121話 30日目
次の日の30日目 午前4時30分過ぎ
「ナビ、今からイータ、シータ、イオタ、カッパ、それとラムダ、ミュー、ニュー、クスィーのチェックをするよ。ナビからも何かあれば言ってね。」
《畏まりました。》
「よし、起動!」
早朝訓練よりも早い時間から訓練部屋にいる凛は、少し見た目の異なる8体のエクスマキナを並べて起動させ、5メートル程距離を取る。
「うん、無事に起動出来たね。それじゃ早速だけどイータ、シータ、イオタ、カッパの4体の戦闘を見たいので、それぞれ与えられた武器を持って僕に向かって来てくれるかな?」
『畏まりました。』
凛がそう尋ねると、イータとシータの2体はそれぞれ無限収納から大斧、片手剣と盾を構え凛へと向かって来た。
同様にして連接剣と杖を構えたイオタとカッパは反対に距離を取る。
イータは右手で軽々と大斧を振り回しつつ凛の様に手足を使ってくるし、シータは片手剣と盾を駆使してイータに隠れたり、或いは盾を凛の前にやって視界を遮る形でイータの姿を隠し、時間差で凛を攻めたりする。
イオタは右手に連接剣を持って中距離からイータとシータの合間を縫って凛を攻撃している。
イオタが持っている連接剣は見た目は普通の直剣の様に見えるが、剣の内側と柄の部分に細工を施してある。
刀身の内側に紫水の糸を使ったワイヤー状の物を用いた事により、柄の部分にある細工を刀身が幾つもの節に分かれ、直剣の状態から5メートル程まで伸びた鞭の様に柔らかくしなる状態に迄段階的に伸ばせる事が可能だ。
カッパは全属性の魔法を扱える様にしてある。
今も少し距離を取った事で他の3体の攻撃を避けた所を、色々な初級や中級魔法で追撃し凛の刀や鞘で弾かれている所だ。
「…ありがとう、もう大丈夫だよ。イータ、シータ、イオタ、カッパはラムダ、ミュー、ニュー、クスィーと交代。イータ達はそのまま待機。ラムダ達、イータ達と同様に僕に攻撃して来て。あ、クスィーは魔力を纏わせないで普通の投擲だけでお願い。」
『畏まりました。』
凛は5分程イータ達と手合わせを行い、試運転は充分だと判断した。
凛はイータ達とラムダ達に入れ替わる様に伝えると、イータ達は待機してラムダ達が凛へ挑む事になった。
ラムダは武骨な長い槍を、ミューはそれぞれ両手に着けた籠手を構えて凛の元に向かった。
少し離れたニューは右手に剣の柄と鍔、その上にくっ付ける様にしてシールドソードビットを上に2つ重ねた剣の様な物、左手には正方形の様に4つ重ねた盾の様な物を携え、自身の上に展開している8基のビットで凛を撃って攻撃していた。
ニューは遠距離だとビットで射撃を行い、近距離から中距離だと距離に応じてシールドソードビットの剣と盾の割合を増減して戦う。
最高で盾無しにして剣の部分にシールドソードビットを6枚全部と言う事も出来るし、逆もまた然りとなっている。
クスィーはひたすら無限収納から苦無や手裏剣を取り出しては動き回り、色んな角度から凛へ向かって投げていた。
クスィーは投げる際に苦無や手裏剣に魔法属性が付与出来る為、単純に刺さるだけでは無く爆発を起こしたり凍らせたり、それと風の刃を起こしたり岩で固める等して追加攻撃や動きを阻害する事も可能だ。
それと属性付与した苦無や手裏剣は投げた後に操作が出来るので、仮に明後日の方向に投げたとしても操作して当てる事が出来る。
「…よし、ラムダ達も大丈夫だろう。ナビ、特に問題無いと思うんだけどナビはどうかな?」
《特に問題無いかと思われます。》
「良かった。それじゃ、仕上げとしてイータ達も一緒においで。皆、出力を上げて本気をだして大丈夫だよ。クスィーもね。」
『畏まりました。』
更に5分程ラムダ達と手合わせをした凛は、ラムダ達から大きく距離を取った。
そしてラムダ達にも特に問題は無いと判断した為ナビに尋ねてみた。
ナビからも問題無いと判断されたので、美羽達が来る前に少し本気になろうと思った凛は8体に本気で来る様に伝える。
そこから美羽達が来る迄の10分弱の間、8体から放たれる凄まじい所では無い斬撃、打撃、魔法が凛へ向かって来るのだが、凛は楽しそうにしながら弾き、往なし、かわして行く。
攻撃を避けた所へブォン、と大きな音を立ててニューの6枚重ねのシールドソードビットの剣が横凪ぎに来るし、周りを巻き込む為か流石に凛が以前使ったビットを最大の20基使ったハイパーブラスターキャノンこそ放たないものの、ビットを4基使ったブラスターや10基使ったブラスターキャノンは普通に撃って来る。
カッパもニュー同様に、周りを巻き込むのを避ける為か上級者魔法や魔力を込めた初級や中級魔法を放ってくるし、クスィーも属性付与した苦無や手裏剣を放って来る様になった。
『…………。』
「あっ、美羽、達、おは、よう、っと!皆ありがとう、もう良いよ。」
『畏まりました。』
美羽達は5人揃って訓練部屋へと来るのだが、そこには訓練部屋の処理能力を越えてしまった為か壁は切り裂かれぼこぼこにされ、床は溶岩があったり斜めに切られたのであろう太い氷の柱や岩の塊がそこらに並んでいた。
その為、まるで地獄絵図の様になってしまった訓練部屋を見た美羽達は、部屋に入って早々凛へ挨拶どころではなく固まっていた。
凛はイータ達の攻撃を避けている間に美羽達が来たのを確認した為、挨拶の言葉が飛び飛びになった。
そして再び大きく距離を取ってイータ達に攻撃を止める様に伝え、イータ達はそれに返事をして攻撃を止める。
「改めて美羽、火燐、雫、翡翠、楓おはよう。昨日アルファ達の改修をした後にこの子達を作ったので、20分程試運転をしていたんだ。」
「…また凛はとんでもねぇ物を作っちまったな。昨日ずっと部屋に籠っていたのはこの為か。多分だけど、こいつらも今の俺達とそう変わらない強さなんだろ?」
「良く分かったね火燐。イータ達も今のアルファ達と同様魔銀級上位位の強さがあるよ。」
凛は美羽達へ挨拶すると軽く経緯を話す。
火燐がそれを拾い凛へ尋ねると、凛はそう答えた。
昨日アルファからゼータ迄の改修を行い、全体的な能力を上げて強さを魔銀級上位に迄上げている。
因みにゼータには翡翠のテンペストアローを参考に、魔力を込めて太いビームの様な矢を放てる様に施した。
それから5分もしない内に紅葉達、それと今日から参加する事になった篝達が訓練部屋へと来るのだが、揃って訓練部屋の惨状を見て絶句するのだった。
ゼータの追加した矢はハイ○ー○ガランチャー的な物で、イオタはイ○コム的な、クスィーは○ァンネル○サイル的な物だと思って頂ければ。
ニューはここでも○達ではなかった…。
ナ○ティブ?見てないのでちょっと分かりませんね←ぁ