287話
「渚、セルシウス、お疲れ様ー。」
「お疲れ様ー♪」
「2人共お疲れ。」
「師匠!それに凛様に美羽様も!来てくれたのね。」
「凛様!態々来てくれてありがとう。」
先程の雫のネタ(?)はポール達は分からなかった為か呆けていたのだが、美羽やステラとは別に、凛、火燐、翡翠、楓、それと朔夜も軽く笑っていたりする。
凛達は一頻り笑ってからエリオット達を運動場の中へと案内した後、凛、美羽、(普通の状態に戻った)雫の3人だけが歩いて移動し、渚達の後ろからそれぞれそう声を掛ける。
渚とセルシウスは凛達の存在に驚いた後、渚は嬉しそうに、セルシウスは少し恐縮した様子でそれぞれそう言った。
「やってみてどう?これからも(かき氷屋を)続けていけそうかな?」
「そうね、動きが簡単な分やりやすいと思うわ…はい、ご注文のもも味のかき氷よ。ありがとう。(にこっ)」
「ここへは色んな人達が来るみたいだし、見ていて飽きそうに無いわね。それに…もし暇になったとしても、私達も指南役へ移れば良いだけだからね。…はい、渚。」
「ありがとう。次の方どうぞー。」
「あ、そうか。渚の場合は大鎌を長い棒に変えて、あそこで指南している菫みたいに杖術か槍術として教えれば解決する訳か。それにセルシウスは僕達の中でも強い方だし、相手が武器を持った状態で挑まれたとしても特に問題無さそうだね。って事は、2人は翔みたいに掛け持ちになる訳か…うん、良いね。それじゃ2人共、それで頼むよ。」
「「分かったわ!」」
凛が渚とセルシウスに尋ねた事で、2人は作業をしながら凛との会話を行う。
そして話の最後に凛が笑顔でそう言った事で2人が元気良く返事し、2人の今後の方針が決まった様だ。
『………。』
因みに、エリオットは運動場で左右に持った棒で杖術の指南役をしている菫を(微笑ましく見ていると見せかけて)しっかりと見ており、女神騎士団の兵士達は菫を含めた指南役が自分達よりも練度が全然上だと分かった様だ。
あんな少女が…等と言いながら唖然としていた。
午後1時前
凛は宝石店等の案内を終えた後に一行をVIP宿へと案内し、エリオット達へ注文を取る様に促す。
しかし喫茶店慣れしているエリオットや多少経験しているポール達はまだしも、兵士達は料理の名前を見てもさっぱり分からなかった為、凛が代わりに色々と注文を行う事に。
そしてエイミー達が注文された料理を次々に運んで来るのだが、兵士達がまごまごしている内にテーブルの反対側にいた火燐や朔夜が身を乗り出し、兵士達の前に並んだ(主に肉中心の)料理を取って食べたりしていた。
(凛と話をしていた)兵士は斜め前にいるエリオットが無言で食べ進めている事を見て不思議に思いながら、目の前にあるグラタンを恐る恐ると言った様子で一口食べてみる。
横にいる兵士達はその様子をじっと見ていたのだが、グラタンを一口食べた兵士がグラタンの入っている皿を更に自分の近くへ寄せ、はふはふ言いながらも無言で食べ進めていった。
残りの兵士達はその様子を見て安心したのかそれぞれ目の前にある料理を食べ始めるのだが、そのあまりの美味しさに驚いた様だ。
残りの兵士達も先程の兵士と同様に、無言で食べ進めていった。
凛が追加で料理を頼むかを尋ねると兵士達は揃って大きく頷いた為、エイミーに頼んで料理を追加で注文する事に。
「それでは最後のVIP宿の案内も終わりましたし、ポールさん達は楓達と一緒に商業ギルド総本部の建設についての打ち合わせをお願いします。楓、垰、宜しくお願いね。」
「畏まりました!」
「「分かりました…。」」
『………。』
「皆さんは食後の余韻もあるでしょうし、これから1時間位はここでゆっくりしていて下さい。1時間の休憩が終わった後、神国へ向けて出発する事にします。」
そして昼食の途中で楓と垰を呼んで一緒に摂るのだが、ポール達やエリオット達はここでも火燐達の食べっぷりにドン引きしていた。
凛は(雫は特大サイズのプリンを食べ終え、火燐と朔夜の2人は今でも食べ続けているものの)昼食が終わった事で皆へ向けてそう言った後、ポール、楓、垰の方を向いてそう話す。
ポール、楓、垰はそれぞれそう言った後、部下のオズボーン達と一緒に席を離れていった。
兵士達は火燐と朔夜の食べっぷりにドン引きしたものの、それでも料理が美味しかった事による食後の余韻に浸っていた。
凛はその様子をみてくすっと笑ってからそう言い、その後皆は思い思いに1時間を過ごすのだった。