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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
23/594

21話

「「「なっ!?」」」


「君達ワイバーンが逃げたって事は、やっぱり死滅の森に異変が起きてるんだね。」


ガイウス達3人はワイバーンの女性が逃げたと告げた事により驚きの表情を浮かべて言うのだが、凛は想像通りだったからか特に驚いた様子を見せず、納得の表情でそう話した。


「つまり、今回お前達は森に異変が起きたから仕方なく街を襲った…とでも言いたいのか?」


「じ、自分は違うっすよ!?自分群れの中で1番弱いし、あんまり争い事が好きじゃないんす!だから(森から)逃げる時に、わざわざ混乱させるのもどうかと思ってこの街を避けて行こうって言ったんすよ。けど皆は真っ直ぐ逃げながら適当にブレスを吐くから、街に向かっても大丈夫だって聞かなくて…。」


ガイウスは森の異変によるワイバーンのとばっちりで危うく街が滅ぼされていたかも知れないと思ったのか、そう言って怒りの形相を浮かべて女性の事をぎろっと睨み付けた。


女性は慌てた様子でそう言って自分の前で両手を振る仕草を取った後、かつての仲間に自分の意見を聞いてもらえなかった事で落ち込んでしまう。


「…ガイウスさん、僕が森林龍に襲われたと言っていた場所は死滅の森表層で、なんですよ。森林龍の強さは魔銀級念なのにも関わらずです。これはおかしいと思いませんか?」


「む、そうだな…。魔銀級の強さを持つ魔物は、森の中層以降になると当たり前の様に出て来ると記録には残っている。しかし今は違い、森の表層にも出る様になったとでも言うのか…?だが調べようにも、王国で1番強いとされる魔銀級冒険者は王都にしかおらんからな、この街へ呼ぶのに国王や王都のグランドマスター(冒険者組合総長)の許可がいる。どうしたものか…。」


青い髪の女性1人がガイウスから攻められていた為、凛は女性のフォローをしようと考えたのかガイウスへそう説明した。

ガイウスは凛に話し掛けられた事で少し冷静になるが、話が段々と大掛かりになってきた事もあって顎に手をやりながら考え込んでしまう。


「強さでって意味でしたら、僕と美羽がその魔銀級冒険者さんやグランドマスターさんよりも多分上になります。ですので、僕達が死滅の森へ向かえば問題はないかと。」


「上…?そう言えば、凛殿は先程1人で(森林龍を)倒したのだと言っていたな。」


「ええ、そうですね。」


そこへ凛が自分の胸に左手を当て、右手で美羽を指し示しながら話した事でガイウスは感心した様に言い、これを凛が頷いて肯定した。


「…ふむ。私も森林龍を見てみたいと言うのもあるのだが、皆で実証を兼ねたい。凛殿、皆でその森林龍の死体を見る事は可能か?」


「勿論可能です。ですが出したくても…この部屋だと狭いので出せそうにないですね。」


「何…?凛殿は森林龍の死体を今すぐにでも見せれるとでも言うのか?」


「ええ、僕は()()()()持ちですからね。」


ガイウスは凛の事を窺う様にして尋ね、その度に凛は笑顔で答えていった。




凛はガイウスからの問いに無限収納(インベントリ)ではなく空間収納(アイテムボックス)だと答えた。

これは空間収納スキルによる空間内に収める容量がそれほど広くない事もあるのだが、そのスキルを持っている人が世界的に見ても1万人に1人位の割合とかなり少ないからだ。


しかし空間収納スキルで収める容量はあまり広くないとは言え、スキル持ちがいる事でその容量分だけ実際に運ぶ荷物等の量が減るのは事実だ。

その為空間収納スキル持ちの存在が分かるとすぐ、未だに領土を拡大しようとして王国や神聖国のあちこちにちょっかいをかける帝国や、銅貨1枚でも多く商品を売って稼ごうとする商国からのスカウトがやって来る。


ましてや凛は容量を無視して無限に収納出来ると言う、とんでもないスキルの持ち主だ。

凛はここで正直に無限収納だと言ってしまうと、いずれガイウス達に迷惑がかかってしまうかも知れないと思い、空間収納で通す事にした様だ。


凛の他に無限収納スキルを持っている者は里香以外に存在しない為、いずれ無限に物を入れる事が世間にバレるかも知れない。

しかしその時までにスカウトを断る用意をすれば良いと前にナビから言われていた為、凛はその提案に乗ったのを思い出してガイウスに空間収納だと答えるに至った。




「ついでにって訳ではないのですが、僕達の中で魔物の解体が出来る人がいないんですよ。なので魔物の素材の買い取りとかして頂けるとありがたいのですが…。」


「勿論可能だが…凛殿は冒険者ではないのだろう?冒険者でなく一般として売ると買い取り額が半分に減ってしまうぞ。森林龍を単体で倒せるだけの実力があるにも関わらず、冒険者になろうとは思わないのか?」


「冒険者って一定の階級に昇格すると、貴族や国から召集を受ける等の義務が発生するんですよね?」


「確かに…一流とされる銀級になると、貴族や国からの指名依頼が来たり、大規模な依頼に強制参加する様にとの義務が発生するな。」


「今回のワイバーンの襲撃の様に、非常事態が起きた時に僕がすぐ対処出来る距離にいたら勿論対処しに伺わせて頂きます。しかし仮にですが、遠くでの大規模な依頼の為に目の前で困っている事の対処が出来ない等、義務に縛られて他が疎かになるのではないかと思ったんですよ。僕はそれは嫌だと感じまして、冒険者ギルドへの登録ではなく、街の住民権のお願いをさせて頂いたのです。」


「成程…。凛殿程の強さがあれば、間違いなく目を付けられて王都へ召集されていたであろう。ここは凛殿の考えのおかげで街が救われたと言っても良いのだろうな。凛殿、感謝する。」


その後も凛とガイウスによる話し合いは続き、話の最後でガイウスは立ち上がって凛へ深くお辞儀を行い、アルフォンス達もガイウスから少し遅れる形で凛に頭を下げる。


「そんな、僕は当然の事をしたまでです!ですので皆さん、顔を上げて下さい!」


「いや、凛殿達がいなかったら、街は決して無事で済まなかっただろう。街の長として、恩人に礼を言うのは当然の事だ。」


凛は慌てた様子でガイウスへ頭を上げる様に促すのだが、ガイウスは頭を下げたままの状態で話した。


「成程…じゃなくて、えぇっと…そうだ!皆さん、時間はお昼を過ぎてますし、お腹が空いてますよね?」


「む…?そうだな。私と後ろの警備の1人は()()()()と違い、食べ物を口にしてないからな。それに、安心したからか少し腹が減った気がする。」


凛が話を逸らそうとしてそう提案すると、ガイウスは話しながら思い出した様な表情で頭を上げ、横目でアルフォンスの方に視線を送る。

対するアルフォンスは自分の事だと分かった為かびくっと体を強張らせた後、明後日の方を向いてこの場をやり過ごそうとしていた。




「(良かった、上手く話を逸らす事が出来た…。)…でしたら僕がテーブルにお昼ご飯を並べますので、皆さんで食べましょう。是非アルフォンスさん達も一緒に召し上がって下さい。」


凛は内心安堵しながらそう言った後、テーブルの上にチャーハンとれんげをセットで人数分並べ始める。

そのチャーハンは白くて少し深めの皿の上に300グラム程の量で盛られており、お玉を使ったのか綺麗な半円球状の形で整えられていた。


「凛殿、すまないが…これは食べ物なのか?食欲をそそる様な良い香りはするのだが…。」


「この世界って『お米』を食べる習慣がないそうですね。この茶色く色付けされた粒状の物は元々白い色をしたお米と呼ばれる食べ物でして、僕の世界ではパンに使う小麦とは別の主食の1つなんですよ。こちらはそのお米に卵や葱や豚肉等を混ぜて炒めた料理で、チャーハンと呼ばれる物になります。」


ガイウスは凛に尋ねた後に凛からの説明を受け、スプーンでチャーハンを掬ってお米…?炒めたとは一体…?と言いながらまじまじと見ていた。


「「………。」」


「…。(うずうず)」


ガイウスの側で控えていた警備の男性と凛を案内した男性は、今のこの状況に自分達がいるのは場違いではないかとでも思ったのか、未だにガイウスの後ろでどうすれば良いのか分からないと言った様子で立っていた。


対するアルフォンスはクッキーを食べた経験から、このチャーハンなる食べ物も絶対に美味しいに違いないと確信している様だ。

同じくガイウスの後ろに立ってはいるが、1人だけ早く食べたそうにうずうずとしていた。


「チャーハンは温かい方が美味しく召し上がれますよ。冷めるといけないですし、僕達は先に食べさせて貰いますね。頂きます。」


「「頂きます。」」


凛は自分達が先に食べる事で安心感と食べる見本になるだろうと思ったのか、そう言った後に自身の顔の前で手を合わせる仕草を取る。

美羽と紅葉も同様の仕草を取った後、3人はれんげを使って食べ始めた。


『?』


ガイウス達は凛達が見慣れない仕草を取った為、何かの儀式なのだろうかと不思議がった様子で凛達を見ていた。


しかしアルフォンスだけがすぐ我に返り、凛達がチャーハンを食べ進めている事に我慢出来なくなったのか、凛達にならってチャーハンを一口食べる事にした。

そしてガイウス達は固唾を呑んでアルフォンスの様子を見ていたのだが、アルフォンスは何回かチャーハンを噛んだ後に動きが止まり、左手で皿を掴んで勢い良くチャーハンを食べ始める。


それからアルフォンスががつがつとチャーハンを食べ進めている中、その様子を見たガイウス達と青い髪の女性は恐る恐ると言った様子でチャーハンを掬って食べ始めた。

そして思っていたよりも美味しかったのだろう、二口三口と進むに連れチャーハンを口に運ぶ速度が早くなっていき、皆もアルフォンスと同様に一気に食べ進めていった。




「これ程までに美味い食べ物があったとはな…。」


『(こくこく)』


ガイウスはチャーハンを食べ終わった後、初めて食べる味や食感に感動したのか、余韻に浸りながらそう呟いた。

他の皆も同様なのか、満足げな様子で揃って頷いていた。


因みに、女性は人間となってから初めての食事の為か、チャーハンを口の回りに付けていたり、ズボンや床の上にポロポロと落としていた。

女性はまったりとした様子で軽く寛いでいるのだが、美羽が苦笑いの表情を浮かべながら女性の口周りを拭いたりしていた。


「因みにですが…まだ食べれるよって方います?」


「マスター、まさか…あれをやっちゃうの!?ダメだよ、皆戻れなくなっちゃう!」


「…。(にやり)」


『(あれって何だ!?)』

「(あれって何っすか!?)」


凛が皆にそう問い掛けた事で、美羽は女性の隣に立ったままナプキンの様な物を両手で持ち、慌てた様子で凛を止めようとするのだが、凛はにやりと笑って離れた位置にいる美羽を左手で制した。

これにガイウス達は内心でどんな危ない物が出るのだろうかと思ったのか、そんな事を考えながら戦慄していたりする。


凛は再び無限収納から皿に乗ったチャーハンを取り出した後、更に白い丼の様な見た目をした器を取り出した。

その器の中には冷凍シーフードミックスに入っているような小ぶりの海老、帆立、いかの切り身、それと(ほぐ)した蟹の身が入っており、それらを中華スープで味付けして旨みを出してから片栗粉でとろみをつけた海鮮のあんとなっている。


凛はそれをお玉で掬った後にチャーハンへ掛けた事で、海鮮あんかけチャーハンにした様だ。


「こ…こんな…あまりにも贅沢で美味そうな食べ物…食べない方がどうかしてる!俺はこのチャーハンも食べるぞ!!」


アルフォンスは海鮮のあんが乗ったチャーハンをぷるぷると震えた様子で見つめながら近付いて行った後に白い皿をがっと掴み、そう言って海鮮あんかけチャーハンを一心不乱に食べ始めた。


「………!(かっかっかっかっ)」


「「「凛殿!私にも!」」」


「主様自分も!自分も食べたいっす!」


ガイウス達は海鮮あんかけチャーハンをひたすら掻き込んで食べ進めていくアルフォンスの様子を見て、自分達も海鮮あんかけチャーハンを食べたい衝動に駆られた様だ。

揃って喉を鳴らした後に凛に頼んで海鮮あんかけチャーハンを用意して貰い、やはりと言うかアルフォンスと同様に、ガイウス達も一心不乱に海鮮あんかけチャーハンを食べ進めていた。


「やっぱりこうなっちゃうよねぇ…。この世界で一番マスターの料理に慣れてるボク達でも、このコンボはダメだもん。」


美羽はガイウス達の様子を見て、苦笑いの表情を浮かべてそう呟いた。




海鮮あんかけチャーハンを食べ終えた5人は揃って至福の表情を浮かべ、先程よりも更にまったりとした様子となっていた。


「(はっ!いかんいかん、あまりにも美味かったからか浮かれておったわ。)…凛殿、昼食を用意して頂き感謝するぞ。」


ガイウスは強面にも関わらず、海鮮あんかけチャーハンを食べた事でかなり和らいだ表情となっていたのだが、我に返った事で元の強面へと表情を戻し、そう言って椅子に座ったまま凛に会釈を行う。

他の4人もガイウスが凛に頭を下げた事で我に返ったのか、ガイウスに続いて凛へ会釈をした。


「どう致しまして。ただ、今の海鮮あんかけチャーハンも、僕からしたら普通の美味しさなんですよ。チャーハンに使っていたお米も一定の品質までしか出せません。ですのでこれ以上の物を用意しようとしたら、植えて育てるしかないのかなって僕は思ってます。」


「様々な物を出せるが、一定の品質までしか用意出来ない…と言うのが、凛殿がこの世界の住人でないとされる能力の1つなのだな?我らからすれば羨ましい限りなのだが…。」


「ええ。ガイウスさんの仰る通り、便利ではあるんですけどね…。僕としては今以上に美味しい物を食べたいし、皆さんにも食べて欲しいと思ってるんですよ。」


「成程…その為の飛び地と言う事なのだな?」


「ガイウスさんのお察しの通り、家の近くでお米を始め、色々な物を育ててみようと思ってます。」


「分かった。住民権の事を許可しよう。他ならぬ街を救ってくれた凛殿であるしな。今以外の事で、他に何か申し出はあるか?」


「ありがとうございます。」


凛は不安や心配そうな表情を交えてガイウスと話を行い、ガイウスから許可が下りた事で凛は椅子から立ち上がり、ガイウスに対して深くお辞儀をする。


「取り敢えずは、実際に街を見てから何か考えようかと思います。」


「そうか。しかし…重ねて言うが、冒険者にならなくて良いのか?買い取り額が半分に減ってしまうのだぞ?」


「あ、お金の事なら大丈夫です。実際に屋敷を見たアルフォンスさんなら分かると思いますが、あの屋敷は僕が魔法を使って立てた物です。それにチャーハンみたいな料理の材料も魔法で出す事が出来ますし、僕自身あまりお金が必要だとは思ってないんですよ。あ、でも森林龍の肉とかは興味あるので、食べれる所は譲って頂けるとありがたいです。余った分のお金は、この街の発展にでも当てて貰えれば充分かと。」


「…私は魔法に詳しくないから何とも言えんが、便利な魔法があるのだな。」


「恐らくですが僕が少し特別なだけになりますので、余り参考にしない方が宜しいかと。…森林龍はどこで出しましょうか?」


「そうだな…解体も兼ねて、ギルドの解体所にでも向かう事にするか。」


「分かりました。」


「凛殿の案内をすまなかったな。後はアルフォンス達が引き継ぐから、お前は所定の場所に戻れ。」


「はっ、分かりました。」


凛はガイウスとしばらく話し合った結果、一緒に冒険者ギルドへ向かう事になった。


ガイウスは凛を案内してくれた警備に労った後に職務へ戻る様に促すと、案内した警備はガイウスからの命令に右手を握りながら胸の前に当てる仕草を取って返事を行い、所定の場所へと戻って行った。




「さて、それでは皆で冒険者ギルドに向かうとするか。アルフォンス、先頭を頼むぞ。」


「はっ。」


ガイウスは警備が部屋を出て行くのを確認した後にそう言ってギルドへ向かおうとするのだが、安全の為としてアルフォンスに自身の前を行く様に促した。

アルフォンスはそれに返事を返し、ガイウスの前を歩く形で移動を始める。


それから凛達は冒険者ギルドへ向けて歩き出し、先頭からアルフォンス、ガイウス、凛、青い髪の女性、美羽、紅葉、もう1人の警備の順で街の中を進んで行った。

街は警備や門番、或いは凛がワイバーン達を討伐するのを見ていた者達によって事なきを得たのを知らされたからか、問題を解決したあの美少女は誰なのかと言った噂で持ちきりだった。


「美少女…。」


「ま、まぁ良いじゃない。実際にマスターは可愛いんだし。」


「美羽それ…何のフォローにもなってないからね?」


「あははは…。」


その移動中に凛が噂の事で少し項垂れながらの呟きに美羽が困った笑顔を浮かべて話すのだが、凛がじと目で話した事で美羽は少したじたじとなっていたりする。




5分後


やがて凛達は剣と盾が交差する看板が目印の、煉瓦で組まれた大きな建物に着く。

凛がアルフォンス達に続いて建物の真ん中にある扉から中へ入ると、左側が冒険者組合ギルドで右側が酒場の様だった。

床は木の板で組まれているのだが、ギルドや酒場に沢山のテーブルが並んでおり、それぞれ盛り上がりを見せている。


ガイウスはギルドに入るなり、書類を書いてるのか下を向いている受付の男性職員の元へと真っ直ぐ向かって行った。

その男性職員は見た目が20代で、やや痩せ型の体型で黄色くて短い髪型をしていた。


「君、すまないがギルドマスターを呼んで来ては貰えないか?」


「これは長!お疲れ様です。ギルドマスターですね、すぐに呼んで参ります。」


「うむ、頼んだ。」


受付の男性職員はガイウスに声を掛けられた事で顔を上げるのだが、たまにしか来ないガイウスの存在に驚いた様子を見せた後、すぐ我に返ってギルドマスターを呼ぶ為に席から立ち上がる。

ガイウスは男性職員が立ち上がるのを見ながらそう言い、男性職員はその場から離れて行った。


「(おいおい…何だよあの美女達はよ。長と警備隊長が一緒にいる事からして普通じゃないんだろうけどよ、俺もあの中に混ざってみたいもんだぜ!)」


「(ホントホント、4人共綺麗過ぎだろって位にな。けどよ、あんなのがこの辺にいたら大抵の女なんて見れたもんじゃないぞ。)」


「(ちょっとあんた達!聞こえてるんだからね!)」


「(うぉっ、すまねぇ!そんなつもりはないんだ!)」


「(良いからあんた達はちょっと黙ってなさい!)」


「「(は、はいぃ…。)」」


ガイウス達が女性達を連れて入って来た為、ギルド側にいた冒険者達はただ事ではないと思ったのか黙って様子を見ていた。


しかしギルドの受付の近くにいた男性2人組がひそひそ話を始めるのだが、自分達が思っているよりも声が大きかったのだろう。

凛達は勿論の事、周りにいる女性の冒険者達から見られていただけでなく、女性冒険者達から不興を買ってしまう。

その為女性冒険者の1人からそう言って睨まれた事で、男性2人は縮こまった様子で返事を行っていた。




1分後


男性職員に連れられる形で、1人の男性が一緒に2階からの階段を下りて姿を現した。


その男性はガイウスと同じ位の年齢をした見た目をしており、身長が190センチ程はある上にかなり鍛えられてるのが分かる位にがっしりとした体型となっていた。

しかしそれでいて少し垂れ目で優しそうな雰囲気を持っており、肩までの長さの灰色の髪を1本で纏めていた。


「よう、ゴーガン。紹介したい人が出来たから来てやったぞ。」


ガイウスは男性が階段を降りきったのを確認すると、ニヤリと笑いながらそう言うのだった。

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