205話
「雫ー?どうした…。」
「凛。あの子達は仲間に加えるべき。今後の私達の為にも。」
「うわっ!ちょっ、雫近い!と言うか、目がプリンになってるよ!」
「…おっと。」
凛はポータルを使い、雫達の近くへと出る。
凛が死滅の森に着くと、そこには15メートル程はある大きな魔物が4体いた。
その魔物は闘牛の様に白くて立派な角が生え、犀の様な灰色でザラザラとしてそうな皮に覆われている。
美羽達4人は攻撃を一切行わず、ひたすらその魔物の攻撃を避け続けている様だった。
雫は凛が来るのを待っているのか、美羽達から離れた場所で美羽達の様子を見ていた。
凛が雫に声を掛けようとすると、両目がプリンへと変わっている雫がばっと後ろを振り替える。
そして足早に凛の直ぐ目の前へと移動し、両目がプリンへと変わったまま両拳をそっと凛の胸に当てて懇願する様に言う。
凛は慌てながらも雫に指摘すると雫はそう言って普段の表情へと戻り、凛と少しだけ距離を取る。
「私達…って言ってたけど、あの大きな牛みたいな犀みたいな魔物がどうかしたの?」
「凛、お腹の所を良く見て。」
「お腹…?あっ、あそこの部分だけ乳牛みたいに見えるね。」
「そう。試しに飲んでみたら、あまりに美味し過ぎて私は衝撃を受けた。あれでプリンを作れば、間違い無く至高のプリンが出来る…!」
「雫、戦闘中なのに近付いて飲んだんだ…。まぁでも、取り敢えず皆が無事で良かったよ。雫の頼みだしやるだけやってみるとして、僕が来る迄の事を説明してくれる?」
「…ん。分かった。」
凛は美羽達に攻撃を行っている魔物を見るも、何か目立つ特徴がある様には見えなかったからか雫へそう言う。
しかし凛は雫にそう言われて見てみると、魔物のお腹部分に乳牛の乳房の様な物が4つある事に気付く。
凛がそう言うと雫がそう返事をするのだが、その際に雫の両目が再びプリンになっただけでは無く、プリンへの執念と言うか情熱が加わった事でプリンの周りが燃えている様な瞳となっていた。
凛は少し引いたものの直ぐに優しい表情となり、雫の後頭部を撫でる様にして言う。
雫は少し擽ったそうにしながらも、そう言って説明を始める。
美羽達はあの後直ぐに死滅の森深層近くにある、中層深部に設置したポータル小屋へと移動した。
移動してからは足早に行動を始め、最低限だけの戦闘を行って深層を目指す。
そして10分程で深層らしき場所へと辿り着く。
そこは木が更に太く高くなっており、まだ午前8時半頃だと言うのに辺りが薄暗かった。
「ここからが(死滅の)森の深層かな?それじゃ皆ー、ブーストエナジーの用意は良いー?」
「おう。オレはコーラ味だぜ!」
「私はプリン味。」
「あたしとー!」
「私は林檎味ですね…。」
「そしてボクのはー、ネギ味ー!」
「「「「不味そう…。」」」」
「えー!?美味しいのにー!!」
「いや、多分そう思うのは美羽だけだと思うぜ…。」
「そうかなー?」
先頭を歩く美羽が前方をキョロキョロとしながらそう言った。
火燐、雫、翡翠、楓の4人はそう言って、それぞれの絵柄が載っている以外は真っ白い缶の様な容器を無限収納からさっと取り出す。
それらは全てブーストエナジーとなっており、それっぽい味付けをしている。
そして美羽がじゃじゃーんと言いながら、長ネギの絵柄の付いたブーストエナジーを取り出す。
火燐達はうへぇと言いたそうな表情で言うと、美羽は納得いかないと言いたそうな表情で叫ぶ。
火燐が複雑な表情で言うと、美羽は自身の持つブーストエナジーを見ながらそう言った。
凛はミゲルがジェフとの戦いで飲んだ後、もっと他にも色々とブーストエナジーの味を出して欲しいと配下達から言われていた。
その為容器の色を白で統一し、味付けした絵柄を容器に載せる事にした。
凛は取り敢えず美羽達が持っている味以外に、以前あったレモンとは別にチョコレートやチーズケーキ、葡萄、苺、桃、メロン、オレンジ、ミックスフルーツ、コーヒー、カフェオレ、緑茶、紅茶、レモンティー、ミルクティー風味のブーストエナジーを用意した。
それと火燐の要望もあってサイダーやエナジー風味の炭酸も用意し、それとは別にルルからはウイスキー味を出して欲しいと言われた為個別に用意する事になる。
「それじゃ皆ブーストエナジーを飲んだ事だし、サクッと強くなってマスターの所へ行こー!」
「ああ!」
「ん。」
「猛君や朔夜ちゃんを追い越すよー!」
「頑張りましょうね…!」
美羽は森の奥の方を見て右手を挙げ、そう言って歩き出した。
続けて火燐、雫、翡翠、楓もそう言い、美羽に続けて歩き始めるのだった。
ネギ味、、、w