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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
強化&アウドニア王国の街サルーン編
19/594

17話

同時刻


「はぁ…。」


ガイウスは自身の屋敷内にある執務室にて、鑑定結果が纏められた羊皮紙を見て溜め息をついていた。


「昨日頼んだ鑑定結果が届いたが…森林龍の宝玉は本物、魔石は純度の高い魔力で出来ている、か。集団の主はとんでもない物を俺に贈ってくれたものだ。いや待て?ここは反対に、強者との繋がりが持てる様になる好機だと捉えるべきだろうな。ならば行動は早いに越した事はないか。…おい誰か、アルフォンスをここへ呼んで来てくれ。」


「分かりました。」


ガイウスは最初複雑な表情でぶつぶつと呟いていたのだが、考え方を変えた事で反対にやる気となった様だ。

ガイウスが扉へ向けてそう言うと、扉の向こうから男性らしき返事が聞こえ、少しずつ足音が離れて行った。




話は凛達の所へと戻る


凛が美羽達に渡したブラン等の武器は、今まで使っていた試作品や量産品とは違い、それぞれに合わせた専用の武器となっている。

その為美羽達と馴染みが良いだけではなく、魔法や属性を纏った攻撃の威力を増してくれる効果がある。


「(皆には魔物の攻撃を避けた後の隙や、こちらからの攻撃を仕掛けても大丈夫かを見て撃破する様に教えてるから、あまり戦闘で無理をする事はないと思う。けどこの間もそうだったけど、美羽達は皆で一緒に強くなりたいみたいなんだよね。今も新しい武器を皆で見せ合って楽しそうにしてるみたいだし、これから少しずつ死滅の森の奥へ行きたいとか言い出す筈…。となると、防御面が心配か。今晩にでも、美羽達に新しく服を用意しないとだね。)」


凛は互いに武器を見せ合ってはしゃいでいる様子の美羽達を見て、心の中でそう決めていた。




午前9時頃


凛達は旭、月夜、小夜の進化を行う為にと、家を出てから森へ向けて皆で歩いていた。


「そう言えば暁、妖鬼に進化して格好良くなったよね。身長はオーガの時に比べて少し縮んじゃったけど、それでも旭や月夜、小夜を除いたら僕達の中で一番背が高いし、僕は今の雰囲気の方が良いと思うよ。」


「いえ、俺なんてそんな…。凛様こそ、進化してかなり強くなってるじゃないですか。俺ももっと凛様へ貢献出来る様に、これからは更に頑張らせて頂きますね。」


「ありがとう。僕の進化は正直予想外だったけど、出来るのなら早く進化するに越した事はないって思ったんだ。まぁでも、一応進化した事で冒険者で言う所の神輝金(オリハルコン)級の強さにはなれたんだけど、それでもまだ僕の師匠に勝てる気が全くしないんだよね…。それに結局、何故あそこに森林龍がいたのか分からなかったし。」


「(今の凛様でも勝てないと仰る、凛様のお師匠様とは一体…。)…確かに。魔銀級の強さにも関わらず、森の中層ではなく表層にいたのは少し変ですね。」


凛は森に入る頃に歩きながらととと、と暁の横に付き、笑顔で暁の事を褒めた。

暁は少し恥ずかしそうにしながらも、敬愛する凛に強さが増した事を喜んだのか笑顔で答える。

これに凛は苦笑いへと表情を変えて話し、暁はそんな事を思った後にそう言って考える素振りを見せる。


「そうなんだよ。森林龍がいた所はここから大体500キロ位の場所で結構離れてはいたけど、人が住んでる所に近いと言えば近かったんだよね。だから僕があの時倒さなかったとしても、そう遠くない内に再会するんじゃないかって気がしてさ。森に何があったのかは分からないけど、森林龍クラスの魔物が森の外側へ向けて、少しずつ進んで来てるのかも知れないね。」


「森に何かが…。」


「うん。もしそうだとしたら、森の奥から逃げて来た強い魔物を見て、自分達も外側へ向けて逃げて行った…とかじゃないかな?今の家に住み始めて1週間位は特にサルーンへ向かう魔物はいなかったみたいだけど、これからも同じ様に森から魔物が出ないとは限らないかも。」


「つまり、今回ゴブリンキング達が俺達のいた集落に来なかったとしても、そう遠くない内に森の魔物から襲われていた可能性もあった、って事なんですね?」


「あくまで推測だけどね。森林龍も元々気性が荒いのもあるんだろうけど、何かに対して苛立いらだってた風に見えてたんだよね…。」


凛と暁の2人は、共に森の中を歩きながら思案顔で話をしていた。


この時の凛達はまだ知らなかったのだが、死滅の森最深部にある魔素点の近くには、昔から主が鎮座していた。

そして深部に近い深層にて、最近生まれた暴れん坊が周囲を引っ掻き回した事もあり、そこにいた魔物が巻き添えになりたくないからかと言う事で少しずつ表層へと追いやられていったりする。


そして今回凛へ襲った森林龍もその追いやられた1体で、森林龍は最近まで中層でねぐらにしていた所から、自身よりも上の存在に追い出された事で苛立っていた。


「森の近くに住んでる人達の今後の安全の為にも、これからは森を少しずつ攻略して行く必要があるかもね。とは言え、森は凄く広いから時間が掛かるだろうし、人手も力も足りないからどこからやれば良いのかさっぱりなんだけど…。」


「そうですね。ですが凛様、まずは俺達が皆で強くなる事から、ですよ。」


「ふふっ、そうだね。」


凛は難しい表情でそう言うと暁もつられて苦笑いになるのだが、すぐに笑顔で凛に答えた事で、凛も笑顔で答えながら頷いた。




午前11時過ぎ


「ん?街から屋敷に向けて、誰か向かって来てるみたいだね。皆、討伐を中断して一旦屋敷へ帰ろうか。」


『はーい!』


凛は森の散策の途中で、(凛は戦闘後、或いは5分置きにサーチを使っていた)街から屋敷へ一直線に誰かが向かって来てるのが分かった。

その為凛は皆にそう促し、皆から返事が返って来た事で家へ戻る事に。


「おぉ…凛殿!先程、私を通じて街の長が凛殿に会いたいと言ってきましてね。良ければなのですが、後ろの馬車に乗って頂いて、我らと一緒に街の長の所まで行っては貰えないでしょうか?」


「街の長が僕に会いたいと仰る理由は、昨日の話の件でしょうか?」


「恐らくは。ですが悪い気はしてなかった様に見えましたし、昨日仰ってた件の許可が下りるのかも知れませんね。あ、昨日のクッキーをありがとうございました。一応街にもそれっぽい形をした物があるのですが、凛殿から頂いたクッキー程美味しくはないんですよ…。一緒に食べた嫁も大変喜んでおりましたよ。」


「喜んで頂けて何よりです。えっと、馬車は何人乗りですか?それと、僕達は正装に着替えた方が良いでしょうか?」


「3人ですね。ですので、凛殿とは別に2人…と言う事になりますね。長は元冒険者でしたし、服装は特に気にしないかと。私はこのままで大丈夫だと思いますよ。」


「成程…。それじゃ、誰が僕と一緒に行く?」


凛達が家に戻ると、アルフォンス達が家の入口に立っていた。

そしてアルフォンスは凛に気付くと凛の元へ向かい、再会を喜ぶ様にしてそう言った。

それからしばらくの間、凛とアルフォンスが互いに笑顔で話し、話の最後に凛は後ろを向いて皆へ尋ねる。


「ここは舐められない為にも、向かうのは強い順で良いんじゃねぇか?」


「って事はー、ボクとー!」


「私ですね。」


火燐がそう言うと、右手を勢い良く挙げた美羽と、左手を肩の近くまですっと挙げた紅葉がそれぞれそう言った。

皆も2人の強さが分かっていたからか、特に意見はない様だ。


「迷う事なくすぐに立候補なさるとは…。お二人共美しいだけでなく、とてもお強いんですね。」


「えぇ、まあ。こちらの美羽様は魔銀級、私は金級の上位…と言った所でしょうか。私も馬車へ向かわせて頂きますね。」


「え…?金級上位、それに魔銀…?となると、森林龍を倒したとされる凛殿は一体…。」


「アルフォンスさーん!これから街の長の所へ向かうんですよねー?あまりのんびりしてると長に怒られますよー!」


「…!あ、はい!すぐに向かいます!」


アルフォンスが感心する様にして言うと紅葉は笑顔でそう答え、先に馬車へ向かった凛と美羽に続いて馬車へ向かう。

アルフォンスは紅葉からの答えに固まってしまうのだが、既に馬車に座っていた凛に促された事ではっと我に返る。


その後、アルフォンスはそう言って慌てる様にして馬車へ戻り、凛達一行はサルーンの街へ向かう事に。


凛は馬車へ向かう前に火燐達へ、昼食は無限収納に入ってる物を食べる事や、自分達がいない間に不測の事態が起きたら対処する事が困難な為、森へ入らず屋敷にいるか近くで訓練する様に伝えた。

火燐は凛からの伝言を受けた後、(先程はすぐに屋敷へ帰る事になった為動き足りないらしい)すぐに屋敷から少し離れて訓練を始める。




約20分後


凛達は10分程でサルーンの街の入口にある門に着いたのだが、警備隊長であるアルフォンスの顔パスにより、他の者達と違って並ぶ事なく街の中に入る事が出来た。

そしてそのままアルフォンスに先導して貰い、街の長が住んでいるとされる屋敷へ向かう。


凛達は街の中に入ってから街の長が住む屋敷に着くまで10分程馬車に揺られていたのだが、その間街の住民達は警備隊長が馬車の護衛している事に興味を示していた。

しかし中にいる凛達は外からは見えない様になっている為、住民達は残念そうにしていた。


凛達は街の長が住む屋敷の入口も、門の時と同様にアルフォンスの顔パスで通る事が出来た。

そして屋敷の敷地内で凛達は馬車から降り、アルフォンス先導の元で屋敷の中へと入る。


アルフォンスは先に街の長への報告に向かう為、自分が不在になるからと言う事で近くにいたメイドを呼び、凛達を待合室へ案内する様に頼む。

アルフォンスが呼んだメイドはクラシックタイプのメイド服を着用しており、余計な事は喋らずに淡々とした様子で案内の仕事をこなしていた為、凛はこれぞメイドさんだと内心で感心していた。


更に20分後


こんこん


「はい。」


凛達3人は待合室に案内され、中でしばらく待っているとノックをされた為、凛が返事をした事でドアが開く。


「お待たせして申し訳ない。私がサルーンの街の長ガイウスだ。今日は宜しく頼む。」


すると、ドアが開いた先に現れたのは見た目が40歳位の男性だった。

その男性は元は高位の冒険者だったのだろう、鷹の様に鋭い目つきをしていた。

そしてきっちりと手入れをした髭を生やしており、ライトブラウンの髪色を短く刈り上げていた。


やがてガイウスはそう言って、アルフォンス達と共に凛達がいる待合室の中へと入るのだった。

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