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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
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164話

「この状態になってから30分以上経ってるからね…、軽く意識が朦朧もうろうとして「申し訳ございません凛様。私と暁でライアン様を捕縛させて頂いたのです。」紅葉ちゃん…?」


ライアンが懇願する様な表情で凛に助けを求める。

しかし暁と共に凛の後ろへとやって来た紅葉によって話の腰を折られてしまう。


「厳密に言えば、ライアン殿がサルーンを出る様な事があれば俺と紅葉様に伝えて貰う様、ナビ様へ事前に頼んでたんですよ。」


「訓練を開始して少し経った頃にナビ様からライアン様がサルーンを出たと連絡を頂きまして、今はあちらでお休みになられている状態ですね。」


「寧ろ休むどころか頭に血が上って危険だと思うだけど…。あ、ライアンさんぐったりしてる。」


「………。」


ガイウスとゴーガンは呆れた表情でライアンを見ており、他の者達も様々な視線をライアンへと送っている。


そんな中、暁と紅葉が淡々とした口調で説明を凛へと行う。

凛は少し引いた表情でそっと突っ込みを入れ、恐る恐るライアンの方を見てみるとライアンは真っ青な表情で気を失っていた。

凛は直ぐにライアンを救出しに向かう。




紅葉と暁によると、ナビに連絡を貰い旭達に自分達の分を任せて訓練部屋から屋敷へと戻ると、ライアンが時速40キロ程でサルーンから領地へ向かっている事が分かった。

紅葉はアルファ(1番機)達に、ライアンは自分達が相手をする事を伝え巡回に戻って貰った。

紅葉達は領地の北側でライアンが来るのを待つと、やがてライアンが現れる。


ライアンは紅葉がいた事を喜ぶが紅葉はそれをスルーし、ライアンにサルーンへと戻る様に促す。

しかしライアンはこれを断り2人の間を走って抜けようとするが、紅葉達は立ったままで何もしなかった。


しかしライアンが紅葉達を通り抜けて直ぐに紅葉が閉じた状態の圷を口元に当て、流し目を送りつつ颯を使いライアンの体を浮かせる。

そして暁が跳んで紫水の糸を使い、空中にいるライアンを瞬時にぐるぐる巻きにする。


その後ぐるぐる巻きにされたライアンは地面に叩き付けられ色々とわめくのだが、紅葉達は無視しライアンの足元から伸ばした縄を引っ張って屋敷へと向かう。

そして最終的に屋敷の上に頭が下になる様にして吊るしたのだそうだ。




「ライアンよ。いい加減鍛練や冒険者の仕事を行わんか。あまり遊んでばかりいると、直ぐに下の者達に追い抜かされるぞ?」


「そうだよ。(ダライド)帝国にいる2人と、獣国(マーレシス)に1人いる魔銀級冒険者は君と違って真面目に冒険者をやっている筈だ。王国としても君を遊ばせておく訳にはいかないんだよ。それに、()()()()王都からの使いがサルーンへと来る頃だろうしね。この(縛られた)状態はむしろ都合が良かったよ。」


「…え?」


凛は紅葉と暁に経緯を説明して貰っている為、ライアンの近くにはいなかった。

凛がライアンを救出し、5分程で目を覚ましたライアンへ近寄って来たガイウスとゴーガンがそう言った。

しかしライアンは上手く頭が働かないのか理解していなかった。




「ルル君から君が女癖の悪い事は聞いていたよ。それで、もしもライアン君が王都からいなくなった場合行き先はサルーンだと思われる、と言った内容の手紙を冒険者ギルド本部へ渡したんだ。王都を訪れた日はバタバタしてたから、次の日にロイドさんへ頼んでね。」


「え?それじゃあ…。」


「早ければ今日辺り来るだろうね。手紙を渡して割と直ぐに王都から早馬が出た、とロイドさんから聞いているよ。君は酒で潰れていたから知らなかっただろうけどね。」


「冗談じゃない!折角ここ迄来たのに美羽ちゃんを諦めるなんて出来るか!」


「残念だが美羽君は凛君一筋で、殆どの行動を共にしているんだ。美羽君が他を好きになるなんて有り得ないよ。」


「え……?」


ゴーガンがうっすらと笑いながらライアンへと説明すると、ライアンはそう叫びながら縄を抜けようとしてびったんびったんともがき始める。

しかしゴーガンがそう告げるとライアンは固まってしまった。




「凛君。時間も経ってしまったし、このままライアン君を連れて僕達は失礼するよ。」


「………。」


「では凛殿、またな。」


「あ、はい分かりました。行ってらっしゃい。」


説明を終えた凛達がガイウス達の元に戻ると、ライアンを肩に担いだゴーガンとガイウスがそれぞれそう言ってサルーンへと戻って行った。


その後昼過ぎに王都から使いがやって来て、項垂れて縛られたままのライアンを回収し来た道をそのまま戻って行ったそうだ。




それ迄の間、凛はガイウス達が帰って直ぐに進化から目覚めた金花と銀花、美羽や楓や棗達や農地組、凛を手伝いたいと言った琥珀、瑪瑙、紫水の3人、それと(将来役に立つかも知れない)梓と一緒に領地内で魔法を使った作業をしていた。

ライムが進化した影響で質の良い作物も再現出来る様になった為、少しずつ育てる作物を減らす事を凛が伝えた為だ。


果樹園以外にその日収穫した作物があった土地の整地の作業を行っていると、午前11時頃に翠が進化を終えて目覚めるのだった。

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