307話
30分後
アーウィン、レイラ、リュファスの3人はVIP宿で凛達が頼んだ(リュファスはカプロスの生姜焼を注文)料理を食べ始めるのだが、揃って今まで食べた物はなんだったのかと言う位、出された物全てが美味しい事に驚く。
しかしすぐ近くでレオン達が自分達を見ていると分かった事が幸いしたのか、(内心は別として)出来るだけ冷静に努めながら料理を食べ進めていった。
「すっげー!!さっきのバルムンクもそうだったけどよ、神話とかゲームの終盤に出て来る様な名前の武器が…(ごくり)こんなに…。」
「ねー!凄いよねー!この3本の剣は凛様から今朝貰った物なんだけど、まさか僕も貰える事になるなんて思わなかったからさー、すっごく嬉しかったんだー!」
「(ステラ、あんなに楽しそうにして尻尾を振るなんて…余程凛様から新しい武器を貰えたのが嬉しかったのね。)」
リュファスはステラが転生者だけじゃなく転性者でもある事に驚いていたが、(2人の関係性は全くなかったが)趣味が近い為かすぐに意気投合していた。
そして取り敢えず食事に満足したからか、凛達から少し離れた所でステラと話を再開する。
その際にステラは凛から3本の剣を貰った事が余程嬉しかったのか、実際に無限収納から出した事でリュファスと2人で盛り上がりを見せていた。
そしてリナリーはステラ達の割と近くにいた事もあり、そんな2人の様子を見てその様な事を思いながらほっこりとしていたりする。
ステラがリュファスに見せている3本の剣は、いずれも凛が創った後に名付けた物で、今朝の早朝訓練の時にステラへ渡した物だ。
3本の剣はそれぞれ、赤い刀身で炎を扱いやすくする剣のマルミアドワーズ、鮮やかな緑色の刀身で風を扱いやすくする剣のフラガラッハ、そして黄金色の刀身で複合属性である雷を扱いやすくするカラドボルグとなっている。
凛は昨日の朝、最終進化を終えた後も本気で強くなる為に早朝訓練へ参加している者達を見て、そろそろ美羽達の様に専用の武器を与えた方が良いのではないかと考えていた。
そしてその日の夜になって武器の作成を始めるのだが、真っ先に作ろうと思った相手が割と早くに水神龍リヴァイアサンになったもアーサーと、一緒に行動する事になったジークフリートだった。
「(けど、ステラの事だから出来上がった武器を僕がアーサー達へ渡す所や使っている所を見て、自分も欲しいなぁなんて思いそうなんだよね。僕に気を遣って言わないんだろうけど、事ある毎に物欲しそうな視線を送って来そうな気がする。)」
その為2人の武器の名前はすぐに決まったのだが、凛はその後の事を考えながら1人でくすくすと笑っていた。
凛はその後気を取り直したのか、アーサーとジークフリート以外の者達用にと言う事で、神話や伝説に出てくる名前の武器を考えては創るを繰り返す。
しかし最後に丞の武器をどうしようかと考えていた所、面白そうな気配を感じたとの事で雫が凛の元へと訪ねて来た。
凛がこれから丞の武器を創る所だと答えると、雫からは黒くてゴツくて大きい武器が丞に似合うと自信満々に力説されて帰ってしまった為、凛は雫の要望に出来るだけ応える形で丞の武器を創る事に。
そして今朝の早朝訓練を始める前に、ジークフリートにはバルムンクを(実は渡したのはこのタイミングだったりする)、アーサーには(光ではなく)青い刀身で水属性を扱いやすくするエクスカリバーを渡した。
その様子をステラがキラッキラとした表情で見ていたのだが、凛はやっぱり思った通りだったかと内心苦笑いを浮かべつつも、なるべく見ない様にして皆を呼んでは武器を渡すを繰り返していた。
やがて、流と泉にはアーサーとはデザイン違いで水属性を扱いやすくするデュランダルとアルマスを、
リーリアには木の枝が巻き付いた様な形で風を扱いやすくするエルヴンボウを、
トーマスにはステラとデザイン違いで炎属性を扱いやすくするリットゥを、
ミゲルには少し小さめで別な炎属性を扱いやすくする剣と、同じく少し小さめで水属性を扱いやすくするミュルグレスを渡そうとしたのだが、トーマスとお揃いが良いとして(早朝訓練中ではなく朝食後にサイズを少し小さくした)リットゥとミュルグレスを、
翠には死滅の森深部の木と(蛇が巻き付いた様なデザインで)枝を使い、雫のカドゥケウスよりも少し大きな翼を付けて土と光属性を扱いやすくするアスクレピオスの杖を、
梓と棗には土属性を扱いやすくするメイスと杖のシャルウルとヴァナルガンドをそれぞれ渡す。
そしてステラは凛が次々に武器が手渡していくのを羨ましそうに見ていたのだが、まさか自分も貰えるとは思っていなかった様だ。
凛から急に名前を呼ばれた事でテンパってしまったのか、ひゃい!と答えた事で皆に笑われてしまう。
そして下を向きながら恥ずかしそうにして凛の元へ向かい、凛からマルミアドワーズ、フラガラッハ、カラドボルグの3本の剣を渡されるのだが、緊張の為か手を震わせながら受け取っていた。
その後、ステラは凛から少し離れた場所に立ってにへらと笑い、受け取った3本の剣を見ながら尻尾が千切れるのではないかと言う位にぶんぶんと振っていたりする。
「それじゃ最後に丞、君にも用意はしたんだけど…これなんだよね…。」
「~♪…え、それって…エス○リボルグ?」
「やっぱり?雫からの要望に応えて用意してはみたんだけど、それにしか見えないんだよね…。」
『………。』
「さす凛。見事に私の期待に応えてくれた。」
「おー、中々エグい形をしておるのー。」
「…ありがたく頂戴します。」
そしてステラの後に茜、風華、雷華を呼ぶのだが、3人はまだ自分達が貰うには早いとの事で断られてしまった。
その為凛はそう言いながら丞の元へ向かい、鬼の金棒を凶悪にした様な見た目で黒光りする金砕棒を無限収納から取り出した後、困った様子でそう言いながら丞へ差し出す。
ステラはカラドボルグが特に気に入ったのか、ごろごろと喉を鳴らしそうな位にご機嫌な様子で頬擦りをしていたのだが、金砕棒がちらっと見えた事でそれまでの笑顔から一転して驚いた表情となる。
その後、ステラはそのままの表情で凛へそう突っ込んだ事で凛も困った様子で返事を行う。
そして美羽も予想外だったのかは○ゅねさんの様な顔になってしまい、周りの者達も金砕棒を呆然とした様子で見ていた。
しかし、何故か雫と朔夜の2人だけはそう言って満足そうに頷きながら拍手をしていていたりする。
丞は少し困った様子を見せながらもそう言って受け取るのだが、その状態でも意外に似合っていた事や、本来のオークキングの姿でも似合っていた事でその場で崩れ落ちてしまう。
更に10分後
「あ、ここだったかい。」
「(1時間程前にサーチで検索しても)見付からなかったから探したぞ。」
凛達が談笑している所へ、進化を終えて目覚めたルルとヤイナが、VIP宿の入口でそう言った後に近付いて来るのだった。




