256話
その後、レオンは呼んだ警備達と共にガルシア達を捕らえて王城へ戻り、国家反逆罪として首謀者であるラッセルとガルシアを処刑しようとした。
しかし酒場はそれなりに被害があったものの未然に防いだ凛の言葉もあり、レオンはラッセルの宰相の地位を剥奪、ガルシアは獣王祭の参加権の永久剥奪を言い渡す。
そして2人は病等で倒れる前迄、組織の者達と共に獣国一の漁港を有する最南端の都市アゼルで漁業の手伝いをする様に命じて今回の件を終える。
レオンが何故ガルシア達にアゼルでの漁業の手伝いをかと言うと、レオパルドを通じて今後魚介類の料理のレパートリーが増えると見越したからだ。
レオンは結果的に、これでアゼルの漁獲量が増えると喜んでいたりする。
ガルシア達へは何か悪意を持って民を傷付ける事があれば今度こそ死刑と伝えてある為、ガルシア達は大人しくアゼルでの生活を送る事になるだろう、、、
「いやー!凛達にはでかい借りが出来ちまったな!もしも凛達がいない状態で、ラッセルに言われた通り1人で酒場に乗り込んでいたと思うとゾッとするぜ…。」
「全くです。まさか長年城の宰相をしているラッセルが私達を裏切るとは思いませんでしたわ…。」
謁見の間にて一通りの事が済んだ午後5時頃、レオンの一声でレオン一家と凛達以外の者達を下げる。
そしてレオンは大きな溜め息をつくのだが、一転して直ぐに凛に笑顔を向けてそう言った。
しかしやはり不安だったのか、複雑な表情になってそう話すとタリアは悲しい表情でそう言う。
どうやらラッセルは代々宰相の地位にいる家系に生まれた様なのだが、同時に裏の組織の代表も代々続いていたとの事。
レオンの様に都民に被害を齎す裏の組織をどうにかしようとする獣王が過去にもいたのだが、ラッセル達宰相がのらりくらりとかわした事で先程迄維持し続けていた様だ。
そしてレオンよりも羽振りが良いガルシアから甘い汁を吸っていた後に獣王の地位がレオンへと代替わりをした為、暮らしの豊かさがガルシアより下がった事で物足りなくなり、以前の豊かな生活を行おうと今回の件を企てたそうだ。
「凛達は今日こそうちで晩御飯を食べていくんだよな?」
「んー…レオン様達のご迷惑で無ければ、ごちそうになろうかな。」
「迷惑も何も、凛達は俺達にとって恩人も恩人、大恩人なんだぜ!寧ろ俺達の方が是非凛達にご馳走させて欲しいんだよ。」
「分かった。それじゃ、お言葉に甘えさせて貰うね。」
「分かったぜ!良かったな、お前達。」
「ええ。」
『はい!』
レオンが立ち上がって凛の元へ向かいながらそう言うと、凛は少し考えてから答える。
レオンはにかっと笑ってそう言い、凛は頷いて言葉を返す。
これにレオンは喜んだのか笑顔でタリア達の方を向いて言い、タリアとレオパルド達も嬉しそうに返事を返した。
その後凛にはレオンとレオパルドが、朔夜にはタリアが、ステラにはサラとシーラがそれぞれ話をしながら一緒に食事を行う。
そして溢れてしまった段蔵とレオネルの2人が、揃って黙々と食事を行ったりぼそぼそと会話を行っていた。
「凛、パスカードをありがとうな!明日はこっちから伺わせて貰うぜ!」
「分かった。それじゃまた明日。」
「おう!またな!」
凛は食事の最後にレオンへエルフの里と凛の領地が行き先として登録されたパスカードを渡す。
レオンは凛から受け取ったパスカードを両手で掲げて見るのだが、その間サラとシーラも見たいのかレオンの横で精一杯背伸びをしてパスカードを触ろうとしていた。
パスカードは家族が一通り見た後にレオンへと戻され、レオンは右手にパスカードを持ちながら凛達を見送る。
凛はそう言って会釈を行い、朔夜達も会釈を行ってポータルを潜っていく。
そして最後に凛がポータルを潜った事でこの日を終えるのだった。