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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
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297話

「凛様、これで宜しいでしょうか?」


「ありがとうございます。それではこちらの預かった短剣と…先程僕が折ったアーウィンさんの剣をお返ししますね。」


「…これは!(こほん)ありがとうございます。しかし…見事な物ですな。」


「はい、剣を折ったのは僕ですからね、修理するのは当然の事ですよ。それとアーウィンさん、これは命令と言う事にします。僕に対して敬語ではなく、普通に話して下さい。」


「いや、しかし…分かった。だが、せめて凛様とお呼びする事だけは許して頂こうか。」


「(くすっ)分かりました、それでお願いします。アーウィンさん、皆さんに座って頂いて構わないので、楽な姿勢になる様に伝えて貰って宜しいですか?」


「了解した。」


凛は先程、9体の分身体の内の1体を使い、真っ先にアーウィンの折れた部分を含めた剣の回収を行っていた。

そしてナビに頼んで剣を無限収納内で修復し、アーウィンが部下達へ命令した時も無限収納の中に修復済みのアーウィンが入っている状態となる。


アーウィンは騎士達が敬礼の構えを行っている中で凛にそう尋ね、凛はアーウィンへお礼を伝える。

そして凛は右手に短剣を持ったまま、左手で無限収納から修復済みのアーウィンの剣を取り出し、どちらも刃の根元を持って持ち手の部分をアーウィンの方へ向けて渡す。


アーウィンは最初に右手で剣を受け取り、受け取った剣が凛と戦う前の状態に戻っていた事に驚く。

そして取り乱した事が少し恥ずかしくなったからか咳払いをした後、左手で短剣を凛から受け取ってお礼を言う。

アーウィンは受け取った短剣をそのまま鞘へと収め、そう言いながらまじまじと剣を見ていた。


その後、凛がそう言った後に命令するとアーウィンは困った様子となり、少し納得のいかない表情で話す。

凛は軽く笑い、簡単な説明を皆へ行う為にアーウィンへそう促すと、アーウィンは頷いた後に皆をその場へ座らせる事に。




それから凛は自分の元に寄せられた神聖国へ対する評判や不満を伝えた後、身内である筈のエリオットを捕らえる様に指示を出した、或いは命令を受けた騎士がこの中にいる可能性が高い事や、女神様こと里香が自分と同じ黒髪であるかも知れない事を少し大きめの声でアーウィン達へ説明を行う。


「女神様は凛様と同じく、黒い髪をしていた可能性があるのか…。それに、騎士団本部と本山を行き来するだけで気付かなかった私にも責があるとは言え、他の国からの神聖国に対する評価は相当悪いものなのだな…。」


「アーウィンさんは先程好奇心で僕の所へ来たとは言え、その後の様子を見た感じだと真面目そうな印象を受けました。恐らくですが、それが災いしてアーウィンさんは今まで気が付かなかったのかも知れませんね。」


「成程…。しかし、それでも私の耳に入らないと言う事は考えにくいと思うのだが…。」


「女神教が騎士団と手を組んで国民の皆さんに口止めをして広めない様にしたとか、アーウィンさんの前では大人しく振る舞って本性を現さなかった、等と言う可能性もあります。そして今、この話を聞いている騎士さん達の中で、何名か心当たりのある方がいらっしゃる様ですね。」


「…凛様の口振りだと、今この場にいる者達の中で凛様の考えが当てはまった者の事が分かる様に受け取れるのだが…。」


「ええ、分かります。さっき僕が説明していた時に、動揺を見せた方が何名かいらっしゃいましたからね。(ちらっ)」


『…!』


凛の言う通り、アーウィンは先程興味本位で凛へ挑んだものの、凛の正体が自分よりも遥か上の存在だと知った事で後戻り出来ないと感じていた様だが、普段は真面目な人物だったりする。


そして一通り説明を終え、アーウィンが難しい表情でそう呟くと、凛は苦笑いの後に笑顔の表情で答える。

アーウィンは複雑な表情で凛と軽くやり取りした後、凛は笑顔のままそう答える。

凛は言い終えてから自分の周りを何ヵ所か見た事で、凛と目が合った騎士達は驚いた表情となる。


凛は少し前にサーチに手を加え、より詳しく心境が分かる様にしていた。

その為凛が説明している間に騎士達の中で当てはまった者が何人か存在しており、その中にはタッドの相手をした騎士や数人のグロリアスナイツも含まれていたりする。




その後、凛が少しでも悪いと思う事をした経験があるとこの場で名乗りを上げれば、後で分かった時よりも罪を軽くすると伝えた。

そして凛は後から分かった場合の罪の一環として、龍形態の朔夜と暫くの間過ごす事を笑顔で伝える。


騎士達は凛が伝えた内容にゾッとした表情となり、凛達は今回の件とは全く関係ない事まで懺悔(ざんげ)を受ける事に。

そして凛と目が合った事で諦めた騎士を含め、大勢の者達から名乗りを上げられる事でアーウィンやレイラは呆然となり、凛も苦笑いを浮かべていた。


しかし朔夜だけは騎士達から畏怖されたとして得意気な表情でからからと笑っており、凛達は事態を収拾するのに1時間程掛かってしまうのだった。

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