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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
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23話

「はぁ…君は昔から子供みたいな所があるからなぁ…。あ、そう言えばあの建物は凛殿が建てたって言ってたか。ハンナ辺りが喜びそうな話だね。」


「ハンナ?」


「昔のパーティーメンバーの事さ。ハンナは魔法使いだからか、魔法に関してそれなりに詳しいんだけど…ひとまずこの話は置いとこうか。僕も魔銀級の強さと言われている森林龍を見てみたいし、このまま解体場へと向かうとしよう。」


ゴーガンは下を向きながら諦めた様な表情で再び溜め息をついた後、凛の方を向いてそう話した。

これに凛は疑問を浮かべた表情で尋ねるも、ゴーガンはどうやらあまりハンナと言う人物について語りたくはなかった様だ。

すぐに話を切り上げ、そう言って立ち上がって入口の方へ向かった為、皆で解体場へ向かう事となった。


「こっちだよ。」


それからゴーガンがそう言いながら先頭で案内を始め、凛達もゴーガンの後ろに付く形で移動を行う。

そして凛達はギルドマスターの部屋を出て1階に下りた事で冒険者ギルド中の視線を集めるのだが、あえて気付かないふりをしてギルドと酒場の間を仕切っている木の壁付近にある素材の買い取りのカウンター横を通り、奥にある扉を開けた。


その扉を抜けて10メートル程の通路の先にある扉に、縦が100メートル、横が200メートル、高さが15メートル程の広さを持つ部屋に出た。

どうやらこの広い部屋がギルドの解体場の様だ。




「ワッズはいるかーい!」


「誰だ俺の名前を呼ぶのは!」


ゴーガンは解体場に入ってすぐにそう叫ぶと、ゴーガンから30メートル程離れた所でしゃがんで作業をしている男性が叫びながら立ち上がり、睨みながらこちらの方を向く。


「…ってギルドマスターじゃないですかい。今日はどうしたんです?」


しかし叫んだ相手がゴーガンだと分かると途端に(少し怖い)笑顔となり、そう話しながらこちらへ歩いて来た。


ゴーガンからワッズと呼ばれた男性は年の頃は40代半ば程。身長は187センチ位のがっちりとした体格をしており、強面でスキンヘッドの男性だった。


「いやぁ悪いね呼び出して。今回は、こちらの凛殿が森林龍を見せてくれるとかで来たんだ。それと、こう見えて男性だそうだよ。」


「へぇ?森林龍は話でしか聞いた事がなかったんで、是非俺も見てみたいですねぇ!凛…だったな、出す場所は今のこの部屋でも足りそうか?」


「そうですね…あ、あの辺りでしたら大丈夫そうです。あちらをお借りしますね。」


「おうっ、それじゃ頼むぜ!」


ワッズはゴーガンからそう言われた事で興味が湧いたらしく、ゴーガンから凛に視線を移して尋ねた。


凛はそう言いながらウルフやオーク等が解体されている様子の部屋を眺めていると、入口から斜め右に50メートル程進んだ所に広いスペースを見付けた。

凛が指定した所を指差し、ワッズは森林龍を見たいと言う好奇心からかそわそわした様子で凛へそう促す。


「それでは今から出しますので、皆さんはここから動かないで下さいね。…はい、っと。」


凛はそう話しながら空いてるスペースへ向かい、無限収納から森林龍を出して床に置いた。




「ふぇー!大きいねー!」


「凛様流石です…。」


『………。』


美羽と紅葉は初めて見る森林龍にそれぞれ感動した様子を見せていたが、ガイウスやゴーガン、ワッズを含めた解体場の作業員一同は、森林龍の大きさと存在感に圧倒されたのか固まっていた。


凛が出した森林龍は、切断した首以外に付けた傷がナビに言われて宝玉を取り出した胸付近だった為、かなり綺麗な状態となっている。


「こいつぁーすげぇっ!!首と胸の所以外は傷1つねぇ完璧な状態じゃねぇか!これ程の大きさなのに余計な傷を付けないで倒すなんて、お前さん物凄く強いんだな!恐れ入ったぜ!」


「あの、痛いので止めてもらえると…。」


「おぉ、悪い悪い!」


ワッズは一同の中でいち早く我に返った後、感動した様子でそう言いながらバシバシと凛の背中を左手で叩いていた。

凛は実際は痛くはなかったが、周りの目があった為かやんわりとワッズに止める様に促す。

ワッズは凛に言われた事で叩くのを止め、そう言った後に豪快に笑った。




「ガイウスさん達にも一応伝えましたが、僕は冒険者になるつもりはないので買い取り価格は控えめで大丈夫です。それと、骨や鱗等の素材になりそうな所の処理はそちらにお任せしますが、肉等の食べられる部分は譲って頂けるとありがたいです。森林龍がこの大きさですから解体に時間が掛かると思いますし、今回はこちらだけにしますね。」


「何て勿体ない…。お前さん、何もない所から森林龍を出したって事は空間収納スキル持ちなんだろ?ってか、まだ他にも出せるってのかい…。」


凛が笑顔でそう話すと、ワッズは買い取り額が普段の半分になる為引いた様子を見せた。

しかし森林龍以外にも収納出来るだけの容量があると言う事に疑問に思ったのか、何とも言えない表情で話す。


「そうですね…体積で言えば、森林龍の8倍から10倍位になる…かな?」


「はあっ!?」


凛は少し考える素振りを見せた後に答えると、ワッズは森林龍の大きさの10倍…つまりこの解体部屋のほとんどが魔物で埋まると判断した為か、物凄く驚いた表情となる。

そしてガイウス達や他の作業員達も同様なのか、揃って目を見開いていたのだった。

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