101話
「紅葉君達、待たせて悪いね。と言っても全然解決した訳ではないんだけど…。僕とルル君とで話の分かりそうな人に掛け合ってみようと思う。オズワルド君、君達はどうする?」
「私も行きたい所ではありますが、ゴーガン殿がここを離れるのであれば多少であれ紅葉様達の説明が出来る者が必要でしょう。私とこの者はここに残りますよ。君も勿論、それで良いよね?」
「…はい。」
ここにいても埒が明かないと判断したゴーガンは、王都の中から話の分かりそうな人に現状を説明して少しでも好転させようとした。
自分とルルとで王都の中へと入ろうとして商業ギルド副マスターこと、オズワルドにこれからどうするかを尋ねる。
オズワルドはゴーガンとルルだけでなく、自分達まで離れてしまったら周りにいる大勢の人達が間違いなく紅葉達へと向かって来ると判断した。
少しでも紅葉達へと押し寄せて来る防波堤として残ろうと商人の方へと向き、分かっているよな?と言いたそうな表情をしながら同意を求める。
商人は自分も巻き添えをくらってしまう事に対してうわー、嫌だなーと内心思いながらもオズワルドの圧力に負け、頷いたのだった。
暁と旭は方向性は違うもののどちらもかなりの美男子で、月夜と小夜、それにクロエはかなりの美少女だ。
それに紅葉に至っては超が付く程の美少女だし、紅葉達一行はサルーンの人達以外は見た事が無い和服と言う服装の為、確実に目立つとオズワルドは王都に来る前から思っていた。
現に、自分達の周りにいる人達の注目が紅葉達へと向いている事も勿論分かっている。
紅葉達本人は早く護衛を終えて帰りたいと思っているので、周りの人達の関心が自分達に向いている事に対して何の関心も無い様だが…。
それとゴーガンは無かった様だが、オズワルドと商人はちょいちょい紅葉を見てはその度に見惚れていた様だ。
なので自分達の周りの人達に対してその気持ち分かるよ、と少し同情しつつ、ゴーガンがいない間にこれから自分がどう動くかを考える。
ゴーガンは誰から見ても歴戦の戦士と言う風貌をしている為、ゴーガンがいるだけでかなりの牽制となっていた。
フーリガン周辺以外でも勿論紅葉達は注目されていたので紅葉達に絡もうとする輩はいたのだが、その度にゴーガンが目を光らせていたのでほとんど絡まれる事無く王都まで来た。
注目でと言う意味で言えばサルーンを出てからずっとされてはいたのだが、紅葉達は飛んだり跳ねたり走ったりして三次元な動きで進んでいる。
ゴーガンも普通の人が走るよりも速く(時速40~50キロ程)走るし、ルル達は行けーとかそこだー等と言って馬を応援している。
その為、移動している時はほとんどの人が紅葉達を見て驚いた後、一時の間呆けた後に夢でもみているのかと目をごしごししたりして、錯覚かな?と首を傾げる事が多かったのだ。
紅葉達はあまりにも人間離れした動きをしていた為、それが功を奏したのか街や村の外で絡まれる事は無かった様だ。
「助かるよ。それじゃ悪いけど僕達は中へと入るね。恐らく昼を過ぎると思うから、少し離れた所で休みながら待ってて貰ってて良いかな?」
『畏まりました。』
「ありがとう。それじゃルル君、行こうか。」
「ああ、分かったよ。」
ゴーガンがそう言うと紅葉達、オズワルド、商人は了承し、ルルを連れて王都の中へと入る。
ゴーガン達を見送った後、紅葉達は王都の入口から反対の方向を向き100メートル程離れた所へと向かおうとする。
「そこの可愛らしいお姉さん達、王都に入れなくて困ってるのかい?この僕…魔銀級冒険者であるライアンが何とかしてあげようか?」
その途中、金髪セミロングで格好は良いのだが軽そうな性格そうな見た目の男性…ライアンと名乗る者から、主に紅葉に向けて声を掛けられるのだった。