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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
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289話

午後5時前


「あの…私達もこの様な食事を頂いて宜しいのですか?」


「勿論ですよ。まだ夕食には早いと思うので、冷めても食べられるおにぎりやサンドイッチが中心となってますが…。それに、タッドさん達が協力して下さったおかげで明日の昼には聖都へ着きそうですしね。」


「ありがとうございます。(…協力って言っても、俺達はオバノンを出た後にポータルとか言うのを何度か通っただけなんだがな…。)」


「それでは、僕達は屋敷へ戻る事にしますね。明日の午前8時頃にまた来ますので、それまでは馬車の中を自由に使って下さい。あ、一応テーブルの上にトランプと言う、遊ぶ為の道具を置いてます。暇な時にでも遊んで下さいね。」


「失礼しまーす♪」


「…分かりました。」


凛達は1時間程でオバノンを通過した後に何度かポータルを潜った事で、聖都の事が分かる距離にまで近付いていた。

凛は馬車の内部に設けたポータルのスペースで先に朔夜達やエリオットを屋敷へ返し、タッド以外にも人数分のおにぎりや(カツサンドやフルーツサンドを含めた)サンドイッチセットを先に馬車内部のテーブルの上に置いていた。

そして凛と美羽は馬車から出てタッドに一人前のおにぎりやサンドイッチが入ったセットを渡した後、馬車の中に既に他の兵士達の分の食事が置いてある事を伝える。


タッドが複雑な表情で凛へ尋ねるが、それに対して凛が笑顔で頷く。

そして凛は少しの間申し訳無さそうな表情になって話し、再び笑顔で話す。

タッドはぎこちない笑顔になってお礼を言うのだが、内心そう独り言ちていた。

そして凛と美羽が笑顔でそう言った後にその場に設置したポータルで帰宅し、タッドは頬を引き攣らせたまま答える。




「…帰ったみたいですね。」


「漸くな…。はぁ…物凄く疲れた。あんな…幾らの値が付くのか分からない位、高価な馬車を置いてあっさりといなくなった事もそうなんだが、明日からもあの方々と一緒に行動せにゃならんのか…。」


「お疲れ様です。他の奴らは先に馬車の中へ向かって休んでます。確かに隊長の言う通り、あんな馬車は見た事がないですよね…。それでなんですけど、中に入ってすぐの所にある白い箱みたいな物(魔導冷蔵庫)の中に、冷たいお酒(冷えたビール)が人数分あったんですよ。それで隊長にもって思いまして。その白い箱の前に貼られていた紙によりますと、その茶色い色をしたカツサンドって言うのと合うらしいですよ?あ、横にそのお酒の開け方が載っています。」


「そうか。横…?成程、こうやって開けるのか。(プシュッ)…うぉっ!もったいない!(グビッ)…美味いな。まぁ、本来なら神国は酒に対して厳しいんだが…女神様の弟様が用意して下さったんだ、今日位は女神様も笑って許して下さるだろ。」


「(くすっ)そうですね。そうそう、隊長がみっともなく気絶した後の話なんですけど…。」


「ちょ、おまっ!あれは不可抗力だろ!…ったく。」


凛達が帰って5分程経った頃、タッドは凛の相手をした事で精神的にかなり疲れたのか、馬車から少し離れた所で黄昏(たそがれ)ていた。

そこへタッドと凛が話している間に美羽から促された事で馬車の中へ入っていた(タッドが気絶中に凛と話相手になった)部下がやって来て、そう言いながらタッドの後ろから声を掛ける。


タッドは深いため息混じりで馬車を見ながらそう言うと部下はタッドを労い、そう言いながら後ろに持っていた冷たいビールを隊長へ差し出す。

タッドは部下からビールを受け取り、横に記載されているプルタブの開け方を読んで開ける。

そして慌てた様子で泡を含めたビールを一口飲み、味わう様にしてそう言った後、苦笑いの表情を浮かべてそう話した。

部下は軽く笑った後に悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言うと、タッドは慌てる様にしてそう返すのだが、すぐに苦笑いの表情を浮かべてそう言う。


神聖国は酒に厳しく、年に数回あるお祝い以外は基本的に飲酒禁止とされている。

しかし一般の人達や女神騎士団はその事を守っているにも関わらず、女神教や女神騎士団の上層部は女神教本山等で普通に飲んでいたりする。


2人はこれをきっかけに、少しの間その場で談笑を行った後に馬車へと戻り、翌朝まで交代で休む事にした。




「ジーク、最終進化おめでとう。」


『おめでとー!』


「皆、ありがとう。」


「最近のジークは美羽ちゃん達みたいに、午前中は(死滅の)森で午後は喫茶店って感じが続いてたから、よく頑張ったよねー!」


「うんうん。ただ…ジークが寝ぼけてたのと、今の私は白い髪色だって知らないからか、いきなり抱き着かれたのは驚いたけどね…。」


「イルマ、先程はすまなかった…。」


凛がタッドに説明を終えて帰宅すると、ジークフリートが進化から目覚めていた。

しかしジークフリートは最終進化の影響で寝ぼけていたのか、エルマではなく変化スキルで白い髪色になったイルマに抱き着いている所だった。

エルマとイルマはジークフリートを引き剥がそうとするものの、神輝金級上位となって力が強くなったのか困難だった様だ。


ジークフリートは寝ぼけている影響もあって完全に姉に甘える弟の状態(おねショタモード)となっていた為、凛がジークフリートの元へ向かった後に皆に今の様子(甘えてる所)を見られている事を伝える。

これによりジークフリートは完全に目が覚めたと同時に顔が真っ青となり、皆へエルマに甘えている事がバレてしまう。

そしてこの様子を朔夜と火燐、雫の3人が、にやにやとした表情で見ていたりする。


ジークフリートが目覚めた事で一悶着はあったものの、凛達はジークや新たに加わったポール達やエリオットのお祝いの用意を30分で済ませ、凛がそう言ってお祝いを始める。

ジークフリートは皆からお祝いの言葉を受けるのだが、その度に返事を返していった。

そして笑顔のエルマと少し警戒した様なイルマがそれぞれそう言った事で、ジークフリートは2人へ対して深くお辞儀する等して精一杯謝る事に。


ジークフリートやポール達のお祝いは少し遅くまで続き、凛達はこの日を終えるのだった。

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