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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
187/594

183話 45日目

3日後の45日目


マルクトは次の日にジェフ達が敗れた事を知り、急いで荷物を纏めた後、サルーンから逃げる様にして王都へ向けて逃げて行った。

そして凛が草原で逃がした者達や、その者達越しにミゲル達の事を聞いた雇い主の大半も同様にして逃げて行く。


しかし一部の者達は凛の領地の事をまだ諦めていなかったり、やられっぱなしで癪にさわったりしたのか、このままサルーンに残る事を決めた様だ。

そして自分達が再び領地へ向かう等とは考えていない(と思い込んでいる)為、まだ勝機があると考えていた。


残った者達はすぐにでも凛の領地に向けて出発が行える様、協力して再び準備を行う。

数時間程で準備は終わり、集まった者は最高でも金級下位の強さで、人数も40人程と大分控え目となってしまったが、これならいけると踏んだのか意気揚々としてサルーンを出た。


しかし少し進んだ所で火燐と雫が現れ、悉くが断罪される(物理的説得を受ける)事になる。

火燐や雫は領地に向かおうとした者達の断罪が済んだ後、反対にそのままそれぞれの雇い主の元へと案内させた。


そして既にボロボロになっている者と雇い主へ、更に2人は手分けして念入りに話し()合い()を行う。

雇い主達はこれに従うしか選択肢がなかった為、了承したその日の内に慌ててサルーンを出て行く事になった。




凛達はサルーンの西側に商店と喫茶店の3号店を、北西と南西に公衆浴場の2号店と3号店をオープンし、カレー屋と麺料理屋、ご飯屋もサルーン内各地にそれぞれ2号店をオープンした。


「すみません。失礼ですが、貴方様は凛と仰る方ではないでしょうか?」


凛がサルーンの西側で商店と喫茶店の建物を建て終わった直後、後ろからミトラやダルマティカ等に身を包んだ30代後半の男性に声を掛けられる。


「? はい。確かに僕は凛って名前ですが…。」


凛達のすぐ周りには、凛達が新しく建物を建てる、又は立て直しているのを見ようとする野次馬の人達が沢山いた。

しかし凛はそれまで声を掛けられなかった為、まさかエリオットから声を掛けられるとは思っていなかった事もあって少し反応が遅れてしまった様だ。


「ああ良かった!私、本日からサルーンの教会に赴任して来ました、女神教で司教をしておりますエリオットと申します。私先日、貴方様が左腕を失っている少女を完治させたと伺いまして。」


「左腕を失っている少女?…あ!ルルの事ですね。そう言えば(エクストラヒールで)回復したんでした。」


「やはり!それでなのですが…凛様が良ければ我が女神教へ入って頂けないかと思い、声を掛けさせて頂きました。」


「あー、おね…じゃなかった。女神様の事は勿論僕も敬わせて頂いてます。ですが、ここ以外にも作業する所が沢山ありまして、とてもではないのですが忙しいんですよ。それに、僕はこう見えて一応領主の様な事をやってますので、入るのは難しいかと…。」


「なんと…!ですが私は諦めません。私しばらくの間、ここの教会におりますので、またお話を伺いに参りますね。」


「ははは…。」


その後、凛はエリオットと少し話を始めるのだが、話の途中で凛が女神教の信仰対象である創造神、つまり里香の事をお姉ちゃんと言いそうになる部分があったものの、どうにか飲み込んでエリオットと話を続ける。

そしてエリオットはニコニコとした様子で、凛は苦笑いの表情を浮かべて話を終えた。




それと、パン屋は未だに1店舗だけとなっているが、凛達が来るまでは(硬い丸パンだけとは言え)ダリオが1人で回しており、現在もサルーンにいるパン職人はダリオだけだ。

凛はダリオと相談した後に今の店舗から少し離れた所の土地を購入し、そこを新しいパン屋として建てる事にした。


新しく建てたパン屋は以前の倍の広さとなっており、(喫茶店へ持っていけば焼いたトーストとして戻って来る事もあって)主力である食パンを焼くオーブンを多目に入れてある。

これにダリオは今までの様に、時雨達が足りなくなる度に屋敷で食パンを用意し、パン屋と屋敷を往復して運ばなくて済むとして喜んだ。


しかしそれでもダリオのパン屋だけでは、(今も増え続けている人達を含めた)サルーン中のパンを賄う事は難しいと判断される。

新しい店舗は当然作業場も広くなっている為、凛は時雨や氷雨以外にも何人かの従業員やパン職人志望の者達を加え、店舗を増やす為の準備を行う事にした。




それと、翠が進化した事で領地の中心近くの木が世界樹(ユグドラシル)となり、進化した後も少し成長した事で更に目立つ様になってしまった。

その為、凛は木を目当てに一般の人や冒険者、そして(サルーンが賑わいだした事でちらほら来る様になった)貴族もここへ来るだろうと判断し、空いたスペースを使って備える事にした。


凛は美羽と楓と協力して石畳の道や宿、商店、食事処(レストラン)、それと公衆浴場等を幾つか建てる等のインフラ整備を行っただけでなく、ダリオの所でパン職人がある程度育ったら領地にもパン屋をオープンする為のスペースも確保している。


他にも領地の周囲を囲っている塀を東西南北の4ヶ所だけを通れる様にしただけでなく幅を少し広くし、イータ(7番機)達4体をんで門番代わりをして貰う事に。

これはイータ達とラムダ(11番機)達は2手に分かれて死滅の森の入口付近を進んで貰っているのだが、昨日の時点で森の3分の2位を進んだとの情報を得た為、凛は後1週間位で終わるだろうと判断してイータ達を喚ぶ事にした様だ。


「ふぅ…。取り敢えずはこんなものかな?」


「最近忙し過ぎだよー!」


「意外と疲れましたね…。」


凛はサルーンでの作業を終えた事で領地へと場所を変えた後、再び作業が一段落した事で一息つく様にしてそう言った。

それに対し、凛と一緒に作業をしていた美羽はやや不満そうに口を尖らせてぶーぶーと文句を言い、同じく作業を手伝っている楓は苦笑いの表情を浮かべてそう話していた。


その後も建物や環境等を整える事に特化した凛達3人が主に作業を行い、火燐達や紅葉達がそのフォローを行う形で作業を進めていく。


それと、凛の加護の影響で現在は金級の強さとなったダニエルがホズミ商会本部を、ベータ(2番機)が支所をそれぞれ運営している。

凛やダニエルは王国だけでなく、最近は隣の帝国や商国からも商人が来る様になった事を喜ぶ。

しかし彼らは凛の領地を襲撃こそしなかったものの、王国の者達を含め、凛達の事を利用しようとする客達が多い事に頭を悩ませるのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり馬鹿だよな。
2019/11/16 17:11 退会済み
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