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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
328/594

320話

雫達の戦闘が始まってから3分程が経過した


凛達とイクリプスドラゴン達は雫達の邪魔にならない様になのか、共に部屋の右側中央部分に固まり、雫達が行っている戦闘の様子を見ている。


「はっ!くそっ!このっ!」


「えいっ!えいっ!当たれっての!」


「ふふふ…当たーらなーい。」


雫は少し前から、空中をふわふわと漂う形で移動を行っていた。

対するバンパイアロード達は背中に蝙蝠の様な翼を出して地上から離れ、空中にいる雫へ向け、赤い刃を生やした両腕を振るう等して攻撃を仕掛ける。


しかし、雫は2体の動きが凛や美羽と比べて格段に遅いと分かった為、余裕の表情…むしろ軽く(あざけ)る様子で2体の攻撃を避け続けていた。

その後、雫は2体から少し離れた位置にふわりと着地する。


「ちょこまかと…ならばこれで。行けっ!」


「行って!」


キキキキキィン


「…無駄。」


「「弾かれただと(ですって)!?」」


バンパイアロードとクイーンは雫に続いて地面に着地し、血操術(スキル)を用い、血液を裁縫針の様な形に伸ばし始める。

そして、それぞれ自身の周りに赤い針を30本位ずつ生成し、それぞれ叫びながら手を前に突き出した。

生成した赤い針はそれを合図に雫へ向かって行くのだが、雫は自身を囲う様にして魔力障壁を展開、全ての針を弾いた。


雫は淡々とした様子で呟き、2体は揃って驚きを露にする。




「…。」


「これは…!」


「私達と同じ血操術!?いや、違う。けどこれは…。」


その後、雫は自身の水神化や物質変換・水を用い、同じ位の太さや大きさの氷の針を生成し始めた。

そしてそれらは様々な角度から2体を囲う様にして数を増やしていった為、バンパイアロード達は自身の周りを見渡しながら驚いた様子を浮かべる。


やがて、バンパイアロード達はどう身動きを取ろうかと考えている内に雫は準備を終えた様だ。

彼らの周りには、それぞれ氷の針が50本ずつ生成されていた。


「行って。」


「「あああああああっ!!」」


そして雫がカドゥケウスを軽く前に突き出して呟くと、お返しとばかりに氷の針達が四方八方からバンパイアロード達に向かって行き、(人間で言う所の)急所を除いた全身に次々と刺さっていった。

2体は体中が針だらけになった状態となり、体に力が入らなくなったのか揃って前方に倒れてしまう。




ついでにではあるが、バンパイアロードとクイーンは進化した事で、もう1つのスキルである『超速再生』も得ている。

これは魔力を消費して傷の修復等を行うもので、例え体の一部を失ったり穴だらけとなってしまっても、核である心臓部分さえ無事なら(頭部は時間が掛かるが)すぐに再生出来る様になるものだ。


「くそっ…!」


「まだよっ!」


「その根性は認める。…けど果たして、今の状態の貴方達にこれを受け止めるだけの魔力や体力は残っているのかしら?」


その為、2体は体のあちこちが血まみれとなりながらも、超速再生さえあればまだ挽回出来ると思っている様だ。

2体は体中に針が刺さったまま体に力を入れ、ゆっくりと立ち上がっていった。


しかし立ち上がった所で雫が淡々とした様子のまま右腕を上に掲げ、無詠唱でフローズンスピア(氷結した槍)ディケイド(10倍)を生成する。

その後もカドゥケウスを介して魔力を注ぎ続け、フローズンスピアはピキピキやバリッと音を立て、その姿を少しずつ大きくしていった。


雫は杖を振り下ろすだけで発射出来る状態となっており、黒い笑みを浮かべながら2体へ尋ねる。


「なんだ…あれは…!」


「ひっ…!」


バンパイアロード達は未だに成長を続ける氷の槍を見上げながら、おののいたり悲鳴を上げた。

その後、2体は流石にこれ程の氷の槍を受け止める自信がなかったらしく、揃ってその場に座り、震え出してしまう。


ついでにではあるが、凛、美羽、朔夜、段蔵、それとデスナイト以外の者達も、ここまで成長してしまった氷の槍を見て、自分達も受けたくはないなと内心恐怖していたりする。


「ん。私の勝ちの様ね。」


雫はカドゥケウスを軽く上に上げてフローズンスピア・ディケイドを解除し、2体の元へ移動してからカドゥケウスを彼らに向ける。


「「!?」」


それを合図に、バンパイアロード達に刺さっていた氷の針がパキィィンと音を立てて砕け散った為、2体は驚きを露にする。


「…少し冷たいけど。」


それによって2体は至る所から血が吹き出る様になるのだが、すぐに雫がカドゥケウスに魔力を込める。

すると2体の頭上の空間に穴が空き、そこから少しとろみのある透明な液体がゆっくりと落ちていき、バケツ1杯分位の量が掛かっていく。


その透明な液体は凛がハイポーションと名付けた薬液精製スキルで精製した物で、光系上級魔法ハイヒール相当の回復力を持つ。


「「あ…。」」


それによってバンパイアロード達の傷が癒えていく。

しかし2体はまさか回復して貰えるとは思っていなかったらしく、鏡でも見ているかの様に同じタイミング、同じ様な呆けた表情を浮かべるのだった。

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