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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
326/594

318話

5分後


「あー、楽しかったのじゃー!」


「朔夜、魔物相手にジャイアントスイングするとか、結構ノリノリだったみたいだね。…途中、勢いが強過ぎて何回か相手の腕や足がもげてたけど。」


「うむ。其方の知識を覗いた時から、1度やってみたいと思っておったのじゃ。それと、其方が心配せずとも魔物以外の者には行わぬぞ?そんな事で其方に怒られたり、愛想を尽かされては妾が困るからの。」


「分かってる。…それじゃ収納も終えたみたいだし、先に進もっか。」


「じゃの。」


朔夜が満足げな様子でそう言いながら、凛達3人がいる所へと戻って来た。

凛は苦笑いの表情を浮かべながらそう言うと、朔夜は満足げな表情のまま頷いて答える。


凛もそう言って頷くと、そこへ魔物達の回収を終えたのか、美羽が手を振りながら30メートル程手前の所を走って来ていた。

そして美羽から50メートル程後方では、雫と段蔵は淡々とした様子で歩いて戻って来ている所だった。

凛は美羽に軽く手を振った後にそう言って朔夜を促し、返事した朔夜と共に歩き出す。


先程魔物達が巻き上げられたりしていたのは、朔夜及び朔夜が呼び出した3体の分身が、それぞれご機嫌な様子でデスドラゴンやドラウグル、それとアーマーズアヴェンジャーの手足を掴んでジャイアントスイングを行った為に起きたものだ。

朔夜が結構な勢いで魔物達を振り回した事で何度か勢いに負けてそのまま手足が取れてしまった為、その都度予備で配置した別な分身体が飛ばされた魔物の処理を行っていたりする。


「? アーウィンさん、レイラさん。お二人共、前へ進みますよ?」


「あ、ああ…。すまない、どうやら呆けていた様だ。…レイラ。」


「あ、はい。分かりました、すぐに向かいます。」


しかし、凛達が50メートル程進んでもアーウィンとレイラの2人は固まったままだった為、凛がUターンしながら声を掛けてアーウィン達を我に返した。

アーウィンとレイラははっとなった表情となり、それぞれそう言って早足で凛達の元へと向かう。


その後、凛達は向かって来る魔物達の相手をしながら100メートル程通路を下ると、途中で折り返し階段の様な場所があった。

その為凛達はコの字型に進行方向を変え、そこから更に100メートル程下って行く。




凛達は下った先に先程と同じ位の広さを持つ部屋に出るのだが、今回は少し雰囲気が異なった様だ。


その部屋の中心にて、上級吸血鬼が進化して神輝金級となったバンパイアロードとバンパイアクイーンが1体ずつ、

同じく上級吸血鬼から進化して魔銀級中位となり、男性の見た目をしたストリゴイと女性の見た目をしたストリゴイカが3体ずつ立っており、

それらの前に控える様にしてハイ・スケルトンが進化して魔銀級中位となり、体長が2メートル程に大きくなったデスナイト(死の騎士)が10体立っていた。


デスナイトは体を形成する骨や武具がアダマンタイトで出来ているからか、見方によっては少し紺色がかった黒色となっている。

一方のバンパイアロードやバンパイアクイーンはそれまでの銀髪から金髪へと、ストリゴイとストリゴイカは銀髪から真っ赤な髪色へとそれぞれ変わっていた。


しかしストリゴイとストリゴイカは白や黒のタキシードやドレスの様な物を身に纏った、20歳前後の見た目をしているのに対し、バンパイアロードとクイーンはタキシードや真っ赤なドレスの様な物を身に纏った姿で凛と同じ位か、それ以下の見た目をした貴族の少年少女と言った感じとなっている。


そして彼らの奥で横たわる様にして、デスドラゴンが進化して神輝金級中位となったイクリプス()ドラゴンが寛いでいた。

イクリプスドラゴンは体の大きさが15メートル程となり、体を形成する骨の1つ1つが灰色がかった鋭い剣の様な形をした姿となっている。


凛達は彼らがいた事で一旦歩みを止めるのだが、少しして再び歩き出す。

アーウィンとレイラは彼らを見て息を飲んだのだが、凛達が歩き出した事で同様に歩き始めた。




「…何の用だ。」


「「!?」」


「お、貴方も人の言葉が話せると言う事は、これまでに長い時を生きたドラゴンさんって訳なんですね。」


「貴様!我々の王に対して無礼だぞ!」


凛達が彼らの100メートル程手前までやって来るとイクリプスドラゴンが紅い目を開け、上体を起こす様にしてそう言った。

アーウィンとレイラは魔物が喋るのを初めて聞いた事や、集団の中で最も大きくて強いであろう者に警戒心を持たれた事に対し、驚きを露にする。


それに対して凛は嬉しそうにして話し掛けた事で、金髪ミディアムの少年ことバンパイアロードが憤慨した様子で凛に敵意を持つ。


「良い、大丈夫だ。貴方もってこたぁ(事は)、お前さんの知り合いの中で俺みたいに喋る奴がいるって事か。」


「それは妾の事じゃな。妾はそこの凛より、朔夜と言う名前を貰ったのじゃ。」


「へぇ、お前さん強そうだとは思っていたが…名前付き(ネームド)だったのか。…こいつぁ参ったね。」


「王よ!今すぐ我らに戦えとのご指示を!」


「すぐに血祭りに上げてご覧に入れてみせますわ。」


『………。』


イクリプスドラゴンがバンパイアロードを宥めた後、少し感心した様にしてそう言うと、朔夜が右手で宵闇を腰から抜いて広げながら嬉しそうにして話す。

イクリプスドラゴンは少し困った様にして話した為、バンパイアロードがイクリプスドラゴンへ促す様に叫ぶ。

続けて、金髪を腰まで伸ばした少女ことバンパイアクイーンが、幼さを残した見た目とは裏腹に妖艶な笑みを浮かべてそう話した。


残りのストリゴイ達もイクリプスドラゴンからの指示を待っているのか、それぞれ戦闘態勢へ入ろうとする。


「馬鹿か、血祭りに上げられるのは反対にお前達の方だ。お前達が勝てるとしたら…そうだな、せいぜい後ろの奴ら位だろうよ。」


「ならば私達が!」


「そいつらを倒してみせます!」


「あ、ちょ!お前ら!俺の話はまだ終わってねぇだろうが!…くそ、やるしかねぇか。」


イクリプスドラゴンが呆れた様子で話すと、バンパイアロードとクイーンは後ろの2人を倒せと言う風に命令されたと感じた様だ。

それぞれ嬉しそうな表情で凛達に向かい、ストリゴイ達も後に続く形となる。


これにイクリプスドラゴンは慌てた様子となるが、複雑な様子で凛達の元へと向かうのだった。

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