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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
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25話

「それでは夕方にまた取りに来ますね。」


「おう、それまでにオークキングの解体は終わらせておくぜ!」


「宜しくお願いします。」


凛は笑顔でワッズに話すと、ワッズはにかっと笑いながら返事を返した。

そして凛がそう言ってお辞儀を行い、後ろを振り向いた事を合図にゴーガンが歩き出す。

ゴーガンはそのまま皆を連れる形で先導を行い、解体場を後にした。




一行は通路を抜け、再び冒険者ギルドへ戻って来た。


ガイウスの刀は通路で凛が預かる事になったのだが、ゴーガンはそのままで良いそうだ。

ゴーガンは通路を抜けて冒険者ギルドに戻った後も、鞘に収まった状態の刀を左手で持っていた。


「それじゃ、僕は自室に戻るとするよ。凛殿から貰った刀も早く飾りたいしね。」


そしてゴーガンは嬉しそうにしてそう話し、鼻歌を歌いながら2階へと上がって行った。


「(ゴーガンの奴、刀を貰えて嬉しいのは分かるが…俺は態度に出ない様に気を付けるとするか。)…凛殿の住民票がそろそろ出来る頃合いだな。我々も屋敷に戻るとするか。」


「はい。分かりました。」


ガイウスは複雑な表情を浮かべ、内心その様な事を考えながらゴーガンの後ろ姿を見ていた。

その後、真面目な表情となって凛の方を向き、2人で軽く話を行って一行はギルドから出る。


「…あんなに機嫌の良いギルドマスターを見たの、俺初めてなんだけど。」


凛達がギルドから出て行った後、誰かがそう呟いた。


「えぇ、本当よね…。」

「全くだ…。」

「何なんだろうな…。」


「…そう言えば、ギルドマスターは左手に剣みたいなのを持ってなかったか?さっき(解体場へ向かう時)は持ってなかったよな。」


『…!』


他の人達も同様に思ったのか、それぞれそう言って頷いていたのだが、誰かが不思議そうな表情を浮かべて話した事で協議が始まったりする。




凛達は再びアルフォンスを先頭、もう1人の警備を最後尾に付けて屋敷へ向かい、屋敷に着いてガイウス達と一旦別れる事に。


「では、これが凛殿の住民票だな。確かに渡したぞ。」


「ありがとうございます。…ではこちらも刀をお返ししますね。」


凛達は再び待合室へ案内されてから10分程待たされた後、ガイウスがアルフォンス達を連れてノックを行い、応接室に入ったガイウスからそう言われて住民票を渡された。

凛はそう話しながら住民票を受け取って無限収納の中に収め、代わりに先程の刀を取り出してガイウスへ渡した。


「うむ、すまないな。今日は色々あって疲れたろう?明日は凛殿と同じ頃合いに私も解体された森林龍の様子を見にギルドへ行くつもりだ。そこで会うまでは取り敢えずお別れになるな。」


「分かりました。ガイウスさん、色々と助けて頂き、ありがとうございました。」


「うむ、ではな。」


ガイウスは凛から刀を受け取った後にそう話した為、凛はそう言った後にお辞儀を行い、美羽達も同様に(女性だけ慌てた様子で少し遅れる形でだが)頭を下げる。

ガイウスは凛が頭を下げている間に頷いて話し、凛達は頭を下げている為見えていないが左手を軽く挙げ、微笑みながらアルフォンス達と一緒にその場を後にした。


「…それじゃ僕達も帰ろうか。君はどうする?」


凛はガイウス達が応接室から出て行ったのを確認して頭を上げ、頭を下げたままの美羽達を見て話し、話の途中で青い髪の女性を向いて尋ねた。


「…自分弱いんで、ご迷惑でなければ一緒に付いて行きたいなー、なんて…。」


「分かった。それじゃ一緒に行こうか、宜しくね。」


「はいっす!宜しくお願いするっす!」


女性は気まずそうな様子で返事を返した為、凛はくすっと笑った後にそう言って右手を差し出す。

女性はぱぁっと笑顔となり、先程までとは一転して元気良く話しながら、凛に差し出された手を握り返した。




凛達はガイウスの屋敷から出て凛の左側に青い髪の女性、後ろに美羽、美羽の隣に紅葉の隊列を組み、話をしながらサルーンの中(いずれも美女・美少女だったからか物凄く注目されていたが)を歩いていた。

そして街の南側にいる門番に挨拶を済ませ、そのままの編成で屋敷の方向へ再び歩き出す。


「そう言えば、さっきは僕も予想外な事が起きてすぐに終わったから見る事が出来なかったんだけど、君達ワイバーンってどんな攻撃方法があるのかな?」


それから1分程経った頃、凛は隣にいる女性にそう尋ねた。


「そうっすね…。前足の爪で引っ掻いたり牙で噛み付いたり、体当たりしたり尻尾を叩き付けたりが主っす。それとたまに口から火の玉や炎を吐く位っすね。」


「おー、口からブレス吐くんだ!何だか強そう!」


「いやー、自分達そんな強くないし、自分はその中でも更に弱いっすからねぇ…。」


女性は歩きながら考える素振りを見せて答えると、凛はワイバーンがブレスを吐く事に興味を示したのか少し興奮気味に話す。

しかし女性は苦笑いを浮かべ、申し訳なさそうにしながら返事を行った。




「君はこのままで良いの?」


凛が少し心配そうな表情で尋ねると、女性はぴくりと動いた後に下を向いて立ち止まる。


「…そんなの…言い訳がないに決まってるじゃないっすか。自分の同胞達が何も出来ないまま主様に一方的に倒された事で、自分もここで死ぬんだと思ったら凄く怖かった。そして助かるかも知れないと分かって主様に対してもみっともなく命乞いしてしまった、そんな自分が情けなくて嫌になるっすよ…。」


女性は俯いたまま両手をぐっと握り、体や声を震わせながら答えた。


「そうか…ならば問おう。力が欲しいか?」


すると凛は真面目な顔となり、女性へ向け低めの声でそう言ったのだった。

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