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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
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28話

「マスター。それって、ギルドで説明を聞いてる時に浮かない顔をしていたのと何か関係があったりするのかな?」


「…バレてたか。実は美羽の言う通り、さっきサルーンでガイウスさん達と話をしていた時に昨日の事を考えていたんだ。」


美羽は何かに気付いた表情となって凛に尋ねると、凛は軽く驚いた様子を浮かべる。

そしてすぐに苦笑いを浮かべ、そう言った後に皆に向けて説明をし始める。




凛は昨日の夕食後に美羽達の専用武器を一通り作り終え、最後に自分の武器の作成に取り掛かるのだが、凛はそれまでに美羽達の武器を万物創造を用いて創った事で精神力や魔力を大分消費していた。

その為、無限収納内に収めている(ナビが余った魔力を変換した)魔石を取り出した後に魔力に戻して取り込み、気合いを入れ直してから自分の刀…玄冬を創り始める。


「(ぞくっっ)…!?」


そして凛が玄冬を創り始めて少し経った頃にいきなり物凄い殺気とプレッ()シャー()に襲われた為、何事かと思った様だ。

凛はそれまで行っていた万物創造を用いた作業を中断し、サーチを用いて周囲一帯を探索する事にした。

それから凛は5分程サーチを展開し続けていたが、範囲内である半径20キロ圏内に、自分へ向けて(対して)殺気を飛ばせる(脅威となる)様な存在はいなかった。


しかし凛はこれ程明確に自分へ向けて意思表示をして来た為、決して気のせいではないと判断する。

その為凛はサーチを周囲一帯の360度から圧力が向かって来たと思われる南東の方角(角度15度位)に絞り、更に超効率化スキルも併用して森を探り続ける事にした。


それでもそれらしき相手が見付からなかった為、凛は少しずつ角度を(せば)めてより遠くの方向を調べた所、やがて屋敷から何万キロも離れた地点にいると思われる魔物にサーチが届き、その魔物から再びぞくっとした圧力をかけられた。


「…この魔物か。この魔物がこれだけ離れている僕の存在を捕捉しただけじゃなく、僕の事を『敵』だと認識しているんだね…。」


凛は冷や汗を流し、軽く笑いながらそう呟いていた。




「それから僕はその魔物を警戒しようとしたんだけど、その魔物は僕に対して軽い挨拶は済んだとでも言いたかったんだろうね。すぐに気配を消されて探れなくなってしまったんだ。それからその魔物は僕に対して何がしたかったんだろうって考え始めたら、何だかもやもやしてきちゃってさ。集中したら気分が晴れるかもって思って作業を再開し…この玄冬を創ったんだ。出来上がった玄冬の性能は問題ないと思うんだけど、さっきの影響で僕の心が弱まったとでも判断されたのか、刀も鞘も少しくすんだ色になってしまったんだよね…。」


凛は話の最後で無限収納から玄冬を取り出し、刀を鞘から抜いたり手首を捻った事で目の前で柄や鍔、刀身を眺めていた。


「…凛、そいつは強いのか?」


「正直、今の僕よりも全然強いと思う。」


「そうか…。」


火燐は少し心配そうな表情で凛へ訪ねてみるも、凛が真面目な表情で答えた為、そう言ったっきり黙ってしまった。


「そう遠くない内に、僕はその魔物と戦う事になるんじゃないかと思う。けど僕よりも相手が強いからと言ってそのまま放っておいたり、ましてや逃げたりしたらその魔物だけじゃなく、他の魔物達もワイバーン達の様に森を出る事になる。いつかその相手と戦うってなった時、せめて負けない位には強くならなきゃね。」


凛は話をしながら刀を左手に持った鞘に収めて立ち上がり、胸の前に空いた右手を持って来て拳を握った。


「そんな訳で、皆には悪いけどその魔物を倒すまでの間は、森での行動がメインになると思うんだ…。」


「…何言ってるのマスター。マスターは世界の為にやろうとしてるじゃない。マスターが謝る必要なんてどこにもないんだよ?」


「…!」


凛は話をしながら右手を下ろして俯くと、美羽は座ったままにこっと笑い、そう話しながら玄冬を握っている凛の左手を自身の両手でそっと添える。

凛は美羽に言われてはっとなって頭を上げると、皆も美羽と同様なのか頷いたのが分かった。




「皆、ありがとう。」


凛は立ったまま皆へそう言って頭を下げ、美羽は凛の左手に添えていた両手を下ろした。


「さて、待たせてしまってごめんね。君の名前は『藍火あいか』だ。藍火、これから宜しく頼むよ。」


「藍火…藍火!こちらこそ宜しく…お…願…。」


凛は頭を上げた後に女性の方を向き、そう言って藍火と名付けた。

藍火は自分の名前を噛み締める様にした後に凛へお礼を言おうとするも、名付けにより流れてくる魔素に体が適応しようとした事で強烈な睡魔に襲われてしまう。

その為藍火は最後まで言い終える事なく、ソファーに(もた)れ掛かる形で眠ってしまうのだった。

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