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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
197/594

193話

「シェフ!ここにいるシェフを出して頂戴!!」


「パトリシア王女殿下。シェフでは無く、これらのお菓子を作る人の事をパティシエと言うんですよ。すいません、トルテを呼んで貰って良いですか?」


「分かりました。」


「ぱてぃしえ…?」


パトリシアとマリア、それと凛と美羽とゴーガンの5人は、トルテが店長を務めるスイーツ店へとやって来た。


パトリシアはスイーツ店に入って早々、そのまま真っ直ぐ進んだショーケースに張り付いた。

どうやら先程のショートケーキだけでは足りなかった様で、ショーケースの中のケーキ達を端から端迄じっと見ていた。


その後何か思う所があるのかくわっとした表情となり、正面にいたハーピィの従業員へと向けて興奮気味にそう叫んだ。


凛は苦笑いの表情を浮かべてそう言った後、従業員にトルテを呼ぶ様に伝える。

パトリシアはパティシエと言う単語を初めて聞いた為か、張り付いたまま首だけ凛の方へ向けてそう呟く。




「あ、凛様♪今日はどうされたんですか?」


「トルテ、お疲れ様。こちらはパトリシア王女殿下と言って、トルテみたいな地位にいる人って所かな。王女殿下がトルテに何か話があるみたいだよ。」


「はぁ…。」


「貴女がぱてぃしえって人なのね?単刀直入に言うわ、王都に来なさ「お断りします。」…え?」


トルテは凛を見付けたからか、そう言って可愛くとてとてと走って来た。

凛はトルテを労った後にそう言うと、トルテは大体察しが付いたのかそう言って少しだけ不機嫌な表情となる。


そして案の定パトリシアがそう言おうとしたのが分かったのか、言い終わる前にトルテはパトリシアの申し出をバッサリと断る。

パトリシアはまさか断られるとは思って無かったらしく、そう言って呆けてしまう。




「パトリシア王女殿下、サルーンに入る時に勧誘はダメだって説明があった筈ですよ?それにトルテは大事な仲間です、王女殿下と言えどお渡しする訳にはいきません。」


「凛様…。」


「えー…、だって!皆あんなに美味しそうに食べてるのよ!?なのにここだけでしか食べれないなんて狡いわ!!」


「狡いって…。」


凛は複雑な表情でそう言うと、トルテは嬉しくなったのか両手を口元にやってうるうるとしていた。

パトリシアは店内にあるイートインスペースで美味しそうにケーキを食べている女性客を指差し、子供が駄々を捏ねる様にして叫んだ。

その為凛はそう言って困惑し、周りにいた者達も苦笑いを浮かべている。


その後パトリシア達はイートインスペースへと移動し、お試しサイズ(半分の大きさ)のケーキ類を合わせて20種類以上テーブルに並べる。

周りの客が見ている中でそれらをパトリシアやマリアが食べながら凛と話し合った結果、滞在中にパトリシアの従者の中で料理が上手な者にスイーツの作り方を教える事で取り敢えずは納得して貰えた。




「学校の運動場みたいで懐かしいっちゃ懐かしいんだけど、当たり前だがやってる事は全然違うんだよな。」


「まあね。あっち()にはある意味弓道場みたいな所もあるよ。」


「お、俺一応弓も使うし、後で行ってみるか。しかしお前んとこの人達…、さっきから複数を相手してるってのに全然余裕そうだな。」


「受ける人達の大体が銅級や銀級だと思うんだけど、教えてる人達の強さは最低でも魔銀級だからね。あまり動かされてない分、体力の消費も抑えられてるんだと思う。」


「最低でも?ステラは違うのか?」


「僕?僕は一応神輝金級のバステトって言うのになったんだ。あっちにいる人の中には僕と同じ神輝金級のリヴァイアサンだったりする人もいるし、ドラゴノイドだったりする人もいるよ。」


武具屋にて購入したミスリル製の刀を左手に持ち、アレックスはステラと共に運動場へとやって来た。

運動場横に設置してあるベンチにアレックスは座り、運動場の様子を見ながらそう言った。

アレックスの隣に座ったステラが練習場の方を向いて言うと、アレックスも少し嬉しそうに言う。

続けてアレックスは少し驚いた表情で言うと、ステラは何でもない風に答える。




「マジか…。どっちも地球にある伝説とか、神話にある様な存在じゃねぇかよ。ここやサルーンを兄貴や親父が攻めるなんて言い出したりでもしたら本気で止めねぇと、帝国(うち)なんて簡単に滅んじまうな…。」


「止めた方が良いよ。僕も神輝金級になったけど、僕より強い人は沢山いるんだ。それに凛様に至っては、僕程度だと全力で攻撃してもかする事さえしないと思う…。」


「んだよ。凛って可愛い顔して、とんでもなくえぇんだな。」


「あ、そうそう。凛様ああ見えて男性と言うのと、あの銀髪の女性は昔一緒に見たター○ネー○ーみたいな感じに思って貰って良いと思う。あの女性が10体以上いるってなったら…。」


「マジかよ!?あんなん普通の人間だと絶対に勝てる訳がねぇじゃねぇか!!いざとなったら親父達を殴ってでも止めねぇと…。」


アレックスはこの世界は魔銀級がせいぜいで、それ以上の強さを持つ者はいないと思っていた。

しかし幼馴染みを含め、近くに神輝金級の強さを持つ者がゴロゴロといる事に恐怖を覚える。

そして凛が男性だった事と、目標に向けてどこまでも追跡する上に手段を選ばない機械人形(ロボット)と言う存在に恐ろしさを感じたのか、少し自棄(やけ)気味に叫んだ。

その後、自分達の国が武力国家とは言えあっさり滅んでしまうと思ったのか、顔を青ざめさせてぶつぶつと呟く。




その後1時間程経ち、世界樹の元でパトリシア達とショックから立ち直ったアレックス達は合流し、そのまま近くに設置したテーブルと椅子に座って話をしていたら夕方となった。


パトリシアとアレックスはサルーンの喫茶店レベルの食事を期待したのか、凛の屋敷へと向かう気満々だった。

しかしこれを凛がやんわりと断り、代わりに昨日からオープンした少し高級な宿へと2人を案内した。

その宿はオークやオークジェネラル、ミノタウロスと言った高級食材や、コカトリスの羽毛や(少し拝借した物をアクティベーションで再現可能にした)ハーピィの羽毛等を紫水の糸で編んだ寝具を用意してある。


2人は王都や帝都と遜色ないかそれ以上の物に驚いたのもあってか、一先ずその宿で納得して貰えた様だ。

サルーンで予約した宿のキャンセルを凛が行う事でこの場は解散となり、1日を終えたのだった。

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