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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
153/594

149話

凛達は火燐達が降りて来るのを合図にして皿や食器等をテーブルに並べ始める。

そして火燐達がそれぞれ顔を洗ったり、髪型等の身嗜みだしなみを整えてから洗面所から帰って来る頃には料理がちらほらと並べ始められていた。


その後も準備は進められて行き、やがて(先程凛達が追加した物を含め)1人1人が座っているテーブルの前に火燐達の進化のお祝いや少女達の歓迎会用の料理が並べ終わる。


今回は森林龍フォレストドラゴン大地龍グラウンドドラゴン、オークキング、ミノタウロスキング、それと初めて出すコカトリスの上位であるパイロリスクの肉や、領地内で取れた野菜や果物をふんだんに使った料理を用意した。


並べられた料理の数々は、火燐達だけでなく他の皆も夢中となって見ていた。

一通り準備が終わった凛は、そんな皆の様子を見ながら席に着く。

その後、進化に備えて休んでいた為知らなかった火燐達に向けて流達や赤と緑の髪色の少女達を、それと火燐達の事を知らない流達や少女達に向けて火燐達の紹介を行う。



「(一応紹介はしたものの、皆料理に夢中で早く食べたそうにしてる。多分今のやり取りは覚えていないんだろうな。)」



しかし皆紹介は行うものの、皆一様にして並べられた料理を真っ直ぐに見て(少女に至っては涎がだらだらと出て)いた。

凛は内心そう思った後、ふふっと笑いながら皆の様子を見るのだった。




凛の合図でお祝いが始まると、皆は待ってましたとばかりに料理を食べ始める。

そして折角のお祝いなのに賛辞や会話がほとんどど無く、揃って黙りながら料理を食べる事がメインとなってしまう。

お祝いに参加している皆は料理をしっかりと味わおうとしている様だ。

凛は皆が揃って黙々と食べ進めていく様子を見て少し可笑しかったのか、ここでも軽い笑みを浮かべる。


それとお祝いが始まって直ぐにダニエルが仕事の引き継ぎを終わらせたらしく、屋敷に住む為に簡単な荷物を持って商会を訪ねて来たと言う連絡がベータ(2番機)から連絡が届いた。

お祝いの最中ではあるが、凛は商会へと移動してダニエルを迎えに行き、折角なのでそこでダニエルと話していた彼の部下もお祝いに呼ぶ事にした。


2人は屋敷のダイニングに来た際に、皆が言葉を発さずに黙々と料理を食べると言う、独特な雰囲気に緊張していたが直ぐに周りと同じ様に料理に釘付けになった後に食べ進めていく。

因みにお祝いが始まって1時間後にエルダードワーフに進化して降りて来たルルは、皆の様子を見て最初引いていたのだが結局黙って食べ進めていった。




火燐は火の精から進化してクトゥグア(生ける炎)となった。

先程髪の一部が燃えている様になっていたのだが、これは寝惚けた影響で『炎神化』と言う進化して得られたスキルが軽く発動してしまった様だ。


火燐はこの炎神化スキルのおかげで自身が炎となり、更に荒々しく激しい戦いが行える様になっただけで無く、意識すれば戦いながら針状の炎を飛ばせる様になった。


「戦いながら魔法を使うのは面倒だったが、新しくなった剣と同様に戦いやすくなりそうだな!」


火燐はそう言いながら新しくなった大剣を前へ向けて振るったり突き出す事を合図に、針状の大きさにした炎を強硬石の的へと飛ばして無数の穴を空けていた。


火燐の紅蓮の大剣(ルージュ)は進化してレーヴァテイン(災いの杖)となり、剣の形状が少し刺々しくなった。

翌日レーヴァテインを調べていた時に火燐は杖?と首を傾げていたが、進化して色々と調べる内に気にならなくなった様だ。

レーヴァテインは切れ味が上がっただけで無く、炎の魔力を込めればヒ○トソ○ドの様に刀身が赤熱して相手を融断する事も可能になった。


「ザ○とは違うのだよ、○クとは。」


「雫、どこに向かって言ってるの?それに何でどや顔?」


「何と無く言わなければいけない気がした。」


「いや、ここで親指を立てられても…。」


火燐の検証中に雫は明後日の方向に向かってそう言っていた為、凛は不思議に思い雫へと尋ねる。

すっと凛の方向を向いた雫はじと目だがすっきりとした表情になっており、そのまま凛へぐっと親指を立ててそう言った。

困った凛はそう答えるしか無かった。




楓は土の精から進化してナイアルラトホテップ(這い寄る混沌)となった。

楓は『土神化』と言うスキルを獲得する。


土神化の効果は凄まじく、後日検証の際に訓練部屋の壁際に縦横30メートル程、厚さ5メートル程の壁を用意した物に向かって放った凛の最大攻撃ハイパーブラスターキャノンを半分程抉られたものの見事に防ぎ切った。

それと土との親和性も高まるので、翠と組めば更に作物が美味しくなると皆で喜んだ。


「新たに得た力とテュルちゃんで皆を守ります…!」


翌日の早朝訓練が終わる頃に楓がそう言った。


楓の豊穣の枝杖(マロン)は進化してテュルソス(豊穣の聖杖)となった。

杖の持ち手の枝の所には雫のカドゥケウスの様に葡萄のつるや葉が巻き付いており、先端には大きな松ぼっくりが生えていた。


「あら、可愛いです…♪」


「ぐぬぬ…。」


翌日、検証の際に初めて出して見せると可愛らしい杖となっていた為、楓を含む周りが杖を見て和んでいたが雫だけは納得行かないのかうなっていた。




紅葉は鬼姫から鬼子母神(きしもじん)へと進化した。

見た目はそう変わっていないのだが、どこかつやのある表情となった。


紅葉は進化した事で『守護神』と言うスキルを獲得した。

これは同族で自身に連なる者…つまり暁、旭、月夜、小夜の身体能力、中でも特に守りを上げてくれるスキルの様だ。

このスキルは常時発動していて、紅葉と今いる距離が近い程効果が大きくなる。

その為暁達は今迄以上に紅葉と一緒に行動する様になる。


「私達が強くなればその分凛様の負担が軽くなります。これからも精進致しましょう。」


『はっ!』


「私も一緒に加わりたかったなぁ…。」


紅葉達は気合いを入れてそう言ったのだが、クロエだけは寂しそうにそう言った。




リーリアはハイエルフからエンシェント(古代の)エルフへと進化した。


リーリアは『共鳴』と言うスキルを獲得した。

これは共に行動している風の精霊だけで無く、遠く離れている精霊とコンタクトが取れたり、精霊同士で連携が行える様になるスキルだ。

今迄は風の精霊が1体だけだったが、仲良くなれば複数体の精霊と行動出来る様になる。


「妖精さん、もしかしたらお仲間が増えるかも知れないんだって~!」


「! ~~♪」


リーリアが嬉しそうにそう言うと、風の妖精も嬉しいのかリーリアの周りを飛び回った。




篝は天狐から進化して空狐となり、体も少し成長して見た目が20歳位になる。

空狐となった篝は『九尾』と言うスキルを獲得した。

これは自身の金、銀、茶色、白、黒、黄色、赤色、青色、緑色の髪色をした分身の様な物を作り出して動かすと言うスキルだ。


しかし篝は空狐に進化してしまった事で尻尾が失われてしまった様だ。

篝は凛達にいつもやって貰っている尻尾の手入れや、もふもふをされなくなってしまう事を悲しんだ。

その為篝は九尾の内の金色を常時尻尾にして発動させ、いざという時以外は今迄通りに振る舞える様にした。


尚、分身とは言え1体ずつが魔銀級の強さで遠隔操作も出来るし、篝の思考を組み込んだAIの様にして自動で動かす事も出来る。




紫水はヴェノム(猛毒)スパイダーから進化してデスヴェノム(死毒)スパイダーへと進化した。

見た目が13歳位になり、身長が凛と同じ位になる。

紫水は『毒液生成』と言うスキルを獲得した。

しかしそのまま毒の液体を生成すると言うスキルだった為目覚めて早々、


「もっと…良いのが…良かった…。」


と残念がっていた。




琥珀と瑪瑙はハイ・ソードビーから進化してソードマスター(剣聖)ビーとなった。

どちらも見た目が14歳位となり、こちらも凛と同じ位の身長になる。

しかし琥珀達はスキルが得られなかった様で、同居している紫水以上に目覚めて早々落ち込んでしまった。




その後も琥珀、瑪瑙、紫水の3人は少しやけ気味で、火燐、雫、赤と緑の髪色の少女の3人は好みの料理を貪る様にして食事を摂っている。

しかし他の人達は料理の1つ1つに舌鼓したづつみを打ちながら、非常に会話の少ないお祝いを楽しんでいった。




同時刻、サルーンの酒場にて


「今日の昼間、ここ(サルーン)の南にある平原を通って死滅の森の近く迄行ってみたんだよ。そしたら森の中に背の高い木が見えてな。何か気になるし、見た所そんなに遠くなさそうだから明日の朝に見に行ってみようと思うんだ。」


「昼間サルーンを探しても見付からない思ったらそんな所にいたのかよ。でもよ、その木が生えてるのはあの死滅の森の中なんだろ?下手すりゃ俺達全員死ぬぜ?」


「そうよ。私、あんたに付き合って死ぬのはごめんよ?」


「それに僕達、サルーンに来てまだ3日しか経ってないし…。」


冒険者のパーティーリーダーで剣士と思われる男性がそう言うと、弓使いの男性、魔法使いの女性、僧侶と思われる男性がそれぞれそう言った。


「俺達はもうすぐ銀級になろうってパーティーだ。それに森に入って直ぐは銀級の魔物しか出て来ねえって聞いた事がある。ここは食事も酒も物も他の所より格段に美味い。しかし当然と言やぁ当然だが、値段の高い物ばかりだ。このまま蓄えが無くなっちまう前に少しでも稼いでおかないと、俺達はこの場所から出て行かないと行けなくなるんだぞ?俺はここが気に入った。今は多少リスクを負ってでも稼がなきゃならんと思うんだよ。とは言え、俺も死にたくないからなるべく安全策を取りたいがな。」


『………。』


しかし剣士がそう言うと、サルーンの良さを知ってしまった3人も出て行きたくないらしく、揃って黙ってしまう。


その後、4人はどう死滅の森を進もうか話し合うのだった。

紫水をデスヴェノムとしていますが、本来はデスポイズンの予定でした。

デスヴェノムと言う単語は恐らく無いと思いますが響きが良いので記載させて頂いております。

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