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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~獣国マーレシス編~
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213話

「ふぅ…。(今日は夕方迄エルフの里だと思ってたんだけどなぁ…。こうもイベントって重なるものなんだろうか…。)」


「凛。今、帝国絡みって聞こえたんだが…何かあったのか?それと、その手に持ってるハンドボール位のガラス玉は何だ?」


「あ、はい。今度はサルーンで何か起きた様です。ガイウスさんは帝国絡み、としか言ってませんでしたね。それとこれは映像水晶と言って、遠距離用の通信手段みたいな物と考えて頂ければ宜しいかと。」


「つまりそれは、地球で言うケータイ(携帯電話)みたいなもんか。便利なもんがあるんだな。取り敢えず俺も一緒に行くから、このままサルーンへ向かおうぜ。あれ(ポータル)を使って行くのか?」


凛は溜め息をついた後に内心そう呟く。

凛は休憩室のすみでガイウスとのやり取りを行っていたのだが、帝国絡みと言う単語が聞こえたからかアレックスが凛の元へと歩みより、凛の後ろから声を掛ける。

凛が右手に持った映像水晶の事も併せて説明すると、アレックスはほーっと感心する様に言った後に凛へと尋ねる。




「そうですね…。どちらにせよ、先ずは部屋を出ましょうか。ステラ、ルル、キュレア、リナリー。ごめんだけど後は任せるね。」


「分かった。気を付けてね。」


「ああ。あたい達に任せておきな。」


「「(こくっ)」」


「ありがとう。それではアレックス皇子殿下、美羽、雫、サルーンへと参りましょうか。」


「ああ。」


「うん!」


「ん。」


凛はアレックスへは同郷や訓練絡みで既にポータルを見せていたが、パトリシアとアイシャには見せた事が無かった。

凛は少し考えたが今は2人に見せるべきでは無いと判断し、休憩室の中では無く部屋の外でポータルを出す事を決める。

その為凛はアレックスへ向けてそう言った後、今度はステラ達の方を向いてそう伝える。

ステラとルルはそれぞれそう答え、キュレアとリナリーは頷く。

凛は自分が言った事が伝わった事を確認してお礼を言い、アレックス達にそう言ってから先に部屋を出る。

アレックス、美羽、雫がそれぞれ答え、部屋の外に用意したポータルで凛達はサルーンへと向かう。




「ガイウスさん、お待たせしました。」


「おお!凛殿!待ってい…た……ぞ………。アレックス皇子殿下も一緒なのだな…。」


「先程のやり取りの際に、帝国絡みと言う単語がアレックス皇子殿下に聞こえてしまったみたいでして…。」


「あー…済まん、焦ってしまった俺のミスだな…。どうやら、冒険者に手解きをしている紅葉に帝国の公爵の私兵が目を付けた事が発端らしい。見ての通り相手は武器を持って倒れてはいるが、他の兵士達は仲間の兵が紅葉達から一方的に暴力を振るわれた結果倒されたと言って取り合おうとしないのだ。倒れている私兵が手解きを受けている者へ斬り付け、その強さを紅葉へ訴え(アピールし)て口説こうとしたのを紅葉が断り、逆上した私兵が紅葉を襲おうとしたのを暁が返り討ちにした、と本人達や周りは説明してるんだがな…。」


「そうだったんですね。」


「ったく誰だよ、紅葉達にそんな馬鹿な真似をする奴…あー…納得したわ。ありゃブンドール侯爵家の家来だな。あんな変な感じにごてごてと着飾った鎧を着ているし、間違えようがねぇな。」


凛達は冒険者ギルドから外に出て少し南西の所にある運動場へと向かった。

そこは最近サルーンへ集まる冒険者の中でも、鉄級から銀級迄を手解きする場所として少し前に凛が(土地を買い取ってアレックス達が来る少し前に)用意した場所だ。

運動場を用意されてからは冒険者ギルド員が交代で少人数の冒険者達を見ていたのだが、凛がアレックス達の対応をしたり、エルフの里へ向かっている等して凛が死滅の森へ挑まない間は紅葉達が指南役をする事になった。


そして運動場の中心には紅葉達6人と倒れている兵士と思われる者、それとその倒れた兵士を指差しながら紅葉達に叫んでいる金色の鎧を着た兵士の様な者がいた。

その叫んでいる兵士の後ろには、ニヤニヤとした表情の兵士が10名程立っている。


少し苛々している様子のガイウスの後ろから凛が声を掛けると、ガイウスは待ってましたと言わんばかりの表情で凛の方を向いて言う。

しかし直ぐにアレックスがいる事が分かり苦い表情で言うと、凛は苦笑いの表情で答える。

ガイウスは少し申し訳無さそうな表情で説明を行い、凛はそう言って頷く。

アレックスは少し苛ついた表情で運動場を見ると、変に着飾った鎧が特徴的でピンと来たのか面倒臭そうな表情でそう言った。




「ブンドール侯爵?」


「ああ。ブンドール侯爵、カスメール子爵、ウーバウ男爵ってのが大体一緒につるんでやがるんだ。こいつらは悪巧みや相手の弱みに付け込んだり、追い込んでは利益や金になる物をむさぼっていくハイエナみたいな奴等でな。それでいてブンドール侯爵はこのサルーン位の広さの都市を持っているし、私兵の中にはマリアに近い強さの部下が何人かいるらしい。それに私兵が何千人もいるって話だから俺達皇族も迂闊うかつに手が出せねぇんだよ。」


「成程…。(文字通り分捕(ぶんど)る、かすめる、奪うって事か。相手の弱みに付け込むなんて、悪い事をする人がいるんだね。)…ん?紅葉達の元へ誰か向かうみたいですね。僕達も向かいましょうか。」


「ああ。」


「分かった。」


凛がアレックスへ尋ねると、アレックスは嫌そうな表情で答える。

凛は悲しい表情で答えた後に内心そう思った。

しかし紅葉達の元へと向かう者達を見付けた事で、そう言って皆で紅葉達の元へと向かうのだった。

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