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亜人の王  作者: ヒロティー
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第4話 二人の気持ち

俺が亜人たちの仲間になって1週間が経った。

一度亜人たちが連れ去られる前の村に急いで立ち寄り、身軽に荷物をまとめたら世界樹目掛けて俺が怪鳥になり10人ずつ運び1週間かけてついに人間とエルフのいない場所にやってきた。

この一週間でいろんな亜人の方たちと仲良くなった。

特に俺が初めてこの世界に来た時に出会ったアリスとその姉のフィーナは長老の指示で俺のお目付け役という名のメイドのようなものになったので、ほぼ24時間一緒に過ごしている。

二人とも現代日本でいうアイドル級の可愛さなので俺も照れながら対応している。

お風呂の中にまで一緒に入ろうとするので、俺は慌てて二人を外に追い出して風呂に入っている。

二人とも残念そうな顔をしながら「英様なら別に一緒に入っても大丈夫なのに」などと言ってくれるので、童貞の俺には少し難易度の高い問題だ!

それはそうと、ようやく人間もエルフもいない場所までやってきたのでここで小さな町を作ろうとみな力を合わせ木をなぎ倒して家を作っている。

女、子供でも人間の何倍も身体能力があるので町作りに駆り出されている。

俺はというと怪鳥に変身し1週間みなを移動させたので休んでいていいと言われ、木陰で休んでいる。

お昼まで休んで昼から立ち上がり何かしようとするとお目付け役のフィーナとアリスに怒られてしまう。

今日はなんとも歯がゆい一日であった。

夜になり川のほとりで釣って焼いた魚を一番にもらい、みなで食べ神々に感謝しながら夜を過ごした。

長老が「こんなにも穏やかに暮らせる日々は本当に久しぶりじゃ」と言うと周りの亜人たちも気を緩めて「はあー本当に英殿のおかげだー!」と喜び、亜人特有のダンスをして見せてくれた。

これは亜人ならではの恩人を喜ばせようとする行為だそうで、最近ではまったく廃れてしまっていたらしい。

男性は自らの体を鼓舞するように踊り、女性は情熱のごとく高らかに踊っていた。

俺が亜人の仲間になりたいと言ってから1週間、ようやく真の仲間に迎えられた気がした。

宴が終わり、火を消してそれぞれの寝床に戻ると、俺にはしっかりとしたベッドができており、亜人たちの親切にしみじみ感謝する俺であった。


―朝になり小鳥の声に起こされ体を起こそうとすると少し重たかったので両脇を見るとフィーナとアリアが一緒に寝ていた。

俺は朝から心臓バクバクになり、最近の女の子ませ過ぎて半端ないって!と心の中で思いながら、二人を起こさずにそっと川に顔を洗いに行った。

顔を洗ってしばらく朝日を見ていると、強大な木が生えていて浮いている島などもありまさに幻想的な光景であった。

その光景を見て、本当にファンタジー世界にしまったんだなーとしみじみ感じる俺であった。

ふと、元の世界の友達や家族はどうしているのだろうと考え込んでしまう。

数分ぼーとしながら考え込んでいると、そっと隣にフィーナが一緒に座ってくれた。

俺とは対照的にはにかんだ笑顔で俺の腕をそっと自分の胸に当ててきた。

数秒見つめ合う二人・・・

お互い顔が赤くなってきて、フィーナが意を決して目をつぶってこっちに近づいてくる。

ドクンドクン。

俺の心臓がはじけ飛びそうなくらいなっている。

年齢イコール彼女居ない歴の俺にとって人生最後かもしれないチャンスに手が震える。

しかし、俺も男だし勇気を持っていくしかないと思い、目をつぶる。

二人の影が重なりキスしようとした瞬間、ペシという音が聞こえてきた。

目を開けるとアリサが俺とフィーナの間に割って入って来てフィーナのおでこを叩いていた。

「もうお姉ちゃん!あれほど抜け駆けはなしだって言ったのに」と手を腰に置き涙目で注意する。

「アリサのせいで最高のシチュエーションでの私の大事なファーストキスが台無しじゃない!」

フィーナは立ち上がって逆切れしだす。

二人は俺をさて置き、早朝から喧嘩しだした。

童貞な俺にはこの状況をなんとかできるはずもなく、騒動が収まるまで静かに座っているだけであった。


そんなことがあり、お目付け役の二人が喧嘩してしまったので、俺は一人の時間に魔法の修行でもしようとそういった本を持っているかどうか長老に尋ねに行った。

長老に聞くと、そういった物は王都にしかないと言われてしまった。

もう使うこともないからと長老は俺にこの世界のお金をくれ、一人で王都に買いに行くことになった。

お金を受け取る時に、「お目付け役の二人はどうですか」などと聞かれたが、俺はキス寸前までいったことを思い出して少し顔を赤くして「なんでもないです」と答えた。

「まあ少しは脈ありですね!」

嬉しそうに喜んでいた。

「英殿がその気なら、二人ともでもよいのですよ!こっちの世界は一夫多妻制ですからね」

なぜか意味深な発言をして、俺を王都へ送りだしてくれた。


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