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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
世界周遊~獣国マーレシス編~
208/594

203話

「…良し!それじゃリーリア、ヤイナ、朔夜、それに段蔵(だんぞう)。エルフの里へ向かおうか。」


「分かったわぁ~。」

「里の案内は任せてくれ!」

「うむ。」

「…承知した。」


凛は美羽達が見えなくなった後、頭を切り替えてそう言った。

リーリア、(自身を呼び捨てにしてくれと凛に言った)ヤイナ、朔夜、それと凛が段蔵と呼ぶ、壮年の見た目をした男性がそれぞれそう答えた。




段蔵は年の頃が50代半ば位。

黒っぽい縦筋が幾つかあるものの灰色がかった髪を刈り上げており、右目に深い傷痕があるナイスミドルと言った風貌をしている。


段蔵は寡黙な人…と言うかあまり話すのが得意では無いらしく、段蔵と付き合いが最も長い朔夜が段蔵の代わりに伝えたりと言う事も少なくないそうだ。

そして段蔵は朔夜の事を慕っているのかお嬢と呼び、強さが大分離れてはいるものの朔夜の次に強い混沌龍(カオスドラゴン)だった。


「朔夜の大体直ぐ傍にいる副長さんってさ、何だか朔夜同様に日本人っぽい顔をしてると言うか、段蔵って名前が似合いそうな雰囲気をして…あ。」


「…! ……。」


「…む?今のでも名付けと言う事になるのじゃの。」


「そうみたいだね…。」


昨晩の歓迎会の際、凛は朔夜の隣にいた(当時混沌龍だった)段蔵へ向けてそう言った事で、段蔵は前へと倒れそうになる。

どうやらきちんと面と向かって名付けを行わなくても、意志がある程度籠っていれば名付けと捉えられるらしい。

予想外の名付けで段蔵は気を失ってしまい、凛は軽く呆けてしまったが隣にいた朔夜が段蔵を支えてくれた。


朔夜は不思議な表情で言うと、凛も同様にして答えた。


その後段蔵をダイニング横の休憩室へと移して休ませ、日付が変わる少し前に進化から目覚める。




段蔵は神輝金級中位の強さを持ち、神龍である悪神龍アジ・ダハーカへと進化した。

段蔵はアジ・ダハーカへと進化した事により、『並列思考』と『並列詠唱』のスキルを得る。


段蔵は目覚めた時に(既に朔夜の配下全員に人化スキルを施してある)名付ける前は灰色1色だけの髪だったが、進化して黒っぽい縦筋の様な物が幾つか出来た。

しかしそれ以外は特に人間形態での変化は無かった。


そして先程の訓練時、龍形態へと戻った際に頭が2つから3つへと増えていた。

それと体長が15メートル程に迄大きくなり、体の大体が黒に近い灰色となる。

しかしそれぞれの下顎から下部分や首の前部分、それとお腹の部分等は白っぽくなっていた。


アジ・ダハーカは頭が3つある為、それぞれ独立して動ける様に並列関連のスキルを得たのかも知れない。


「ふむ、中々じゃの。段蔵よ、良くやったのじゃ。」


「…ありがとうございます。」


龍形態となってから人間形態へと戻り、スキルの検証を終えた後に朔夜がそう言うと段蔵はそう言って頭を下げた。


因みに、朝食時に元日本人であるアレックスとステラへ段蔵と名付けた事を伝えた際、


「あー…そう言われてみれば、確かに忍者っぽいと言うかいかにも段蔵だって顔をしているな。」


「実は僕も初めて段蔵さんを見た時、忍者仲間になってくれないかなとか思ってたんだよね…。忍装束とか絶対似合うと思うんだ。」


アレックスとステラはそんな事を言っていた。




凛達は森羅万象を用いて何回かポータルで移動し、移動を始めてから30分程でエルフ達が住む森の手前へとやって来た。

その森は凛の領地から西南西方面へ遠く離れた場所にあり、どうやら森全体が魔素点(マナスポット)の様だった。


「リーリアは箱入り娘だったからか、私達と違って魔物との戦闘をさせたりはしなかったんだ。仲間と交代で見張りを行い、里へ入ろうとする魔物達を退治するのが大人達や私の役目なんだ。一応この森では鉄級から銀級迄の魔物が出るぞ。」


「ん?ヤイナさん。森の中を動き回っている魔物(?)がいるみたいだけど。」


「ああ、それはカーバンクルだな。何でも希少な生き物らしい。私が物心が付く前から森にいるそうなんだが、里以外の者達から散々追われたらしくてな。物凄く警戒心が強くなって中々人前に姿を現さなくなってしまったんだと。とは言え向こうから特別何かして来る訳では無いのでな、今は放って置いても大丈夫だろう。…こっちだ。」


「(カーバンクル…ちょっと気になるかも。後で会えたら会ってみよう。)」


森の前でヤイナがそう言うと、凛は森の中でやたら動き回っている生物がいる事をサーチで掴んだ。

凛がヤイナに尋ねると、ヤイナはそう言って歩き始める。

凛は内心そう思いながらヤイナの後ろを付いて行った。




「もぉ~ヤイナちゃん!全然方向が違うじゃないの~!私が案内する~!」


「…済まない。森の中なら大丈夫だと思っていたのだがな…。」


しかし10分程歩いても、凛の加護を与えているのにも関わらず迷ったのか一向に里へは近付かなかった。

痺れを切らしたリーリアがそう言って案内を始めると、ヤイナはそう言ってしゅんと落ち込んでしまった。


「ここねぇ~。…あらぁ?何だか私が出てから~、里にあまり変化が無い様に見えるけどぉ~?」


「…まぁ、基本的に里の中でゆっくりと自給自足する生活を送っているからな。たまに外から行商人とかが来る位だし、あまり変化が無いのも当然だろうさ。さて、里に入るとしよう。」


リーリアに案内を変わって貰ってから15分後、漸く里の入口と思われる場所へと辿り着く。

里の周りは土魔法で建てられたと思われる5メートル程の外壁で覆われており、入口の門の所には2人のエルフの男性と思われる者が立っていた。


ガサガサっと音を立てた後にひょこっと顔を出し、入口の門から里の中の様子が見える様になったリーリアがそう言った。

ヤイナは凛の領地の事を考えたのか、少し複雑な表情になる。

そしてそう言って里へ向けて歩き出すのだった。

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