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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
184/594

180話

「おいおいおいおい!これは一体なんてざまだ!お前()不甲斐ふがいないにも程があるぜ!!」


『………。』


ジェフらミゲルを蹴り飛ばした事で皆の所へと向かう事になった。

ジェフは皆に近付きながら、既に倒れている自分以外の者達を見て心底呆れる様にしてそう叫ぶ。

倒れている者達は焦りや不安、いきどおりと言った表情を浮かべてはいるが、ジェフの言う通りな為か言葉に出来ずにいた。




「お前達よりも私達の方が強かったって事さ。」


「何?」


「そして、死にくお前へのせめてもの手向たむけだ。この武器(火炎と水氷の短剣)でお前を、…殺す。」


ブーストエナジーを飲んだミゲルがゆっくりとジェフの前へと向かいながらそう言った。

ジェフは左の眉毛を上げて言うと、ミゲルはそう言って右手に持っている火炎の短剣にボォォ…と炎を纏わせ、左手の水氷の短剣にはビキビキッと氷を纏わせた。


「へぇぇぇ!ミゲル、お前面白(おもしれ)もん持ってんじゃねぇか!」


「だろ?私も気に入ってるんだ。」


「んじゃ、さっさとお前を殺して奪うとするか!」


「…もう、遅れは取らんよ。」


ジェフは面白そうな玩具おもちゃを見付けたと言わんばかりに嬉しそうな表情で叫んだ。

ミゲルは肩を竦める様にして言うと、今の自分なら出来ると確信しているジェフはそう言って駆け出す。

ミゲルはぽつりとそうつぶやき、同じ様に駆け出した。




「そらよ!(キィン)何!?」


「…隙だらけだぞ。」


「ぐほっ!ぐっ…手前(てめ)ぇ、さっき迄俺より弱かったじゃねぇか!何故いきなり強くなった!?」


「何、奥の手を持っていたのはお前だけじゃなかったって事さ。」


「くそがぁ!!」


ジェフは右手に持った業物の短剣を振り下ろすが、先程迄は防ぐ事しか出来なかった筈のミゲルによって弾き返されてしまう。

ジェフはその事に驚いているわずかの間に、ミゲルはそう言って右のミドルキックをジェフへ当て、左方向へと軽く吹き飛ばした。


ジェフは少しふらつきながら立ち上がり、右手に持った短剣をミゲルへと突き出して叫ぶ。

ミゲルは淡々とそう言ってジェフの元へと向かい、ジェフは悪態をついて走り出した。




それからはジェフがミゲルの周りを動き回って攻撃を行うのだが、その悉くを弾かれたり追撃を受けて身体中に傷や火傷、そして凍傷を増やしていく。


「(間違いねぇ、こいつ強くなってやがる!…そう言や、倒れた後に何か飲んでたな。あれが奥の手って事か。)…ぺっ。」


「どうした?来ないのならこちらから行くぞ。」


「ぐっ!武器が、もう、持たねぇ…!」


ジェフは内心そう思った後に、口を切っていたのか血を吐き出した。

ミゲルがそう言って火炎の短剣を振り下ろし、ジェフはそう言って短剣で受け止める。

そして高温である火炎の短剣が短剣を少しずつ溶かして行き、やがて短剣だけで無くジェフの肘から先も一緒に斬り落とした。


「………っ!!」


「このまま一気に決めさせて貰う!!」


「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ジェフは右腕を斬り落とされた事で少しだけひるむ。

ミゲルはこれを勝機と捉え、魔力を更に込めた左右の短剣を交差する様にしてジェフの胸に斬りつけた。

ジェフは短剣による斬撃だけで無く、炎と氷によるダメージも一緒に受けた事により断末魔を上げる。

その後、ゆっくりと後ろへ倒れていった。




「…ミ…ゲル、やる…じゃねえ…か。俺は…負けた…んだな。」


「…ああ。私の勝ちだ。」


「そ…か。最…期…お……前と…れ…楽し……か………。」


「!…馬鹿野郎が。」


ミゲルはジェフの元へ行き、ジェフの最期の言葉を聞く。

ジェフはミゲル同様に黒ずくめの衣装の為に顔の殆どを隠してはいるが、それでも幸せそうな顔をしている事にミゲルは気付いた。

ミゲルは歯を食い縛り、沈痛な面持ちでそう言った。


残った者達で意識のある者は、倒れたままの状態でミゲル達の戦いを見ていた。

そしてジェフが死んだ事で心が折れてしまったのか、次々に武器を手放して投降したのだった。

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