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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
298/594

291話

「…。(昔お姉ちゃん達から化粧品に関する話が出た時、ルーセントは光輝くって意味だと聞いた覚えがあった様な…。確かに聖都が光り輝いては見えるけど、多分違う意味で付けられてたんじゃないかな?それに女神教の人達は、この外観を維持する目的も兼ねて色々な所からお金を集めているんだね。)」


凛はタッドから聖都の名前を聞いた後、その様な事を考えていた。

実際に凛の言う通り、1500年程前に生き残ってこの地に来た者達が、創造神(里香)の様に光り輝ける存在として人々を導ければとの願いを込め、ここを聖都と決めた時にそう名前を付けていたりする。


そして凛は自身や配下達を通じて、冒険者達や王(皇)族貴族から神聖国方面以外での情報収集を行っているのだが、まず皆口を揃えて(魔法による)治療代が高い事だ。

中級魔法のヒールがポーション(銅貨5枚)より少し高い銅貨6枚、上級魔法のハイヒールが金貨5枚、そして(各国の王都等でしか受けられないとされる)超級魔法のエクストラヒールは白金板5枚とされている。


その為冒険者達は軽い傷なら魔法使いに頼むかポーションを使い、それなりに深い傷や骨折は我慢するか仲間の上級魔法使いに治して貰う。

しかし大怪我や手足の欠損になると金額的にとても手が出せない為、今までは諦めるしかなかった。


だが、サルーンでルルを完治させた凛や、次々に冒険者達の怪我を治した(コスプレをした)美羽達の影響で、どんな怪我でも治せる事が広まっていった様だ。


紅葉達は今でもサルーンで手解きを行っているのだが、その教わる側の者達の中には骨折していたり手足が欠損している者もいたりする。

凛としては無償で回復したい所なのだが、それだと女神教に突っ込まれる可能性もあると判断した為、相手に練習用の武器を持たせて数合打った後に治療すると言う名目で回復を行っている。


美羽達はたまに紅葉達の所へ行く程度だが、凛の配下から数人が回復係として紅葉達と一緒に向かい、酷い怪我の場合は光属性に高い適性がある者(美羽やエルマや翠等)が回復に向かう。

そしてその事が世界中から人々が集まる、又は神聖国から目を付けられる要因となった。


他にも各都市や街に孤児院の様な物があり、教会からの寄付金募集と言う名目で定期的に商業ギルドや冒険者ギルドからお金を徴収している。

しかし教会側が何かしらで理由を付けては相当ピンハネされてしまう為、孤児院へ届けられるお金はほんのわずかとなる。

しかし女神教を介さずに直接孤児院に寄付金等を届ける事は(女神教の都合で)ご法度(はっと)としている為、孤児院の周りに住む者達はやきもきとした様子でいたり、女神教の事を貧しい子供達を食い物にする守銭奴だと揶揄(やゆ)する者もいた。


エリオットはその事を分かっている為、教会に毎回多額の寄付をしている凛にこっそりと教えた後、寄付を止める様にと促していた。

しかし凛はそれをやんわりと断り、第2以降の領地に王国や商国、それとサルーンに近い所にある帝国の孤児院から引き取った子供達を集める事に。


因みに彼らは近い将来、丞達教育係から勉強等を教える手筈となっている。

それまでは第1領地以外の屋敷組が教育係となって子供達を各領地の屋敷内で過ごさせたり、草が生い茂る亜空間で遊ばせる等して過ごさせている。


そして10歳以上で将来冒険者になりたいと言う子供達には、参考がてら食後の訓練を見せていたりする。

先程の訓練でジークフリートの龍の姿を見せた際に、子供達はキラッキラとした目で龍形態のジークフリートを見ており、人間に戻った後のジークフリートの周りに暫くの間集まっていたりする。


他にも色々とあるのだが、女神教がお金にがめつい事、次いで聖都に近付くに連れて女神騎士団がヤ○ザの様に横柄な態度を取る傾向にある事。

更に教会等で回復をして貰う際に、女神様のありがたさを暫く説いた後に漸く回復する様になるのだが、そこで回復をして差し上げますと言った感じで上から言われる事がよく話題として挙げられる。




「…凛様、どうかされましたか?」


「いえ、何でもありません。タッドさん、このまま進んで貰って大丈夫です。あ、多分ですが馬車の中を見せろと言われると思うんですよ。タッドさんは疑問に思うでしょうが、そのまま中の様子を見せて貰って大丈夫です。」


「…?分かりました。」


「…それじゃ僕は、馬車の内部にカモフラージュを施す事にしましょうか。エリオットさん、僕の近くに来て貰って良いですか?」


「…!畏まりました。」


タッドは凛の様子がおかしいと判断したのか、馬車を止めて凛へ問い掛ける。

凛はそう言ってタッドを促し、タッドは不思議そうな表情をするものの返事をして進み始める。

凛は馬車の中へと移動した後にそう言ってエリオットを自分の所へ招くと、エリオットはすぐに反応して凛の隣へと移動する。


「…これでよし、と。悪いんだけど、皆は聖都に入るまで静かにしていてねー。」


『はーい!』


「これは…凄いですね。」


凛は板状の壁で自身を囲み、広げる前の状態に見える様な細工を馬車内部に施した。

凛は作業を終え、壁の向こうにいる皆へ向けてそう言うと、壁の向こうから返事が返って来る。

エリオットは凛の隣に来れた事で内心興奮していたのだが、凛が細工を施した後の馬車内部の様子を見て驚いていた。


その後、タッド達が聖都の入口にいる門番達とやり取りを行う。

門番はタッド達に馬車の中を見せる様に促した事でタッド達は動揺したものの、凛に言われた事を信じてカーテンをめくると、そこには狭い中で大人しく座っている凛達がいた。


タッドは大人しく座っているのが凛とエリオットだけと言う事や、馬車の内部が変わっている事に内心疑問だらけとなるのだが、門番が馬車から出て行った事でひとまず安堵する。

そしてタッドはそれからも門番と軽いやり取りを行った後に聖都の中へと入るのだった。

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