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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~獣国マーレシス編~
242/594

237話

「ふんふふ~ん♪」


「美羽ー!いくら嬉しい(今朝の)事があったからって、お前1人で魔物を倒し過ぎだ!…見ろよ。紅葉達は困っているし、雫は唸っているぞ。」


『あはは…。』


「ぐぬぬ…。シールドソードビットにかなりオリハルコンを混ぜるなんてズルい…。」


美羽は昨晩凛から、改良されて少し黒がかった金色のシールドソードビットを渡される。

改良されたシールドソードビットはオリハルコンの割合が多い為か、今迄の物よりも強度・反応速度共に飛躍的に向上している。


美羽は今朝、凛と毎回行っている早朝訓練開始前の手合わせの際に、新しいシールドソードビットを用いた攻撃を凛へ行っていた。

すると今迄の物よりも反応速度が増したからか、1回だけだが凛の左頬を(かす)める事が出来た。

勿論ここ最近午前中に行っている死滅の森の散策で美羽自身が強くなっている事もあるのだが、それでも今迄の攻撃は全て防がれていたからか、美羽は凛に当てる事が出来たと大変喜んだ。


それのせいで受かれているのか、森の散策を始めて30分程経った今でも美羽は鼻歌を歌いながら改良されたシールドソードビットを駆使し、(美羽1人だけ皆から少し離れた場所で練習したかったからとは言え)誰よりも早く多く魔物を倒し続けている。

美羽は討伐の合間に攻撃していないシールドソードビットを操作し、ジャガーノートやカトブレパスと言った魔物を積み上げていた。

火燐は美羽がシールドソードビットを練習している様子を見に来たのだが、魔物の山を指差して美羽へ注意する。

火燐と一緒に来た紅葉、旭、月夜、小夜、クロエは火燐達の様子を見て苦笑いを浮かべ、暁は困った顔で左の頬を掻いていた。

翡翠と楓も苦笑いを浮かべるが、雫だけはそう言って唸っていた。




「ごめんなさーい!お詫びと言ってはなんだけど、今日は少しだけ(死滅の森の)奥に進もう。ボクは朔夜ちゃんと同じ位の強さになれたし、残りの時間は皆のサポートに徹するよ。」


「…皆、聞いたな?マジックポーショングミもある事だし、それを使って残りの時間は美羽以上に目一杯魔物を倒してオレ達も強くなってやろうぜ!」


『おぉーっ!』


「は、はかられた…!」


美羽は両手を前で重ねて謝罪すると、火燐はにやりと笑いながら皆へ話し掛ける。

皆も途端(とたん)に笑顔となって右手を挙げて声を上げた為、美羽はショックの余りは○ゅねさんの様な表情となってそう呟いた。




「折角全身が刃物だってのに、美羽の影響でろくに身動きが取る事が出来なくて残念だったな。美羽、サンキュ。」


「美羽様、ありがとうございます!」


「いえいえー♪」


散策を再開して直ぐに、ソードドラゴンが進化してブレイド()ドラゴン、そこから更に進化したセイバー()ドラゴンが2体現れた。

セイバードラゴンは体長が10メートル近くで神輝金級中位の強さを持ったドラゴンで、全身がミスリルで出来ている為か白銀色をしている。

ソードドラゴンと同じく剣の意味を持っているが、翼を含めた全身の至るにある刃物の鋭さや強さが段違いだった。


しかし美羽の改良されたシールドソードビットによって、爪や肘、膝の部分が剣の様になった手足や尻尾、それと短剣と同じ位の大きさをした翼の羽を飛ばす等の攻撃を弾かれる等して悉く無力化されてしまう。

最期はどちらも森の木にシールドソードビットで押さえ付けたり、翼を木に打ち付ける等して動けなくなった所を、普段よりも武器に注ぐ魔力を増やした火燐と旭によって一気に倒される事になる。


ゴウゴウと真っ赤に燃え盛るレーヴァテインを持った火燐と、バチバチッと紫色の電気を帯びた紫電を持った旭がそれぞれセイバードラゴンを倒した後、2人は美羽の方を向いて感謝を述べる。

美羽は右手を振り、ニコニコとしながら答えた。




「ゲイザー以上にうねうねしてて気持ち悪かったです…。」


「クロエちゃん。間違ってもバックベアードは配下にしちゃダメだからね?」


「いやー、流石に私もバックベアードは遠慮したいかなー…。」


次に複数のゲイザーを伴ったバックベアードが現れた。

バックベアードは神輝金級の魔物で体長が7メートル程はある、黒い瞼と言うか膜の様な物に覆われていた。

そして黒い膜の部分からは人間の手の様な触手が無数に生えており、瞳の部分からは毒・麻痺・石化と言った視線を相手へ送る事が出来る。


バックベアードはうねうねと触手を動かしながら空を浮いて近付いて来ると言う、その奇妙な見た目の影響で別な意味で美羽達を震え上がらせた。

美羽はバックベアードが視界に入った後、敵意を持ってこちらへと向かって来る事が分かってから直ぐに悲鳴を上げながらシールドソードビットで触手を切り落とす。


バックベアードが自身の触手が一気に刈り取られた事で驚いている隙に、翡翠がテンペストアローを、楓がロックスピア・ディケイドをそれぞれ涙目で放つ。

テンペストアローとロックスピア・ディケイドはバックベアードの瞳と思われる部分へ突き刺さり、バックベアードはそのまま地面へと落ちて動かなくなった。


楓はバックベアードを倒した後も涙目のままでそう言うと、翡翠はキッとした表情をしてクロエへ向けてそう言う。

クロエは苦笑いを浮かべ、困った様にそう言った。




「(…それじゃ、これから宜しくお願いするね?)」


「(そうだな。済まんが厄介になる。)」


ある程度散策を進めた所で、神輝金級中位の強さを持つフレースヴェルグが現れた。

フレースヴェルグは8メートル程の大きさの鷲の魔物で、全身が白っぽい羽で覆われている。


フレースヴェルグは美羽達に攻撃を仕掛ける事無く様子を見ていた為、不思議に思った美羽が念話でコンタクトを取る。

その後5分程念話で話して仲良くなった事で、どうやらフレースヴェルグが仲間になってくれる様になった。

美羽達はその後少しだけ散策を行い、美羽も建てられる様になった大きめなポータルを設置する。

そして新たに仲間になったフレースヴェルグと共に、美羽達は領地の名付け部屋へと帰るのだった。

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