表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~シリウ神聖国編~
286/594

279話

「はぁっ!」


「このっ!」


「くそっ!」


「せいっ!…何故だ!こっちは5人で仕掛けていると言うのに、攻撃が全然当たらない…!」


「…。」


「お前達!たった1人を相手に何をやっているんだ!誰か、あいつへ向けて魔法を放て!」


「はっ。…フレイムスピア!」


「「…フレイムスピア!」」


歩きながら馬車の方へ進む凛に対し、兵士達はそう言って次々に凛へ攻撃を仕掛けるのだが、

凛は前を歩きつつそれらを左右に動いたり、しゃがんだり軽く跳ぶ等して全て避ける。

隊長がその様子を見て憤ったのか部下の兵士達にしかり飛ばした後、3人いる魔法を扱う兵士達へ向けて凛に魔法を放つ様に促す。

そして兵士の1人が返事をした後に詠唱を行い、凛に向けて炎系中級魔法フレイムスピアを放つと、残り2人の兵士も同様に凛へ向けてそれぞれ詠唱後にフレイムスピアを放った。


「(このまま兵士達が疲れる迄攻撃を避け続けても良いんだけど、先にエリオットさんがどうなっているかの状況を確認しないとだよね。…このまま一気に終わらせる為に、目の前のフレイムスピアはわざと当たる事にしよう。)」


「…やったか?」


「…今の言葉、フラグだからあまり言わない方が良いですよ?」


「馬鹿な!あれだけの魔法を受けて無傷だと!?」


「取り敢えず、このまま攻撃を続けられても困りますし、隊長さんには少し黙ってて貰いますね。」


「な、なんだこれは…むーっ!むむーっ!」


『!?』


「貴方達も隊長さんみたいに縛られたくなかったら、そこで大人しくしていて下さいね?」


『………。』


「さて…エリオットさーん。って…どうやら縛られた上に眠らされてるみたいだね。」


凛はフレイムスピアを避けたり消滅させる事も考えたが、兵士達を油断させる為に敢えて受ける事を決める。

そしてドォンドォンドォォォンと音を立てて凛にフレイムスピアが当たった事で、隊長が凛が倒れたか窺う(お約束の)様にしてそう(言葉を)言う。

凛はフレイムスピアが当たった事で発生した煙の中からそう言って(普通の人が走る速度で)走り出し、隊長は凛の体だけでなく着ている服に焦げ目すら付いていない事に驚いた様子で叫ぶ。


凛はそう言って、走りながらス◯イダーマンの様に右の掌を前にやりながら紫水の糸を出して隊長をぐるぐる巻きにした後、口元にも糸を巻いて猿轡(さるぐつわ)の様にする。

隊長はわずかの間で体が拘束された事に引き続き驚いた後、更に糸で出来た猿轡を咥えさせられた事でその場に倒れてもがき始める。

銅級冒険者と同じ位の強さの兵士達は、複数のフレイムスピアを受けて凛がピンピンしているだけで無く、一瞬で銀級の強さである隊長が戦闘不能になった事に驚いていた。


凛は笑顔で兵士達にそう言うと、兵士達が顔を青ざめさせて動けない事で取り敢えずは大丈夫だろうと判断し、エリオットがいる馬車の中へと入る。

すると馬車の奥でエリオットが後ろ手に縛られて眠らされた状態で横になっていた為、凛はそう言ってエリオットの介抱を行う事に。




「あれ?私は確か…。」


「良かった、普通に目が覚めたみたいですね。」


「えっ!?…失礼しました、凛様が何故ここにいらっしゃるのでしょうか?」


「どうやら、エリオットさんは外にいる兵士達に捕まった様なんですよ。僕はその事に気付いたので助けに来ました。」


「外にいる兵士…ですか?あっ!末端ではありますが、女神騎士団(ヴィーナスナイツ)の方々ではありませんか。胸の所にある印は女神教の物ですし、間違いありません。」


凛はエリオットの縄をほどいた後に右手でリカバーを、そして念の為にと思い並列思考を用いながら左手でハイヒールをかける。

すると15秒程でエリオットが目を覚ました為、凛はエリオットから両手を離して声を掛けた。


エリオットは凛の声を聞いて勢い良く上体を起こしたが、どうやら恥ずかしくなった様だ。

起き上がってから少し間を置いた後、凛の方を向いてそう尋ねる。

凛は笑顔で答えるとエリオットは疑問の表情を浮かべてそう言い、1人で馬車の外に出た。

そしてエリオットは馬車を出て直ぐの所で、紫水の糸で縛られている隊長兵の胸元の隙間から少しだけだが、十字架と翼が描かれているのが分かった。

ロゴの部分に掛かっている糸だけを上下にずらし、凛へ見やすくする様にしてそう言う。


「印…?あ、胸の所に十字架と3対の翼が描かれてる。これが女神教のロゴマークなんですね。ですが女神教関係者である筈のエリオットさんを捕らえて移動するなんて、ちょっと穏やかとは言えないですよ。」


「ロゴ…?確かに…凛様の仰る通り、彼等は私を捕らえてどこへ連れて行こうとしたのでしょうか。」


「僕は恐らく聖都じゃないかなぁとは思うのですが…。(ちらっ)」


『わ、私達には何も知らされておりません!』


「それは残念です。…そう言えば、先程この方は僕を見て黒髪がって仰ってましたね。貴方なら何か知ってるのではありませんか?」


「(口にあった糸の様な物が消えた?)…おかしな術を使う。流石、異端者と言われるだけの事はあるんだな!」


凛はエリオットが見やすくしてくれたロゴマークを見た後、エリオットの方を向いてそう言う。

エリオットはそう言って首を傾げた後、凛を見てそう話す。

凛はそう言った後に離れた所にいる兵士達の方へ視線を送ると、兵士達は隊長の様に縛られたくないと思ったのか、慌てた様子で答えた。


凛は悲しそうな表情で言った後に縛った兵士を見ながらそう言い、倒れたままの状態で猿轡だけを無限収納へ仕舞う。


すると隊長は猿轡の様な物がいきなり消えた事で内心そう思った後、倒れた状態のままで虚勢を張る様にして凛にそう叫ぶのだった。

女神騎士団の女神の所はゴッデス(goddess)にしようかとも思いましたが、響きが悪く感じたのでヴィーナスナイツとさせて頂きました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ