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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
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192話

「パトリシア王女殿下を初めてお見掛けしたが、物凄く好奇心旺盛な御方なんだな…。」


「あはは…。僕もそう思ってるよ。」


「しかし凛様も大変だな。これからはこう言った機会が増える訳か。」


「やっぱりそうなっちゃうのかな…?」


「貴族ならまだしも、流石に王族や皇族を凛様以外に対応させるのもなぁ…。」


「今回だけで充分です…。」


パトリシアは商店に入って直ぐに好奇心が勝ったのかアレックスの手を離し、近くにいた女性店員を捕まえて商品の1つ1つを細かく尋ねていた。

喫茶店からパトリシアの事を聞いている女性店員は、恐縮しながらも店長やオーナー()が自分を見てくれていると言う安心感もあってかどうにか対応出来ていた。


凛とトーマスは会計のカウンターの前後でパトリシアと女性店員の様子を見て、苦笑いの表情を浮かべながら話す。

そして話の最後に、凛はそう言ってがくっと項垂れていた。




「商店って言っても、でっかくなったコンビニみたいでなんだか安心するわー。」


「そう言えばアレクは前世でよくコンビニに通ってたんだっけ。」


「そうそう。流石に冷たい物や温かい物が無いみたいだが、大体の食べ物とかはあるみたいだな。帝都にも最近、ここのもんが来る様になってよ。偶々道具屋に寄ったらカップ麺やカ○リーメイ○みたいなやつを見付けてな、それを親父達に食わせて説得したらすんなりサルーンへと来れたぜ。兵士の食料用に沢山手に入れるのだーってな。俺としてはここに来れる口実さえあれば充分だからな、そこそこ満喫したら適当に買って帝都へ帰るつもりだったんだ。」


「そうだったんだ。」


因みにアレックスはステラと一緒に店内を回りながら、商品を見ては懐かしむ様な表情で話をしていた。




「ライアン様に逃げられちゃったわぁ…。んもぅっ、ライアン様ってばいけずなんだからっ!」


「お、マリア。お前も来たんだな。」


「(マリア…?ドレスを着てるみたいだけど男性?それとも女性なのかな?)」


「ええ。私一応、皇子様の護衛で来た訳だしぃ?務めは果たさないとねぇん。」


「マリア?マリアって…帝国にいる魔銀級冒険者の1人、『慈愛のマリア』の事か!?」


「ええ、そうよん。素敵なお兄さん?」


「(ぞわわっ)そ、そうか。皇子殿下の護衛はマリアさんが務めているんだな。」


少ししてマリアがそう言って、プリプリと怒りながら店内に入って来た。

そこを割と入口近くにいたアレックスとステラが気付く。

アレックスはマリアに対して軽い口調でそう言い、ステラは表情に出さなかったが内心そう思っていた。


マリアがそう言った後にカウンター内にいたトーマスがそう言うと、マリアはトーマスに向けてウインクしながらそう言う。

トーマスはウインクしたマリアを見て寒気がし、その後顔を引き攣らせてそう言った。


マリアはトーマスにウインクをしたものの、ライアンと言う(マリアの自称)彼氏がいる。

その為か、無事(?)にトーマスはこれ以上マリアから相手にされずに済んだ様だ。


因みにマリアはこう見えて女性で、魔力を纏わせた素手や手甲で戦う事を得意とする。

鯖折りの様に相手を抱き締めて無力化する事が多いのと自分を貶す者以外には比較的優しい事から『慈愛のマリア』、ライアンは流麗で素早いレイピア捌きから『閃光のライアン』と呼ばれているそうだ。




「いやー、買った買った!商店にコーラが無いのは残念だが、ポテチやカップ麺、レトルト食品が買えただけでも良しとするか。向こうにあった様なカップうどん(ど○兵衛)カップ焼きそば(U.F.○)もあったしな。しかしアイテム袋だっけか、こいつはすげぇな。ゲームとかやらない俺でも、これには感動したわ。」


「(火燐さんとか魔導冷蔵庫の中にある、冷えたペットボトルのコーラを毎日飲んでるだなんて言えないなぁ…。)」


「ん?どうかしたか?」


「ううん、何でもないよ。次はどうする?」


「そうだなぁ…。」


商店の外に出たアレックスは腰の右側に付けたアイテム袋を擦りながら、満足そうに言う。

その隣のステラは微妙な表情で内心そう思っていたが、アレックスに尋ねられ首を横に振って答える。

ステラはアレックスへと尋ね、アレックスは腕を組んで考え始める。


ステラ達が商店入口横でこれからどうするかの話をしている頃、ステラ達から少しだけ離れた所でパトリシアは久しぶりに会ったマリアと再会を懐かしみ、先程商店内で会って直ぐに外へと出てからは2人で楽しそうに女子トークをしていた。




「おー!ここの武具屋、刀があるじゃねぇか!帝都の鍛治ギルドじゃ口での説明だと刀の再現は難しいらしくてよ、今迄実物を見る事が無かったんだよなー!」


「凛様を含めて結構な人達が刀を使っているんだ。だからこうやって普通の人にも販売してるのかもね。」


「マジか!こっちに転生して直ぐのガキの頃からミスリル製の刀を手に入れる事が夢だったんだが、まさかこんな所で叶うとは思わなかったぜ。普段使うのは剣だが、日本人だからか刀も手に入れたいって思っちまうんだよなー。…ん?そう言や、ステラは刀じゃねぇのか?」


「僕?僕は普段は苦無と手裏剣を投げて、相手が近くなったら両手にダガーを構えて戦うって感じかな。」


「ステラお前、見たまんま忍者やってるのな…。」


凛達は凛の領地へと場所を移した。

ガイウスは自分の屋敷へと戻り、ライアンは未だに戻って来なかった為ゴーガンが護衛と言う名目で付いて来る事になる。


アレックスはステラと武具屋へと入る。

そして商品として並べられている刀を手に取り、眺めたり持ったりしながらそう言った。

ステラがそう言うと、会計の後ろに飾られているミスリル製の刀を見た後に隣のステラへと視線を移して尋ねる。


ステラはそう言って右手に苦無、左手に手裏剣を服のポケット(と見せ掛けて無限収納)から出してアレックスへと見せる。

アレックスは軽く引き攣りながらそう言うのだった。

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