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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
133/594

129話

「あ、ごめんなさい!初対面なのにじろじろ見るのは失礼ですよね。それにしても僕が言うのも何ですが、凛さんって物凄く可愛らしい女性(ひと)ですね!」


ステラがじっと凛の事を見ているので、美羽がむー…と言いながら頬を少し膨らませてこちらを見ている事に気付き、ステラは慌てて凛と美羽へと頭を下げた後にそう言った。

ステラがそう言うと美羽は少し機嫌が直ったのか、分かっているじゃないかと言わんばかりにしたり顔で頷く。


現在、小さな長方形のテーブルを挟んで凛と美羽、それとステラが向かい合う様にしてソファーに座り、既にベータ(2番機)は退出している。

ステラは内心で本当の面接みたいだ…と感動していた。




「あー…実は僕、こう見えて男なんですよね…。」


「…え?」


凛がははは…と少し遠い目をしながら自分の事を男だと言うと、ステラは衝撃だったのか固まってしまう。


「え?こんなに可愛いのに男性なんですか?()()()()()男から女に生まれ変わったとかでは無く?それに僕と同じ位の年齢に見えますが…。」


「正真正銘男です。僕の場合転生よりも転移の方が近い様な気もしますね…。後、僕今22歳ですよ。」


「え?」


「え?」


ステラは信じられないと言った表情になりながらそう言うと、凛がそう返事を返す。

ステラは再び固まり、凛はあれ?何故か上手く伝わらないな?と言った不思議な感じになっていた。




「重ね重ねすみませんでした!!」


「まあまあ。まさかステラさんが()()()だったとは思いませんでしたよ。意外と辛いですよね…。」


「そうなんですよ…。僕、20歳になる前に事故で死んでしまう迄は男性だったのですが、この世界(リルアース)では女性として生まれまして…。母がずっとこんな感じのスカートを僕に履かせようとするから落ち着かないですね…。体は女ですが心は男なので複雑です…。」


「分かります。僕も未だに女性物の服を着せられますし…。」


「あー、それは何と言って良いやら…。しかし22歳にはとてもではないですが見えないですよ。僕、本気で同い年かと思ってましたし。」


「ははは…。」


ステラが凛へ深く頭を下げた後、話をする毎にお互いに不幸自慢の様になってしまった。

ステラはワンピースの端をピラピラと持ち上げてそう言うと、凛も未だに女性物の服を着せられる事を話し、互いにどんよりとした雰囲気になってしまう。


以前、雫がナナとコーラルにメイド服を渡した後に凛の分と言って雫からクラシックタイプのメイド服を渡された事を切欠きっかけに、ちょくちょく女性物の服を用意されては着せられる様になった。

内心凛は嫌がっているのだが雫を中心とした周囲の熱い視線に抗えず、凛は渋々着るのだが毎回好評価を得ている。

その度に凛は複雑な表情になっている様だ。




それと、一応リーリアも転生者ではあったのだが、元はアメリカ人だったらしくジャンクフードが好き過ぎてかなりの肥満症となり、それが元で死んでしまったのだそうだ。

リーリアが凛の世話になると決まった次の日に、火燐と雫がコーラを飲んでいるのを見てう~んと唸り、その後リーリアが凛の元へやって来た。


「凛君~、このコーラと一緒に食べるとしたら~例えばどんな物があるのかしら~?」


「コーラ?うーん、ポテトチップスやフライドポテト、ハンバーガーとかかな?」


「! 何か聞き覚えがあるわ~。凛君、悪いんだけど~実物を見せて貰えるかしら~?」


「はい、これだね。食べてみる?」


「あ~!これよこれ~!!…懐かしいわ~、漸く思い出せた~♪」


リーリアから尋ねられた凛は少しリーリアと話をしてポテトチップスとフライドポテト、ハンバーガーを出して見せた。

リーリアは凛が用意した物を指差した後、それぞれを味わった後にうんうんと頷いていた。


その後、リーリアは転生する前の事を凛へと話した。

リーリアは生前の事を思い出した後に反省したのだが、思い出してしまった事で食べたくなる衝動に駆られてしまうのだそうだ。

なので1週間に1度だけ、軽く夕食を食べた後に自分の部屋に戻ってからジャンクフードを食べる様になった。


しかし凛がミノタウロスとオークのハンバーグを出した日は我慢出来なかったらしく、リーリアは次の日にこっそりと凛に頼んでそのハンバーグを挟んだハンバーガーを用意して貰い、夕食後に堪能していた。




その後も凛とステラは話を続ける。

ステラによると、どうやらキュレア達とは別だがソアラの近くの村で生まれ、育ったのだそうだ。

ただ、その村は貧しいらしく生まれた時から父親がおらず母親と2人で暮らしていたとの事。


ステラは転生したからと言って特にチート等は無く、そろそろ15歳になるので取り敢えず冒険者にでもなって母親に恩返しをしようと考えていた。

そこへ、1週間近く前に村人が魚の味付けをされた缶詰めを持って帰って来た。

その村人は今はサルーンの商業ギルドに勤めていて、ホズミ商会なる所から周知(しゅうち)目的の為にと、幾つかサンプルとして缶詰めを渡されたのだそうだ。

その村人は缶詰めを持って里帰りし、折角貰ったから案内をと思い他の村人達に缶詰めの紹介をしていた所、近くをステラが通り掛かった。


ステラは話し声が聞こえたので村人の方を向いたのだが、その村人が持っている缶詰めのパッケージに似た物を昔見た事があったと思い、缶詰めを持って来た村人に詳細を尋ねた。

その後母親へやや強引に説得を行い、貧しい事もあってか簡単な荷物だけでここ迄やって来たのだそうだ。

一応身分証の様な物はあったので、北側からサルーンに入りホズミ商会の建物に入ったのだが支所だった為、本部迄の簡単な道案内を聞いたそうだ。




「それにしても、ステラさんがいた村からここ迄結構な距離があったと思うのですが、良く無事に来れましたね。」


「ですね…。今回の旅で獣人で良かったと初めて思いましたよ。危険だと判断した時はなるべく静かに動いて迂回したりしましたし。流石に食料調達は苦労しましたが…。」


凛が尋ねると、ステラは苦笑いを浮かべてそう言った。


「それでなのですが…、僕をホズミ商会で雇っては頂けないでしょうか?まだ冒険者ですらありませんが、生前は高校を卒業してから一人暮らしをしていたので、多少はお役にたてるかなぁと思いまして…。」


「僕個人としてステラさんの事を気に入りました。なので良ければなのですが、このままうちに来てみませんか?」


「是非!!」


ステラはいきなり来たのに図々しいと思ったのか、言葉がだんだんと尻窄(しりすぼ)みになって行く。

しかし凛はサーチで最初からずっと好感を持っている青色で表示されていた事と、やはり同じ故郷の人がいた事が嬉しかった様だ。


凛はステラと話していて楽しかったので、ホズミ商会として雇うよりも近くにいて欲しいと思った。

ステラにそう尋ねると、ステラは予想外だったものの嬉しさのあまり、立ち上がってからそう叫んだのだった。

ステラちゃんは実はどうやらステラ君だった様です、、、


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