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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~獣国マーレシス編~
251/594

246話

「…何だこれは。決闘が始まって2時間は経つと言うのにこちらばかりがやられ、相手は無傷のままではないか!お前達、何の為に高い金を出して雇っていると思っているのだ!!」


決闘が始まってから2時間が経った。

暁達は軽く息が上がってはいるものの全員無傷なのに対し、既にブンドールの配下の一般兵士達2000人以上が平原のあちこちに倒れている。


暁達が持っている武器は木で出来た練習用の武器ではあるが、その原材料となる木は死滅の森深層にある物を伐採し、無限収納内で軽く圧縮する等して加工した後に形を整えた物となっている。

その為鉄よりも硬い木と言う事に兵士達は思考が追い付かないのか、兵士達の武器や盾、それに鎧が曲がったりひしゃげた事で呆けてしまう。

そしてそれが致命的な隙となって戦闘不能に追い込まれる者も少なくなかった。


ブンドール侯爵の側近である上級兵士や一般兵士を纏める兵士長達は後方にいる為健在なのだが、自分達の武器よりも質が上な事や暁達が全然弱っている様子を見せていない為、まだ前線に出ていなかったりする。


「…しかし、このままでは不味いかも知れんな。念の為にと思い奴を連れて来たものの使いたくは無かったのだが…致し方あるまい。誰か、奴をここへ呼んで来るのだ!」


ブンドール侯爵は私兵達の不甲斐なさを見てそう叫んだ後に誰かを呼ぶ様に指示すると、兵士の1人が後方へ向けて走って行った。




「…グォォォォォ!!」


「どうだ!こいつが切り札のトロールキングである!如何にお前達が強かろうが、魔銀級のこいつにはかなうまい!」


「これはっ…!」


「紅葉様?急いで前へ出て来た様ですが、どうかされたのですか?」


「あのトロールキングの周りに無数の怨念が見えます。恐らくですが、今迄多くの方を手に掛けた影響でしょう…。」


「…!なんと言う事を…。」


「………。」


その後5分程戦闘を行っていると、平原の向こうからドシン、ドシンと地響きを上げながら近付いて来る者がいた。

その者とはトロールキングの事で体長が5メートル程に迄大きくなり、強さも魔銀級中位に上がっている。

しかし残念ながら悪知恵と言う意味ではトロールより上ではあるものの、知能自体は更に下がっている。


そしてこのトロールキングは人を、更に言えば若い女性を好んで食べる習慣がある。

ジラルドでもそうだったのだが、サルーンから出て平原に戻って来る迄の間にも兵士達が街や都市で購入した奴隷、又は道行く女性を捕まえては散々慰みものにし、ボロボロになって動けなくなった所をトロールが食べると言う事が多々あった。


トロールキングは()()を済ませた事で先程迄寝ていたのだが、ブンドール侯爵の兵士に起こされた事で苛立った状態の目覚めとなる。

そして起こした兵士は苛立ったトロールキングによる払った手に吹き飛ばされた事により、そのままの勢いで木に激突して亡くなっている。

暁達は相手に外傷を負わせてはいるものの必要以上には行っていない為、これが初めての死亡者となった。


トロールキングは決闘場所に辿り着くと大きく吠え、その近くではブンドール侯爵が自慢気に説明を行っている。

紅葉はトロールキングにより亡くなられた人達の怨念が見えたのか、暁よりも少し前に出て来てそう言った。

暁はトロールキングの周りにいる怨念が見えない為か不思議そうな表情で紅葉に尋ねると、紅葉は悲しそうな表情で説明を行う。

暁は紅葉の説明を聞いて目を見開き、その後歯(ぎし)りをしてトロールキングを睨んだ。


クロエは紅葉の死霊魔術(ネクロマンシー)によってよみがえったからか、紅葉同様に悲しい表情でトロールキングの事を見ていた。




「…?ウホッ!グオオオ!!」


「そうだ!あんな奴等お前の力で一捻りにしてやれ!!」


「…あの者の相手は私がします。」


「分かりました。」


トロールキングは紅葉を見付けると、良い女!とでも言いたそうに興奮した表情となり、鼻息を荒くしながら小躍りをしていた。

ブンドール侯爵は頷いた後、暁を左手の人差し指で指差しながらそう叫ぶ。

周りにいた兵士達がトロールキングの妨げにならない様に予め避けていた事もあるのだが、紅葉が圷と颯を構えて言った後に暁がそう言って身を引いた事で紅葉とトロールキングの一騎討ちの様な構図となった。


「グォォォ!」


「それでは…参ります!」


トロールキングは紅葉を捕まえようと、両手を開いて早歩きで移動を始める。

それに対し紅葉は両手を斜め下にやりながら圷と颯を開き、そう言って迎え撃つのだった。

ウホッいい男ではなかった様です←おい

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