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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
死滅の森開拓&サルーン都市化計画編
118/594

115話

ナビは美羽の進化に付随して自分の性能が上がった事が嬉しかったのか、他にもやれる事があるかも知れないとひたすら今でも研究・解析を行っている。


その中で、凛が名付けた事で配下にしている猛毒蜘蛛(ヴェノムスパイダー)の紫水の『蜘蛛の糸』と、ヒュージ(巨大な)スライムから進化して金級の強さになったグラン(偉大な)スライムになったライムの、『吸収・分解』と言った魔物の固有スキルが凛へと反映され、凛も配下の魔物の固有スキルが使える様になった。


紫水の蜘蛛の糸は真っ白で頑丈なので束ねてロープにしても良い。


それに簡単な刃物は通さないので無限収納内でインナーとして編んだ後、凛は領地内にいる皆に配って回った。

肌触りはさらさらで通気性が良く、軽い上に汚れにも強いと良い事()くめだったので皆喜んで着てくれた。


紫水は他に猛毒もあるのだが、凛は使う予定が無いので触らない様にしている。




ライムは進化した事で5メートル程の大きさが3メートル程に迄小さくなったが、全体的に能力が向上していた。


ライムの吸収・分解は魔物を吸収して取り込んだ後に、その取り込んだ魔物の特性を再現したり分解してエネルギーにすると言うスライムの固有スキルだ。

分解は既にあるので使う機会は無いのだが、吸収は凛にとってありがたかった。


これは吸収して魔物を取り込んだ事で、その取り込んだ魔物の()()をナビに記憶させる。

そして魔力を消費してナビの管理の元、その魔物の情報…つまり肉等の一部分や魔物その物を復元する事が可能になった。


まだ今は銀級の魔物までしか復元出来ないが、それでも通常の豚や牛よりも美味しいオークやミノタウロス、更に鶏肉を美味しくした様なコカトリスの肉が毎日全員分の食卓に並ぶ様になり、皆の活力が増した様だ。


コカトリスは翼がドラゴンで蛇の尻尾を持った体長3メートル程の巨大な鶏の様な魔物で、銀級の強さを持っている。

毒や石化のブレスを吐いたり、少し上空に浮いた後に急降下してくる等の攻撃を行って来る。


前に一度、凛が試しに唐揚げを作って食べてみたら普通のよりも美味しかったのだが、火燐を筆頭に肉を好んで食べる者が凛の所は多い。

なので元々少ない在庫しかないコカトリスが、一回の食事で無くなってしまうかも知れないと判断した凛は、中々領地にいる皆へと振る舞う事が出来なかった。




「(はぐはぐ)…前に食べたハンバーグと全然違うな!」


「(ごくん)そうっすね!それにソースが何種類もあるから幾ら食べても飽きないっすよ!コカトリスの唐揚げも美味いっす!」


凛は前からやりたいとは思ったものの少し勿体無くて出来なかったミノタウロスとオークの肉を使ったハンバーグ、それとコカトリスの胸肉を使った唐揚げを実験も兼ね、美羽が目覚めた次の日に200人分位の量を用意した。


ハンバーグのソースはデミグラス、トマト、チーズ、和風、和風おろし、玉ねぎ醤油、照り焼きと用意したので、火燐や藍火を始めとした新しく増えた人も含めた皆にも好評の様だ。

火燐と藍火が凄い勢いで食べていて、他の人達も中々のペースで食が進んでいる。


凛はハンバーグと唐揚げが余ったら無限収納に直すつもりで200人分位の量を用意したのだが、物珍しさもあってか反対に足りなかったので追加で用意する羽目になってしまった。




因みに前日…美羽が目覚めた昨日の夕食は美羽へのお祝いと言う事で、王都から帰った紅葉達を含めて早速建てたばかりの新しい屋敷で盛大に美羽のお祝いをした。

そして美羽にだけネギ尽くしと言う事で、長ネギの照り焼きやねぎ焼き、増し増しにネギが盛られたうどん等を用意した。


「ボク、無事に進化出来たばかりで既に幸せ一杯ですー!!」


美羽は色々なネギ料理を堪能しながら、左手を頬に当てて幸せそうにそう言った。




凛は紅葉達が王都へ訪れた次の日にウタルとサムへフーリガン以外に、王都へ向かいながら街や都市に寄った際に購入した物件に設置したポータルを使い、こちらへ害を与えなさそうな奴隷を購入して行く様に頼んだ。


これは火燐達の協力もあって領地が10キロ程に広がったので森を一旦拓くのを止めた事、

それと今後も人が増えると凛は考えた為、美羽が進化した日の午後に領地の中心に新たに大きな屋敷を構える事にした為だ。


新しい屋敷と訓練部屋は美羽が進化した事で更に空間拡張が行える様になった。

凛は4時間程掛けて見た目は今迄の屋敷の3倍程の大きさの屋敷を建てる。

1階は今迄通りのキッチン、ダイニング、浴室だがそれぞれ広くして、2階から5階をそれぞれが休む為の部屋になる。

休む為の部屋のスペースは1人辺り2畳位だが実際の広さは8畳とそこそこ広くしている。


更にと言うか要望と言うか、男性風呂で誰かが使用している時に凛が入ってくると、凛の前に入っていた人達が凛の姿を見て滅茶苦茶緊張してしまうそうだ。

そして何だか悪い事をしている気になって、早々と風呂から上がらないといけない衝動に駆られるらしいのでどうにかして欲しいと、トーマスを筆頭に懇願こんがんされてしまった。


凛は仕方無く(こちらも要望で、主の部屋だから1番広い部屋にして欲しいとの事)30畳程のスペースの内の10畳分を自分用の浴室として用意した。

後にその事を知った美羽、雫、紅葉の目が光り、この3人を中心にほぼ毎日誰かしら女性もしくは女性()が押し掛けて来る様になる。

1人でゆっくり湯船に浸かるのが好きな凛は、その度に勢い良くバンっと入って来られるので精神的に疲れるのだった。


部屋に入る為の扉の間隔が狭いので少し窮屈感はあるのだが、1000人は住める様な大きな屋敷となった。


凛は夕食後に各訓練部屋に誰もいない事を確認し、亜空間を弄ってそれぞれの部屋の広さを倍にして強硬石の鎧の的も設けた。




そして今迄使っていた屋敷を別館と言う事にして屋敷の隣に移動させ、ポータルも同じ様に移動して本館にある部屋の一角に設置した。

別館は客として来た人をもてなしたり、新たに購入した人達を屋敷組として教育しながらそこへ住まわせる為、新たに奴隷を購入して行った。


勿論、農業や料理、人と接する事の方が得意と言う者がいたので、フーリガンで購入した奴隷も同様にしてそれぞれに割り振る事にした。




時間は戻って美羽が目覚めた日の午前4時半頃、


「…マスター、どうやらボクだけじゃなく白い剣(ブラン)黒い剣(ノアール)も進化したみたいだね。」


美羽がヨグ=ソトースに進化してから体の動きに変化があるかも知れないと思った。

凛は既に玄冬を使って素振りをしていたので美羽は自分もそうしようと思い、進化してから初めて自分の双剣を無限収納から出した。

その際に双剣の形状が今迄よりも少しゴツくなっただけでは無く、武器としての存在感が増していた事に少し不安に感じたのか、素振りをしている凛の元へと向かってそう言った。


「…あ、本当だ。どうやら白い剣(ブラン)ライトブリンガー(光を齎す者)に、黒い剣(ノアール)ダークブリンガー(闇を齎す者)と言うのに変わったみたいだね。…良く分からないけど性能が上がってる。」


美羽は少し不安な表情のまま凛を見つめ、凛はほー、と感心しながら美羽から預かった、進化した美羽の双剣を少し上に掲げながら言った。


凛は軽く美羽の双剣を調べたが、切れ味や性能が上がった以外に不具合等は見受けなかったので、そのまま美羽へと返した後軽く2人で切り結ぶ等の訓練を行った。




午前5時


凛が4時間掛けて用意した新しい屋敷のキッチンは、以前の屋敷と似た構造ではあるがキッチンの割合が増えてかなり広くなった。

その広くなったキッチンで既に料理を始めている凛、美羽、翡翠、楓の4人の元へ、料理が出来る人達が朝食を作ろうと次々に集まって行く。


実は翡翠と楓の2人はこの日は4時過ぎには目覚めていて、美羽が進化から目覚めて新しい屋敷内の一角に設けられた訓練部屋へと繋がる部屋へと向かって行った事に気付いていた。

そして火燐と雫を起こして翡翠の部屋に集めて様子を見ていると、5時前に凛と一緒に戻って来てキッチンに向かったので翡翠と楓は火燐と雫を部屋に残し、凛と美羽に今迄どこへ行っていたのかを尋ねる。




「皆への指導の割合が増えて自分の訓練の時間を確保出来なくなったから、早目に起きて訓練をしていたんだよ。」


「ボクは進化が終わって目覚めたんだけど、近くにマスターがいなかったんだよ。ボクは離れていてもマスターがどこにいるか分かるから、マスターがいる訓練部屋へと向かったんだー。」


「そうだったんだ…。それなら、あたし達も明日から凛くんと美羽ちゃんみたいに早く起きて訓練に参加しても良いかな!?」


「勿論良いよ。翡翠達も教える側であまり自分の訓練の時間無いもんね。」


「やたっ♪楓ちゃん、がんばろうね!」


「はい。火燐ちゃん達にも教えないとですね…♪」


凛と美羽が問いに答えると翡翠が勢い良く挙手をしながら再度凛へと尋ねる。

凛が了承すると翡翠と楓はそれぞれの手を繋いできゃっきゃっとしながら嬉しそうにそう言った。




朝食後の訓練が終わり、その日の残りの午前中の大体は森の探索になったのだが、その時に美羽の武器が進化した事が皆へ伝わる。

紅葉達は自分が進化しても武器がそのままだったので悲しい顔になるが、自分の武器は一緒に進化するかも知れないと思った火燐達が森での討伐にやる気を出す様になる。


そして美羽が目覚めた次の日からの早朝訓練に参加する様になった火燐達は、凛と美羽が放った空間への斬撃ディメンションスラッシュを見て自分達もいつかベヒーモスを倒せる様な技や魔法を用意しようとやる気を出すのだった

本当は昨日と今日ので1話の予定でしたが、加筆に加筆を行ったら2日分になったので分けました(苦笑)

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