しながら両手の指先に自身の血液を用いて5センチ程の赤い爪を生成し、朔夜に突き刺そうとして右腕を前へ出すのだが、朔夜はやや斜め下の位置から左手に持ち替えた宵闇の先をルインバンパイアロードの掌へ当てた事で双方の動きが止まる。


それからルインバンパイアロードは朔夜を突き刺そうとして右腕に力を込め、一方の朔夜はそれをさせまいとして左手に力を入れた事で(つば)ぜり合いの様な形となった事で、2人は10秒程そのままの状態となった。


「…ふむ。力は大分増した様じゃの。」


「グルルルルル…ガァァッ!」


「…いちいち吠えるでない。」


「ギャン!」


朔夜は右に軽くサイドステップを行ってから感心した様に呟くと、ルインバンパイアロードはもう1度朔夜へ噛み付こうとして体勢を低くし、歯を剥き出しにして吼えながら朔夜に飛び掛かる。


しかしルインバンパイアロードが朔夜達に近い程にまで強くなったとは言え、それは単純に力だけだった様だ。


朔夜から見たら速度も技術も甘いとしか言えなかった為、ルインバンパイアロードの攻撃を右に半歩引いて避け、そう言ってがら空きになった左の脇腹に右手で掌底を叩き込んだ。

ルインバンパイアロードはまともに朔夜の掌底を受けてしまい、悲鳴を上げて再び壁へ激突する事に。


「グォアアアアア!!」


「…うむ、恐れずに向かうその心意気や良し!しばしの間、其方に付きおうてやろう。」


ルインバンパイアロードは吹き飛ばされてもそこまでのダメージがなかったからかすぐに壁から離れ、叫び声をあげて朔夜の元へと向かって来た。

朔夜は笑顔で答えた後、宵闇を前に突き出してルインバンパイアロードとの手合わせを始める。




2分後


「グォォォォオオオ!!」


「おっ!おっ!おっ!…少しはやる様になったではないか、いやー楽しいのう!…どれ、体も温まった様じゃし、妾も少し本気になるとしようかの。」


ルインバンパイアロードは今の状態での戦闘に慣れて来たのか、今回初めて両腕に伸ばした爪による高速での連続攻撃を行う様になった。

朔夜はそれらを少し驚いた様子で左手に持った宵闇を用いてキキキキィンと弾いた後、そう話しながら嬉しそうにしている。


そして朔夜はそう言った後にがらりと雰囲気を変え、宵闇を左手から右手に持ち変えて先端に60センチ程の黒い棒の様なものを生成し、左手の手首から先を黒いオーラの様なもので包み始めた。

それらはいずれも物質変換・闇や覇王気を凝縮したものを用いており、ちょっとした剣と盾代わりの様な補助の役目もしてくれたりする。


「さぁ…掛かってくるのじゃ。」


「ガ…ガァァァァァァ!!」


朔夜は両手を前に掲げてニヤリと笑いながらそう言うと、ルインバンパイアロードは朔夜に気圧(けお)されてしまったのか一瞬だけ(ひる)んでしまう。

しかしすぐに自らを奮い立たせる様にして吼え、朔夜へ向けて突っ込んで行く。


キキィン


「ギッ…!?」


「…妾のは痛いぞ?覚悟せい。」


「グボァッ!」


ルインバンパイアロードは両腕で朔夜を掴もうとしたのだが、朔夜は右手に持った宵闇の先に伸ばした黒い棒で弾かれてしまった為、ルインバンパイアロードは驚きの表情で声が漏れてしまう。

そして朔夜はそう言って右足を踏み込み、黒いオーラを纏わせた左手でルインバンパイアロードの腹部にコークスクリューパンチを喰らわせた。


ルインバンパイアロードは朔夜の強烈なボディブローを受けた事で体がくの字の状態に折れ曲がり、悲鳴を上げて先程よりもかなり激しい勢いで壁に激突する事となる。


「ガ、ガフッ…!」


ルインバンパイアロードは壁にめり込んで激しくせき込む様にして吐血し、前方へゆっくりと倒れていった。


「グ、ガハッ…グガガガ…。」


「ほう、まだ立ち上がりたいと申すか。じゃが、体はそう言っていない(限界の)様じゃぞ?どれ…。」


その後、朔夜がルインバンパイアロードの元へ歩いて向かうと、ルインバンパイアロードは血を吐きながらも唸り声を上げ、両腕に力を入れてうつ伏せから立ち上がろうとし始める。

しかしルインバンパイアロードは先程朔夜に受けたボディーブローの影響で内臓の至る所がズタズタにされてしまい、思う様に力が入らないのか結局はうつ伏せのままとなった。

朔夜は感心した様にしてそう言った後、左手でルインバンパイアロードの背中へ触れてみる事にした。


「ふむ、今度は妾の事を乗っ取るつもりの様じゃの。…小賢(こざか)しいわ!妾を舐めるでない!」


するとルインバンパイアロードの至る所にあった黒い入れ墨部分が剥がれて朔夜へと向かい、今度は朔夜に取り付こうとしたのか全身に貼り付き始める。

朔夜は少しの間目を閉じた後にかっと見開き、そう叫んで|覇王気を全開にした事で反対に入れ墨を体から弾く。


その後、左手を掲げた事で発動させた魔素喰いで逆に宙に浮いた入れ墨を取り込み、ルインバンパイアロードに取り付いていた全ての入れ墨を消失させるのだった。

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