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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~獣国マーレシス編~
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255話

「…。(パシッ)」


「…!ぐっ…!何だ、う、動かねぇぇっ…!」


「だから、暴れないでって…何度言えば分かるのさ!」


「あば、あばばばばばばば…!!」


「うぉっ!なんだありゃ!?」


「「…!」」


ガルシアが右手を突き出したまま、ステラの横を通り抜けようとしていた。

しかしステラが無言でガルシアの腕を掴んだ事で、ガルシアはばたばたと動いて逃れようとする。


そこへステラが少し怒った様子で、叫びながら先程凛を通じて得たばかりの纏雷を発動させる。

するとガルシアは雷を帯びたステラの腕を通じて感電してしまい、体を仰け反らせながら悲鳴を上げる。

その光景を見てレオンはビクッと体を強張らせて驚いた様子でそう言い、サラとシーラは共に口元に手をやりながら目を見開いていた。




「が…がが……がはっ……。(ドサッ)」


「…ふぅ。初めて纏雷を使ったけど、一先ずはこんな感じかな?全く、聞き分けの無い大人の人は困るよ。」


「すげぇ…。腐っても俺と同じ魔銀級の強さを持つガルシアを、あんなに簡単に倒すとは…。」


「さて…ガルシアとやらは倒れてしまった様じゃが、其方等はどうするのかの?大人しく投降した方が身の為じゃぞ?」


『………。(スチャッ)』


「無駄じゃ。他の者達と同様に大人しく寝ておれ。」


『…!』


ガルシアは上を向いて口から煙の様な物を吐き、少しの間呻き声を上げた後に倒れる。

ステラは倒れたガルシアを呆れた様子で見ながらそう言うと、レオンはそう言いながら感心した様子で、サラ達は憧れの眼差しでステラの事を見ていた。


朔夜はステラ達の様子を見終えた後に4人の猫の獣人へと問い掛けるが、4人は黙ったままで別に持っていた短剣を構える。

しかし朔夜はそう言った後にスキルを使い、4人の首から下を黒い靄で覆って身動きを取れなくする。

4人は身動きが取れないまま床に転ばされた事で驚いた表情となった。




直後


ドォォォォォン!!


「うぉっ!!何だ!?何の爆発だ!?」


「「きゃっ!」」


凛達がいる酒場から離れた所で大きな火柱が上がった。

凛達は普通にしていたが、レオンはそう言ってビクッと体を強張らせた後に周囲を警戒しており、サラとシーラは怖くなったのかステラの両腕に抱き付いて来た。


「(凛様ー。言われた通り建物の中にいた人達を外に出した後、ふにちゃんのブレスで建物を焼いといたよー。)」


「(クロエ、ご苦労様ー。建物から避難した人の中に、代表の人はいるかな?)」


「(ちょっと待っててねー。…んとねー、ラッセルって名前の熊っぽい人が代表みたいだよ。)」


「(やっぱりそうだったんだ。ちょっと待っててね。)」


「(はーい!)」


クロエは気持ち良さそうに寝ているレオネルを昊に任せ、凛に頼まれて王都イングラム内にある裏の組織の建物へ向かう。

そして段蔵の協力やリズやスパさん達を召喚して建物を制圧し、建物内にいた100人程を速やかに建物から出した後、進化先のファフニールからふにちゃんと名付けた業火龍(♂)のブレスで建物を焼いた事で先程の大きな火柱が上がった。


凛はクロエと暫くの間念話でのやり取りを行った後に一旦中断し、15秒程経つとクロエからその様な報告を受ける。

凛は裏の組織の代表がラッセルである事に得心がいったのか、そう言いながら頷いていた。

凛はそう言ってクロエとの念話を終える。




「レオン様、ラッセルさんをご存知ですよね?」


「ん?ああ、あいつはこの国の宰相をやってるからな。…ラッセルと今の爆発に何か関係があるのか?」


「どうやらラッセルさんはそこで倒れているガルシアさんと共謀して、レオン様を獣王と言う立場から引き摺り落とそうとしていたみたいですね。」


「…そうだったのか。それでさっき、ラッセルは兵士を連れなくても俺1人でガルシアの処理が出来ると言っていたんだな。」


凛はレオンの元へ来た後に尋ねると、レオンはまだ少し警戒していたのか少しだけ驚いた後に考える素振りを見せて答え、反対に凛へ尋ね返した。

レオンは凛からそう言われた事で納得したのか、頷きながらそう答える。


レオンは先程、兵士からガルシアが暴れていると報告を受けた後にアライグマの獣人で宰相のラッセルから、ガルシアの相手は慣れただろうからレオン1人でも充分に対応出来るのでは、と言われた。

レオンは少し考えた後に了承し、兵士を連れずに1人で謁見の間を出る事にした。


するとレオンが出てから10秒程経った後にラッセルが急な用事を思い出したと言って謁見の間を出た為、怪しいと思った朔夜は段蔵に頼んでラッセルのあとをつけさせる事にした。

ラッセルはクロエがレオンと一緒に歩いて酒場へ向かった事を知らずに、別な所から王城を出て自身が代表を務める裏の組織へと足早に向かって行った。

そして金級の腕前を持つ6人の猫の獣人にレオンを捕まえる様に指示を出す所を聞いた段蔵を通じて、凛と朔夜は行動を起こす事を決める。




「連れて来たのじゃ。」


「…朔夜は行動が早いね。」


「褒め言葉として受け取るのじゃ。」


「さて、色々と手間が省けた事に喜んで良いのか微妙な所ではあるんだが…。ラッセルよ、当然覚悟は出来ているんだろうな?」


「(あのガルシアがここ迄ぼろぼろに…!)ひぃぃっ!レオン様、お許しを!」


朔夜はいつの間にかポータルを使ってラッセルを連れて来た様だ。

朔夜はまるで猫を掴む様な持ち方で身長110センチ程と小柄なラッセルの首の後ろを掴み、酒場の2階から階段を下りた後に入口迄運んで来てそう言った。

凛は半ば呆れ顔でそう言うと、朔夜はラッセルをぶら下げたまま得意気な表情で答える。


レオンは何とも情けない姿となったラッセルを見てそう言うと、ラッセルは床に倒れているガルシアを見て内心動揺したのか、首を掴まれたままぷらぷらと浮いている状態でレオンへ懇願するのだった。

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