311話
その後レオン、タリア、レオパルドとレオネル、サラとシーラでそれぞれ買い物かごを持ち、合計で買い物かご4つ分の買い物を行う。
そして買い物が済んだ後、購入した商品をそれぞれが持つアイテム袋の中へと収めていった。
アーウィンは外に出てから再び商店の中へ戻る事はなかったが、レイラは興味津々と言った感じで商店の中を見て回っていた。
しかしレイラは凛から尋ねられても仕事中だからと言って買い物を行わなかったのだが、タリアが先程購入した物の中から袋に入ったクッキーを取り出し、それを店内入口で自分達の事を待っていたレイラへ渡す。
レイラはクッキーを恐縮した様子で受け取っていたのだが、すぐに軽く笑顔となって喜んだ様子を見せていた。
レイラは先程店内を回っていた際、リュファスがいた部屋に案内した騎士に凛が袋に入ったクッキーを渡した事を思い出したのか、まじまじとした様子で袋に入ったクッキーが並べられた商品棚を見ていた。
タリアはレイラがクッキーに興味を示していたのが分かっていた為、買い物の最後に買い物かごの中に袋に入ったクッキーを入れていた様だ。
そしてリュファスは無一文の為、ステラからカップ焼きそばとカップうどん、それとペットボトルに入ったコーラを奢って貰う事に。
ステラとしてはもっと奢るつもりだったのだが、リュファスからこれで充分だと断られてしまった為、渋々納得したと言う様子になっていた。
10分後
凛達は買い物を終えたレオン達と一緒に商店を出た後、レオンからアーウィン達に運動場の様子を見せてみてはどうだと促された事もあり、一行は運動場へと向かう。
「…どこも凄い列が出来ていると思ってはいたが、皆教えを乞う為だったのだな。しかし、皆のやる気が凄いものに感じるが…。」
「いつかは先程案内したVIP宿で食事をとか、アーウィンさんがお持ちの様なミスリルの武器を手に入れたい…って思ってるみたいですね。」
「成程…。む?ここではミスリルの武器が手に入るのか?ミスリルは希少の筈なのだが…。」
「ここには武具屋に併設した鍛冶場がありまして、僕が提供した物を武器・防具として打って貰った後に武具屋へ並べているんですよ。ミスリルの他に、アダマンタイトを使った武具もあります。」
「アダマンタイトはミスリル以上に加工するのが難しいと聞いていたんだが…流石凛様だな。」
「ん。さす凛。」
「雫、アーウィンさんに便乗しないの。」
アーウィンがアーサーや流等が指南している姿を感心した様子で見て話すと、凛が笑顔で答える。
アーウィンはアダマンタイトは実物は見た事がなかったものの、知識としてなら得ていた為か凛を敬う様にしてそう伝え、雫は何度も頷きながらそう言っていた。
これに凛は苦笑いの表情となり、雫に突っ込みを入れる。
因みに、凛は今回敢えて言わなかったのだが、ルルの父親で鍛冶師のルークが凛が配下に与えているアズリールシリーズに近い所にまで、アダマンタイトとミスリルを中心とした合金の武具が仕上がって来ていた。
ルークはナビから合格を貰い次第、武具屋に商品として並べるのだと言って張り切った様子を見せ、今も鍛冶場で武具を打っていたりする。
「お、丁度アーサーの所が空いたみたいだな。ちょっと手合わせに行ってくる。」
「空いてるって言うか、次の人達が揉めてるっぽい…って行っちゃった。ちょっと行ってくるか。…すいません、どうかされましたか?」
「俺がちょっと準備にもたついてたからって、こいつが先に行くとか言い出しやがったんだよ。」
「お前がおせーのが悪いんだろ。後ろがつっかえてるんだ、早くしろよな。」
「んだと!」
「やんのか!」
ヤイナは先程凛から貰ったグラムを試してみたいと思っていたのか、そう言ってアーサーの元へと走って行ってしまった。
凛は苦笑いの表情で話している内にヤイナが向かってしまった為、アーサーから少し離れた所で待っていた男性2人の元へ向かい、そう言って2人に声を掛ける。
次にアーサーの元へ手合わせに向かう予定だった男性は大盾と片手剣を携えており、その次に待っていた男性は大剣使いの様だった。
男性2人は互いが互いを悪いと言っており、終いには掴み合いとなってしまう。
「まあまあ待ちたまえ。」
「何だお前!」
「邪魔すんな!」
「失礼、私は女神騎士団団長のアーウィンと申す。」
「え…女神騎士団…。」
「団長…?」
「そうだ。君達が揉めている事で、後ろの人達に迷惑が掛かっているのだよ。私が代わりに君達を…。」
「アーウィン様、1人は私が。」
「そうか、すまないな。私と副団長のレイラ君で君達の相手をしよう。…それで宜しいか?」
「「は、はいぃ!」」
そこへアーウィンが声を掛けると、2人は掴み合いの状態でアーウィンに吠えるのだが、アーウィンが名乗った事で2人はそう言って顔を青ざめさせていた。
どうやら2人は女神騎士団の事は知っていたらしく、面倒事に首を突っ込んでしまったと思った様だ。
そして周りにいた者達も、ざわざわとした様子でアーウィン達の事を見ていた。
アーウィンが男性2人の後ろを見ながらそう言おうとしていると、レイラが後ろから声を掛けて来た事でアーウィンは改めて2人にそう話す。
2人は先程の掴み合いから一転し、そう言って恐怖を浮かべた表情で抱き合う形となった。
その後、男性2人は10分程アーウィン達にしごかれる事となる。
しかしそれを切欠に、互いがアーウィン達のしごきにめげずに頑張る姿を見た事で友情が生まれた様だ。
2人は互いに謝った後、仲良くなってどこかへと向かうのだった。




