15話
話は凛と美羽が手合わせを始める前へと戻る。
現在、翡翠と楓は生活部屋の入口近くの壁際に、そして凛と美羽は大部屋の中心辺りにそれぞれ立った状態となっている。
「それじゃ早速だけど、昨日の名付けの後遺症みたいなのがないかを確認しようか。念の為、いつもより少し力を抜いた状態で始めてみるね。」
「うん分かった!マスター、いつでもどうぞ。」
凛と美羽は練習用に作った木刀と木剣をそれぞれ左右の手に持ち、軽く話をした後に打ち合いを始める。
5分後
カッ、カカン
凛は美羽が振り下ろした右の木剣を左の木刀で防ぎ、反対に自身が行った右の木刀による連撃を美羽が左の木剣で防いだ後に10メートル程バックステップを行い、一旦美羽と距離を取った。
「うん。今の所、体に特別変わった様子はないみたいだ。次は…そうだね、僕が防いでいくからさ、美羽は僕に向けて魔法を放ってみてくれる?」
「うん分かった。それじゃあ行くよー…エレメンタルアロー!」
凛が軽く微笑みながら言った後に美羽へそう頼むと美羽は笑顔で頷き、集中して魔法の詠唱をし始める。
そして美羽が10秒程詠唱してからエレメンタルアローを発動させると、美羽の頭から50センチ程上の位置に少し間隔を空け、直径10センチ程の炎の球、氷の球、風の球、土の球が現れた。
そしてそれぞれの球から幅2センチ、長さ15センチの炎、氷、風、土の矢がランダムに5発ずつ凛に向かって発射され、やがてそれぞれの球は出し尽くした為か消滅していった。
エレメンタルアローは複合型中級魔法の1つで、炎・水・風・土属性の全てに適正がないと使えない魔法となっている。
美羽は今回、自分の頭上に4属性共呼び出したが、本来であれば見えている所になら自由に配置を選べて呼び出し、それぞれ好きなタイミングで5発ずつ発射する事が出来る。
「はぁっ!よっ、よっ、てぇぇいっ!!」
ボボボボッ
サッ
サッ
ボボボボボボボッ
凛は美羽からマシンガンの様に放たれた4属性の矢を、魔力を纏わせた2本の木刀で打ち消す、或いは避けたりして凌いでいた。
「それじゃ今度は、前と変わらずに僕がビットを使えるかだね。最初は1基だけで動かしてみるけど、特に問題なさそうなら少しずつ増やしていくねー。」
「はーい!」
凛と美羽はお互いにそう言った後、凛は無限収納から1基のビットを呼び出して自身の右肩の上に配置する。
そして凛はビットを操作して10メートル程離れた美羽を狙い、威力を弱めた魔力弾を撃ち出す事に。
それからの凛はビットを空中に動かしては何発かの魔力弾を美羽へ向けて撃ち、美羽はそれらを魔力を纏わせた右手の木剣で打ち消していった。
そして凛も以前と変わった所はないと判断したのか、操作するビットの数を2基、3基、4基と増やしていく。
やがて凛は4基のビットを大部屋の中で縦横無尽に飛ばし、様々な角度から美羽へ向けて魔力弾を撃つ。
美羽はそれらを左右の木剣を使って打ち消したり、跳んだりバックステップを行う等して避ける行為を行っていた。
5分後
「ビットの練習はこんな感じかな。ありがとう美羽。」
「どう致しまして。ボクもマスターみたいにビットを使いたいんだけど、魔力弾を撃ち出す攻撃とか、4点に配置してからの防御に切り替えるのが難しいんだよね…。」
「それじゃさ、試作品ではあるんだけど…この剣状のビットを使ってみる?美羽は(ビットを)動かすだけなら出来てたしさ。」
凛と美羽がそう会話のやり取りをした後、凛はそう言いながらビットを一旦無限収納の中へ直し、代わりに鈍い銀色をした鉄板の様な物を1枚取り出す。
その板は厚さが2センチ程、高さが30センチ程の正二等辺三角形の形をしており、いずれの辺の所が刃物の様に鋭くなっていた。
「これも一応ビットなんだけど…こうやって魔力を纏わせる事が出来て、基本的には尖った部分で突いたり、それぞれの辺の部分を使って相手を斬ったりするんだ。そしてこれは6枚で1組になる様に設定してて…こう重ねたら即席の盾にもなるんだよ。」
凛は話しながら板状のビットに魔力を纏わせ、空中で尖った部分を前に動かしての突く動作や、真横に払ったりと言う動きを行う。
その後凛は無限収納から同じ物を5枚取り出して空中に浮かせ、頭上でぐるぐる動かす等した後に自身の前に鉄板を上下3枚ずつ交互に重ね、縦60センチ位で縦長の六角形を形成する。
「勿論単体でも少し離れた所に設置すれば、面積は小さいけど(矢や魔法と言った)遠距離攻撃からの盾代わりとして使えるよ。」
「マスター凄いですー!これ…ボクが使って良いの?」
「勿論だよ。無限収納の中は繋がってるからさ、美羽がさっきのビットを出し入れするとかして使ってね。それじゃ、もう少しだけ手合わせをしようか。」
「はーい♪」
凛が交互に重ねた鉄板6枚の内の1枚だけを少し離れた所に移してそう話すと、上機嫌になった美羽が凛にそう尋ねる。
凛は頷いたあとに全部の板状のビットを無限収納へ直し、そう言いながら木刀を構える。
そして美羽が返事をして木剣を構えた事で、2人による武器の打ち合いが再開される。
「凛くん達ってさ、普段からあんな感じなのかな…。」
「分かりません…。けどお二人共余裕がある所を見ると、もっと激しいのかも…。」
「うへぇ…。こりゃ、あたし達も頑張って強くならないとだねぇ…。」
「はい…。」
壁際にいた翡翠と楓の2人は凛達が先程よりも激しく打ち合ってる様子を見て、凹んだり密かにやる気を出したりしていた。
そしてもう1人。
「…………?」
紅葉は生活部屋の横にある部屋で目を覚ますのだが、見慣れない風景である事を不思議に思い、ベッドの上で上体を起こす。
「あ…。」
自身の傍では同じ様に、ホブゴブリンとホブゴブリンが大きくなった者がベッドの上で横になって寝ている所だった。
紅葉はその横になっている2体を見て、先程と姿は変わってはいるものの、ゴブリンキングからの攻撃で生き残ったゴブリンではないかと思った様だ。
「…?…!」
カッ、カカン
「…?あちらで何か行われているのでしょうか…?」
そして紅葉はベッドから降りて床の上に立つのだが、今までとは目線の高さが違っている事に疑問を持つ。
そして紅葉は持ち上げた右手を見てゴブリンのものでは無い事に驚きつつ、すぐに少し離れた所から木同士がぶつかっている様な音が響いている事に気付く。
紅葉はその音に興味を示したのか、そう言って歩き始め、近くにあったドアを横にスライドして部屋から出る。
紅葉はそのまま生活部屋から大部屋の境目(2メートル四方でぽっかりと空いている空間)へと移動し、凛と美羽が最初の打ち合いを行っている様子を見始め、そのまま最後まで見ていたりする。
「ふぁ~あ、良く寝たぜ。雫…はまだ寝てるみた…ん?翡翠と楓がいねぇな。(ガラッ)生活部屋にもいねぇ…。大部屋で凛と何かしてるのか?なら取り敢えずオレも行って…って、誰だお前!?」
「火燐ーどうかしたー?って、もしかして…そこにいるのは紅葉だったりする?」
「はい…。」
『え!?』
「自分で言っておいてなんだけど、僕もあまり自信はなかったんだよね…。えーっと美羽、悪いんだけどさ、取り敢えず紅葉に服を着せて貰って良いかな?」
「分かったー。」
火燐は左端のベッドで目覚めると、隣にいた雫はまだ寝ていたものの、その奥にいる筈の翡翠と楓の2人がいない事に気付いた。
火燐はそう言って扉をスライドして部屋から出るのだが、生活部屋やキッチンを見ても凛達がいなかった為、そう言いながら大部屋へ向かおうとして入口の方を向く。
すると紅葉が黙っていた事もあって今まで気が付かなかったのだが、火燐の目の前でお尻をこちらに向けている女性が立っていた。
その女性は黒髪を腰の下まで真っ直ぐに伸ばしており、全身裸の姿で生活部屋から大部屋を覗き込んで見ていると言う状態だった。
火燐は見慣れない女性が今までそこにいたと言う事に気付き、驚きのあまり大声でそう叫んでしまう。
凛達は訓練が終わり、少し雑談をしている所で火燐による叫び声が聞こえる。
火燐の叫び声を聞いた凛がそう言って入口の方を向くと、そこには見知らぬ女性が首と肩を少し出している状態で、こちらの事をじっと見ていた。
凛は女性を見て魔素を沢山受けた事で体が変化した紅葉ではないかと思い、女性へ窺う様にしてそう尋ねる。
すると紅葉が肯定した事で美羽達4人が驚いた表情となり、凛は苦笑いの表情でそう話す。
凛は隣にいる美羽へ頼み、美羽は返事をして紅葉の元へと向かって行った。
凛達は生活部屋へ移動し、それぞれソファーに座る。
ひとまず紅葉にはいつも美羽が訓練の時に着ている赤いジャージを着て貰ったのだが、少し胸の所が苦しそうに見えた。
「(紅葉ちゃん…火燐ちゃんのよりも大きかった…。)」
その為、美羽は少し凹んでいる様だ。
「今ナビのログを見て分かったんだけど、紅葉は名付けの影響でネームドモンスターになったんだって。それでゴブリンからホブゴブリン、レッサーオーガ、オーガを経て妖鬼族に進化したみたいだね。紅葉は念話を使わなくても対話が可能になったんだ?」
「はい、私はこの姿になった事で話せる様になりました。先程、凛様達が訓練されてる様子を拝見させて頂きましたが、素晴らしい以外の言葉が見つかりません…。私はただただ驚いているばかりでございます。」
「………。」
「(紅葉は話し方が堅いなぁ。)…前から思ってたんだけど、紅葉の言葉遣いは堅いからさ、少し解してみようか。これから僕達は一緒にいる訳だし、普通に話してくれて全然大丈夫だよ。」
「はい…。」
「それじゃ丁度良い時間だし、雫達を起こして皆で朝ごはんにしよっか。僕、皆を起こして来るね。」
「あっ、ボクも手伝うよ!」
凛は周りへ説明しながら紅葉へ尋ね、紅葉は丁寧な言葉で返事を返した。
これに紅葉の話し方を初めて聞いた火燐はうへぇと言いたそうな苦い顔をしており、凛も内心でそう思っていた。
凛は苦笑いの表情を浮かべて紅葉にそう話すと、紅葉は少し落ち込んだ様子で返事を行う。
そして凛は皆にそう伝えて立ち上がり、美羽もそう言いながら凛の後ろを付いて行った。
「なぁ翡翠、楓。お前らも大部屋にいたって事はよ、皆で訓練か何かしてたのか?」
「凛くんと美羽ちゃんの2人がね。あたし達は見てるだけ…って言うか、今のあたし達じゃとてもじゃないけどあんなに高度な訓練は出来そうにないかなぁ。あたしも、もっともっと頑張らないと…。」
「はい…。」
「そんなにかよ…。先は長そうだな…。」
火燐が2人に尋ねると翡翠が苦笑いを浮かべて火燐へそう説明し、楓は肯定する様に頷く。
火燐は翡翠からの説明を受け、苦虫を噛んだ様な表情になってそう話した。
「雫達を起こして来たよー。僕はこれから朝ごはんの用意をするから、皆も準備が出来次第椅子に座っていってねー。」
凛はそう言いながら、美羽と2人で朝食をテーブルの上に並べていった。
そうしている内に皆が次々に椅子へ座っていき、名付けによる進化を終えた暁達も少し座りにくそうにしながら椅子に座る。
暁は名付けの影響でホブゴブリンからオーガへと進化し、旭と月夜はゴブリンからレッサーオーガへ、小夜はホブゴブリンへ進化していた。
暁は身長が2メートルを越えてかなりの筋肉質となり、赤い鬼と言える様な容姿をしていた。
旭は身長が180センチ位でオレンジがかった体に、月夜は身長が170センチ位で薄い紫がかった体となり、どちらも暁程ではないが筋肉質の体をしている。
小夜は身長が145センチ位のホブゴブリンとなり、月夜程紫色ではないものの、普通のゴブリンと比べて青みがかった体をしていた。
凛と美羽は今朝の朝食として、牛乳とコンソメスープとコーンスープ、サラダとトースト、ベーコンエッグにヨーグルト、ホットケーキを並べる。
それとトーストやヨーグルト、ホットケーキ用にと言う事で、それぞれの横にジャム各種や蜂蜜、メープルシロップ、チョコレートソース、ミックスベリーソースを置く。
そして凛は皆が椅子に座った事を確認した後、紅葉へ食事を摂る前に頂きますを言う事を口頭で伝え、暁達へはまだ話せない事もあって念話で同じ事を伝える。
「一応こんな形で用意してはみたけど、足らなかったりとか、違うのが欲しかったりしたら言ってね。それでは…頂きます。」
『頂きます。』
『(頂きます。)』
凛がそう言って朝食が始まるなのだが、凛と美羽以外の者達はこの様な朝食は初めての為、一口食べては驚くと言った事を繰り返していた。
それと女性陣だけでなく、暁と旭の男性陣にもホットケーキが好評だった為、凛は予備で取っておいた物を出す事に。
それとついでにではあるが、凛と美羽の2人だけは野菜多め(美羽の分は長ねぎ入り)のグリーンスムージーを飲んでいた。
皆興味はあったものの、その緑色でドロッとした液体と言う事で誰が飲むかで軽く揉める。
そして結果的に翡翠が一口飲んではみたものの、青汁の様に苦味やえぐみが前面に出ている事もあって微妙な表情となる。
しかし凛がバナナや林檎を入れて作り直した事で甘くなり、翡翠がごくごくと飲んだ事で皆も飲みたいと言い出した。
その為凛は追加で人数分作らされる事になり、美羽はその様子を哀れんだ表情で見ていた。
凛達は朝ごはんを済ませた後、いつまでも紅葉が赤いジャージのまま、暁達は起こした時に急遽着て貰ったローブのままでは悪いと思い、ひとまず火燐達のも含めて服を用意する事に。
凛達は現在の紅葉の姿を見て話し合った結果、和服が似合うのではないかと言う意見になった。
凛はその場で用意した簡単な黒い和服を紅葉に着て貰い、帯の所には2本の鉄扇を差して貰った。
凛は暁達にも同じ髪色の和服を着て貰った後、今度は武器ついて念話で尋ねる事に。
その結果暁は大太刀、旭は小太刀を2本、月夜は薙刀となり、小夜も月夜と同じく薙刀と言われたのだが、まだ体が小さい事もあって短槍2本をそれぞれ用意して渡した。
それと、火燐達4人は凛が余裕が出来て服を用意して貰えるまでは赤いジャージで良いと言う事になり、お揃いの姿となった。
「(そう言えばさっき、紅葉達に武器とか渡しながら軽く色々説明してたら、ナビから昨日伝えるのを忘れていましたが効率化を超効率化にアップデートしておきましたとか聞こえた気がしたんだけど…。ははは、まさかね…。)」
《(まだまだマスターのお役に立たねば…)》
「(…ん?ナビ何か言った?)」
《いいえ、気のせいかと。》
「(そう?分かった。)」
凛は紅葉達も含めて一通りの準備が終わる頃に、その様な事を考えていた。
そして凛はナビが自分へ向けて何か言った気がして尋ねるも、ナビから違うと言われた事で気のせいだと思う事にした様だ。
そして準備を終えた凛達はポータルを使い、ゴブリンの集落へと戻って来る。
「取り敢えずここから半径10キロ圏内で、誰か襲われてるとかないみたいだね。暁達も進化したら紅葉みたいに人っぽくなるかも知れないし、今日は森の中へ入ってみようか。…そう言えば改めて思ったんだけど、紅葉は姫って呼ばれてただけあって綺麗になったし、かなり強くなってたよね。」
『(こくこく)』
「そんな…恥ずかしいです…。」
凛はナビから教えて貰ったサーチを使い、周りに誰も被害に合いそうな人がいない事を確認する。
そしてそう言いながら暁達を見た後に紅葉を見てそう言うと、暁達は凛と同様なのか紅葉を見て何度も頷き、紅葉は凛の言葉で照れていた。
紅葉はオーガである暁と比べて身長が160センチ位にまで縮んだものの、内包している魔素の量が凄まじく、美羽に近い感じの金級の強さとなっていた。
因みに、最初に戦ったオークは銅級、オークジェネラルは銀級上位、オークキングは金級上位となっている。
更に、ゴブリンは鉄級、ホブゴブリンは銅級、クレーターゴブリンは銅級上位、ゴブリンキングは銀級となる。
そして今回、暁達がホブゴブリンから進化したレッサーオーガは銅級、オーガは銀級、紅葉が現在なっている妖鬼は金級の強さとなっている。
しかも紅葉は今の妖鬼で打ち止めではなく、まだ先へ進化出来る可能性がある様だ。
「そりゃ魔素が一気に減る訳だよ…。」
凛は昨晩ナビからその事を聞いた時、少し引き攣った表情でその様な事を呟いていたりする。
「そうそう。今日はまず、仮の拠点を建てようと思うんだ。けどここじゃちょっと紅葉達に悪いし、ゴブリンさん達を供養した後に別な所へ移動しようか。皆は拠点の場所をどこにするとか、何件か残った集落の建物をどうしたいって意見はあるかな?」
「拠点の場所はエルマ達がいた木の所で良いんじゃねぇか?街にも近いし、木の高さも中々だったから目立つだろ。それと、建物はそのままでも良いと思うぜ。」
『(こくこく)』
「分かった。それじゃ皆で手分けして、ゴブリンさん達の供養を始めようか。」
凛が尋ねると火燐がそう答え、皆も特に問題ないのか頷いていた。
そして凛がそう言って動き始めた事で、皆も集落内へ散らばって行った。
「ここに設置しておいたポータルは消した、と。それじゃ最後に、誰か来ても良い様に、ここへ幾つか非常食を置いておこうかな。…よし、お邪魔しました。」
凛達は30分程で集落のゴブリン達の供養を終える。
そして凛が最終チェックとして無事な建物を一通り見た後、入口に近い建物の中へ入ってすぐの所に、カ○リー○イト等の非常食やペットボトルの水を数点置いた。
その後凛は両手を合わせて亡くなったゴブリン達の冥福を祈り、そう言って皆と一緒に集落を去った。
それから1週間後
「これ…初めて食べる筈なのにぃ、なんだか懐かしい気がする~」
凛の知らない誰かが建物の中へ入り、凛が用意した非常食を食べているのだった。