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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
331/594

323話

バンパイアロードとクイーンは50メートル程の通路を抜けた所にある50メートル四方の部屋に走って入ってすぐ、部屋の中心で高さ3メートル程の高さの位置にある、ボウリングの球位の大きさの魔素点がある所へと飛んで向かっていた。


あいつ(イクリプスドラゴン)からは絶対に触るなと言われていたが…。」


これ(魔素点)から私達は生まれたのよね…。」


「ならば!これから力を奪う事が出来れば!」


「私達は…もっと強くなれる!」


「「………。」」


バンパイアロードとクイーンはそれぞれ少し考え込む様にして話した後、目を見開いて狂気を含ませた笑みを浮かべながらそう言うのだが、少しの間2体共少し顔を赤らめて黙ってしまう。

どうやらお互いにプライドが高い為か口にする事はなかったが、揃って先程雫に完敗させられた事を思い出していた様だ。


「「私に、力を!!」」


2体は再び目を見開いてそう叫んだ後にバンパイアロードは右手を、バンパイアクイーンは左手をそれぞれ魔素点の中に突っ込んだ。


バチバチバチバチィッ


「「ぅあああああああああああああ!!」」


「ぐっ…力を…!」


「私達に…よこし…な…さい…!」


2体はまるで感電でもしたかの様に体をのけ反らせて悲鳴を上げるのだが、ぐぐぐ…と上体を起こし、魔素点に突っ込んだ腕に力を入れてそれぞれ叫ぶ。


「…なっ、何だ!」


「黒いのが…私達に纏わり付い…んーっ!」


すると魔素点からいきなり黒い包帯の様なものが現れ、それぞれ魔素点に突っ込んだ腕を通じて螺旋状に伸びて来た。

2体は黒い包帯の様なものに高速でぐるぐる巻きにされ始めた事でそれぞれ戸惑った様子となり、バンパイアクイーンが言い終わる前に口元を…そして全身を包んでしまう。




「何だ…ありゃあ…。」


「黒い塊が…うごめいている…?」


『………。』


その後、凛達は駆け足で魔素点がある部屋へと入ると、魔素点のすぐ両隣の位置で魔素点と繋がる様にして、縦長の黒い楕円状の塊がうねうねと動いたり波打つ状態となっていた。


イクリプスドラゴンが唖然とした様子でそう呟き、凛は見上げながら観察する様にして呟く。

他の者達もイクリプスドラゴンや凛と同様に、唖然としたり観察している様子でそれらを見ていた。


30秒後


バンパイアロード達を覆っていた黒い包帯の様なものが一気にしゅるしゅると(ほど)けていき、共に魔素点へと吸い込まれていった。

やがてそこにはバンパイアロードとクイーンが金髪から黒髪へと髪色を変え、顔や首、それと手足等の全身いたる所に黒い入れ墨の様なものが入り、自然体の構えで宙に浮いている状態となっていた。


「「………。」」


「さっきまでとは見た目が変わってやがるな…。」


「ですね。…それに、かなり強さが増した様です。」


「「…?…?」」


2体は宙に浮いたまま目を閉じた状態となっている為、それを見たイクリプスドラゴンは驚いた様子で呟き、凛は警戒しながらそう話す。

やがてバンパイアロード改めルイン(破滅の)バンパイアロードと、バンパイアクイーン改めカルネージ(大虐殺)バンパイアクイーンはゆっくりと目を開けるのだが、不思議そうな様子で目を何度も瞬きを行った後、互いに顔を見合わせる。


今回、ルインバンパイアロードとカルネージバンパイアクイーンは魔素点の魔素を吸収した(魔素点に取り込まれたとも言う)事で、神輝金級上位の…それこそ凛達の中でも上位を誇る強さとなった。




「「ガァァァァァァァァァ!!」」


「止めろお前ら!…()っ!…おいおい、嘘だろ。」


しかし代わりに知性を失ってしまったのか、牙を剥き出しにして背中に羽を生やし、野生動物の様に吼えながら凛達の方へ向かって来た。

イクリプスドラゴンはそう言って、先程と同様にルインバンパイアロード達に尻尾を当てて吹き飛ばす。


…が、ルインバンパイアロード達は吹き飛ばされる直前に両手の指先に赤い爪の様な物を伸ばし、2体共イクリプスドラゴンの尻尾を切断していた様だ。

イクリプスドラゴンが尻尾を持ち上げてみると、それまで体長の半分程あった尻尾の内の3割程が失われていた事で何とも言えない様子で話していた。


「「(バリッバリッバリッゴクン)…シャァァァァァ!」」


ルインバンパイア達は壁へ水平方向に吹き飛ばされて激突したものの、特にダメージらしいダメージは与えられていなかった様だ。

それぞれが右手に赤い刃を形成し、左手でイクリプスドラゴンの尻尾部分を持っている状態で土煙の中から現れるのだが、共に尻尾へかじりついていたのか、とても硬いものを咀嚼(そしゃく)しているかの様な状態だった。


やがて飲み込んだ後にニィィと笑って左手に持った尻尾を左右に投げ捨て、再び叫んだ後に凛達の元へ向かって来た。


「…全く、面倒な事になったのぉ。」


「ん、本当。さっさと終わらせて帰る。」


そこへ朔夜が宵闇(鉄扇)を広げた状態で口元に持っていき、前に出ながらやれやれと言いたそうな表情でそう話す。

そして雫はそんな朔夜の隣に立ってカドゥケウスを自身の前でくるくると回した後に右手に持ち、カドゥケウスを前に突き出してそう言うのだった。

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