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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
辺境都市サルーンを取り巻く者達編
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124話 33日目

それから3日経った33日目。


この日からイータ達を朝食後の訓練に参加して貰う事にした。

トーマスやニーナ達に強過ぎるインパクトを与えてしまう可能性がある為、折角開店したばかりで大変なのに混乱してしまう事で業務に差し支えるかも知れないと凛が判断した為だ。


昨日迄イータ達は早朝訓練にだけ参加して貰い、残りは地面から少しだけ浮いた状態で時速20キロ程で森を進ませていた。

イータ達は常時サーチを展開している為魔物の把握だけで無く、もし人間が近くにいたら怪しまれない為に少し迂回して避ける様に指示を出してある。


凛は朝食の際にアルファ(1番機)の様な姿をしたエクスマキナがこの後の訓練に来るので、まずは以前より強くなった今の自分達へ教えるのに足りるかを分かって貰おうと思うが吃驚びっくりし過ぎない様にと皆へ伝える。

凛や美羽達戦闘組は既に分かっているのだが、その他の人達は何故わざわざ凛がそんな事を言うのかが分からないと言った表情になった。


朝食後一同は訓練部屋に向かったのだが、そこには既にイータ達8体が待っていた。

凛はイータ達の実力を知って貰おうと思い、最初の5分程イータ達を美羽が、ラムダ達を凛が軽く手合わせをする事になった。


その後凛は勿論余裕だが美羽は少しキツそうにしながら5分程の手合わせを終えて皆の所へと戻る。

すると、ガイウス、ゴーガン、それと戦闘組以外の人達は軽く手合わせすると言っておきながら、凄まじい攻防を見せられた凛達の様子を見て呆然とするのだった。




しかし、皆凛に驚かされてばかりで多少免疫が付いたのか立ち直るのも早かった。

早速ガイウスはイータへ、ゴーガンはシータの元へ向かった。

するとその他の人達もガイウス達が向かって行った事でそれぞれ自分達が使っている武器を持っているエクスマキナの元へと向かい、それ以外の人達は凛達が受け持つ事に。


特にイオタ、ニュー、クスィーは人気の様で、凛に自分も同じ物を使いたいと言う者が結構いた。


「イオタの連接剣は扱いが非常に難しいし、ニューのビットは美羽ですら最初滅茶苦茶苦労していたんだ。クスィーの苦無と手裏剣は牽制けんせいや投擲として有りだと思うので、クスィーの所に行ったら練習出来るよ。」


凛が自分の元に集まった人達(主に男性や少年)へ向けてそう言うと人々はがくっと項垂れたが、その内の何割かは凛の言う通りにクスィーの元へと向かうのだった。

この領地にいる人達のほとんどが美羽は凛の次に強い事を知っている為、彼女で難しいのなら自分は無理だと判断した様だ。


その後イオタは片手剣、ニューはシールドソードビットを3枚で固定させて大剣として指導する事になった。

どちらも人気な武器の為どこの指導する人の元にも長い行列が出来ているので、イオタとニューが指導に加わった事で少しだけ列を分散させる事が出来た。



「(これは早く藍火達に強くなって貰って、こちら側にした方が良さそうだね…。)」



凛は美羽達やイータ達に指導して貰っている藍火達を見てそう思うのだった。




それと、昼食の前にトルテが新たに26体のハーピィとそのクイーンを引き連れて帰って来た。

彼女達は領地から2000キロ程東に行った所にある集落で暮らしていたのだそうだ。

そこへトルテがやって来て説得されたのだが、そこのハーピィクイーンはトルテに敵わないと判断して下る事に。

トルテはにこにことしながら凛と同じテーブルの対面の椅子に座っていたのだが、トルテの横に座っている新しくやって来たハーピィクイーンと後ろに立っているハーピィ達は、自分達はここで死ぬのかと思っているのかびくびくしている様だ。


凛は落ち着いて貰おうと思い優しくハーピィ達に話し掛ける。


「(これはトルテの配下のハーピィに産んで貰った卵を使ったオムレツとプリンと言う食べ物です。{皆凄い見てるし生唾を飲み込む音が}…この様にして食べますので、宜しればどうぞ。)」


「………。(ぱくっ)…!(はぐっはぐっ)」


軽く話し掛けた後、凛は何故ハーピィクイーン達は自分達がここへ連れて来られたかを分かって貰おうと思い、キッチンへ向かって直ぐにささっと焼いたハーピィの卵のプレーンオムレツと、予め昼食の際に食べようと思って今朝から冷やしていた少し小さめのプリンを、自身とハーピィクイーンの前に並べる。


そしてかろうじて形を保っていたオムレツにナイフで切れ目を入れてトロッとした卵が出て来る。

既に領地にいるほとんどの人が昼食の為に周りにいるのだが、周りの人達はその光景を見て既に美味しそうに思ったのか、ごくっと生唾を飲んだ。


凛は内心苦笑いを浮かべながらも、平静を装ってハーピィクイーンに食べ方の見本を見せる。

トルテも美味しそうに食べているのを見たハーピィクイーンは、恐る恐る目の前にあるオムレツをスプーンですくって食べると、自分達と同じ卵なのにここまで美味しいのかと驚いた様だ。

先程迄びくびくしていた事を忘れる程にオムレツ、それにプリンへとがっついた。


ハーピィクイーンが警戒を緩めて食べ始めたので、凛が周りにいる人達に食べて良いですよーと伝える。

それを合図に周りにいる人達が食べ始めるのだが、周りにいる人達とハーピィ達にはオムレツは無かったので、少し羨ましそうに凛とハーピィクイーンを見ている。




「(ハーピィの卵は美味しいのでとても重宝させて貰っています。ここへ貴女達が連れて来られた理由が分かりましたか?)」


「(こくこく)………。(しゅん)」


凛は食べ終わったハーピィクイーンに尋ねると勢い良く頷かれた。

しかしハーピィクイーンはプリンの量があまりに少なかったからか、寂しそうに空のプリンが入っていた容器を見つめている。


「(ここは人が多いですからね。貴女の隣にいるトルテと貴女達次第で食べれる量が増える、と言っても良い位です。協力しては貰えないでしょうか?)」


「(どのみち私達に残された道は少ないですし、ここは居心地が良さそうですので喜んで友好を選ばせて頂きます。宜しくお願いしますね。)」


「(宜しくお願いします。)」


凛がそう提案すると、絶望から一転して希望へと変わったと判断したハーピィクイーンは真っ直ぐ凛を見ながらそう言い、凛は軽く頭を下げてハーピィクイーンへそう言ったのだった。

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