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ゆるふわふぁんたじあ  作者: 天空桜
オーク&ゴブリン編
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9話 1日目

凛が里香に転移させられた日を1日目とさせて頂き、それから時間の経過を記載させていきますね。

凛達は里香の転移魔法により、目の前に広がる森から20メートル程手前の位置に移動していた。


「おぉーーっ!」


凛は後ろを振り向いた事で平原を、そして平原のずっと先には恐らく街があるのだろう、石で組まれた防壁らしきものの一部が見えた事を確認する。

そして凛は辺りを見回した後に地球では見た事がない、大きな鳥の様な生き物(ワイバーン)が遠くの森の上の空を飛んでいたり、薄い水色()をした潰()れた球体()の様な物()が平原をって進んでいるのを見て感動していた。




「ナビ、ここはリルアースのどの辺りになるのかな?」


《ここはリルアースの大陸北西部にある、アウドニア王国と死滅の森の間の平原になります。このまま平原を真っ直ぐ進みますと、アウドニア王国の街サルーンへ辿り着く事が出来ます。》


「今いる場所は王国と森の間の平原って事か。僕達の強さって、人間で言う所のどれ位なのかな?」


魔素量(エネルギー)での強さで表現しますと、マスターは魔銀(ミスリル)級の上位、美羽様は金級の上位、火燐様達4名は銅級になるかと思われます。》


「成程…。火燐達は僕達に会うまでの1ヶ月間、どんな訓練をしてたのかな?」


凛は少し上を向いてしばらくの間ナビと会話のやり取りを行った後、今度は火燐達の方を向いて尋ねる。


「あー、オレ…じゃなかった。私達は1ヶ月間、ひたすら魔力の訓練をしていましたよ。」


「僕達と違って、1ヵ月間ひたすら魔力の訓練だったんだ…。それは精神的に参りそうだね…。」


「そうなんだよ!毎日毎日!ちまちまちまちまと!魔法よりも武器でぶった斬る方がオレには合ってるのによぉっ!!」


火燐はぎこちない様子で凛の質問に答えると、凛はうわぁ…と 言いたそうな嫌な顔で言葉を返した。

すると火燐はくわっと目を見開いた後に凛の両肩に手を置き、

凛を激しく揺さぶりながら吼える様にしてそう叫ぶ。


「あたしは楽しかったですよ!」


「私も…。」


「私もです…。」


しかし翡翠、雫、楓の3人は違ったのかそれぞれそう言っていたのだが、凛は火燐に激しく揺さぶられた事で聞こえてはいなかった様だ。




「あ…ごめん…なさい。オレ…いえ私、凛様に対して馴れ馴れし過ぎましたね…。」


「あぁ~、目が回るぅ~。…もー、いきなりだったからびっくりしたよー。里香お姉ちゃんは火燐達は部下だって言ってたけど、僕はこれから一緒に行動する『仲間』とか『家族』だと思ってるんだ。だから凛様なんて固い呼び方をされるより、普通に凛って呼んで気楽に話す仲になって欲しいんだ。勿論、他の皆もだよ?」


「マスター…分かった!そうさせて貰うね♪」


「凛…分かったぜ!」


「凛。分かった。」


「凛くん、分かったよー!」


「凛君、分かりました…。」


そして火燐は言い終わった後にやり過ぎたと気付いたのかしゅんと落ち込んだ表情となり、凛の両肩から手を離してそのまま3歩後ろに下がってそう言った。


凛は火燐から激しく揺さぶられた事で目を回していたが、直ぐに回復したのかふふっと笑った後に美羽、火燐、雫、翡翠、楓を見ながらそう言った。

美羽は両手を前にやって笑顔で答え、

火燐は右手の人差し指を横にして鼻の下に置いてへへっと笑った後にそう言い、

雫はこくこくと頷きながら答え、

翡翠ははーい!と右手を真っ直ぐ上げながら言い、

楓は両手を前に置いて軽く頭を下げながら答える。




「うんうん。そう言えば火燐達はずっと魔力の訓練をしてたって言ってたけど、武器の説明とかは受けてるのかな?」


「オレはイフリート様から、軽く武器の種類を聞いてるぜ。オレは大剣を使って、こう思いっきり相手をぶった斬りてぇな!」


「私もウンディーネ様から聞いてる。私は魔法が好きだから、魔法の効果や威力を上げてくれる杖を使ってみたい。」


「あたしもシルフ様から聞いてるよー。あたしは弓を使ってみたいかな?」


「私もノーム様から聞いてます。私も雫ちゃんと同じく杖を使いたいですが、私は攻撃よりも補助とか回復の方が好きですね。」


凛は頷いた後に火燐達に尋ねると4人はジェスチャーを交え、それぞれ希望の武器を答える。


「おー、そうなんだ。って事は基本的に僕と美羽と火燐が前衛で、雫と翡翠と楓が後衛になるからバランスは良い訳か。簡単なのだったらこの場ですぐに作れるんだけど、4人共どうす…」


『欲しい(です)!!』


「わ、分かった!念の為に少し離れててね。それじゃ、ナビー!」


《はい。大剣、弓、杖をアクティベーション(有効化)致します。》


凛は腕組みしながら感心した様に言った後に尋ねると、4人はそう叫びながら凄い勢いで凛に詰め寄って来た。

その為凛はたじたじになり、ナビに軽く助けを求める様にしてアクティベーションを発動させる。


凛が今発動させたアクティベーションだが、簡単に言えば万物創造を使って一定の品質で出した物を、量産出来る様にしたスキルだ。

万物創造は食料品以外の物は魔力とイメージ力に応じて良い物を創造出来るのだが、(双剣等のセット品を含む)毎回1点ずつしか創造出来ないと言う欠点がある事が分かった。


その為凛は自主訓練中に、注いだ魔力で良い物が創れる創造魔法よりも劣るものの、ナビのサポートで一定の品質の物を同時に複数創造出来る様にとアクティベーションのスキルを創造する事に。


凛がアクティベーションを発動させてから5秒程経つと、凛から3メートル程離れた4人の目の前に何もない空間から鈍色にびいろの大剣、弓、杖が浮いている状態で現れた。


「きちんとしたのは後日作るからさ。無骨なデザインで悪いんだけど、取り敢えずはそれで我慢してね。」


「分かったぜ。凛、ありがとうな。」


「凛。ありがと。」


「凛くん、ありがとー!」


「凛君、ありがとうございます…。」


凛は軽く苦笑いの表情を浮かべ、それぞれ武器を手に取って確かめている4人へそう言うと、4人は武器を持ったまま凛にお礼を言う。




「さて、こういう冒険が始まった時って、ゴブリンとかオークを退治…とかがお決まり(テンプレ)だと思うんだよね。ナビ、この世界にゴブリンやオークっているのかな?」


《はい。この世界のゴブリンとオークは繁殖欲が旺盛で、見付け次第早急に討伐する様にとなっております。ここからですと、3時の方向2キロメートル程先にゴブリン族の集落が、9時の方向5キロメートル程先にオーク族の集落があります。そして現在、オーク族の集落からおよそ1キロメートル離れた所で戦闘が起きてる模様です。》


「うんうん…って戦闘!?それって誰かがオークに襲われてるって事じゃないのかな!?」


《はい。そこでは天使族の女性が動きのない悪魔族の女性の近くにいる状態でして、その天使族の女性の周りを3体のオーク族が囲む様に配置しております。ですのでマスターの仰る通りではないか、と推察されます。》


「それなら急いで助けに行かなきゃ!!って…火燐達にはナビの言葉が分からないんだった。美羽、僕は先に襲われているかも知れない人達の元へ向かうから、火燐達と一緒に僕が進んだ方向へついて来て欲しいんだ。美羽にもナビからの説明が聞こえたと思うから、進みながらそれを火燐達に伝えて貰えると助かる。それじゃ、僕は先に行って来るね!」


凛は少し上を向いてナビに尋ね、ナビからそう説明を受けた事でうなずいていた。

しかし女性がオークに襲われていると聞いて驚き、再度ナビに尋ねるとナビはリンクも交えて戦闘が行われている箇所の説明を行う。


凛はナビからの説明を聞き終えた後にそう言って走りだそうとしたが、美羽以外にはナビの声が聞こえずにきょとんとした表情だった為、凛は勢い余って前方につまずきそうになる。

凛は美羽にそう伝え終えると美羽からの返事を待たずに身体強化を発動し、急いで女性2人の元へと向かって行った。


「あ…。」


「…もう行っちまった。美羽、凛は焦っていたみたいだが…どうかしたのか?」


「マスターが進んだ方向に向かいながら説明するよ。えっとね…。」


美羽は凛が1人で走って行った事で寂しそうな表情となるが、火燐から声を掛けられた事で考えを切り替えた様だ。

美羽はそう言った後に軽く走り出し、後ろに付いて来た火燐達へ状況の説明をし始める。




「いた!けど…かなり不味い状況みたいだね。急がないと!」


凛が目的地に近付くと高さ50メートル、直径2メートルはありそうな木の根元で、頭から血を流し、横向きに倒れている少女がいた。

倒れている少女は見た目が16歳位、黒髪で右側に寄せたサイドテールの髪型をしており、背中には黒い羽を生やしていた。


倒れている少女の傍では、その少女を庇う様にして良く似た容姿をした少女がオークと戦っていた。

オークと戦っている少女は白髪で左側に寄せたサイドテールの髪型をしており、背中には白い翼を生やしてはいるが、擦り傷や打撲傷等でぼろぼろの状態だった。


凛は戦闘の影響で今にも倒れそうな少女を見て、そう言って更に速度を上げるのだった。

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