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亜人の王  作者: ヒロティー
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第2話 亜人の少女

叫び終わった後、30分程辺りを散策していると、川のほとりで泣いている15か16歳ぐらいの少女に出会った。

よく見ると頭に猫のような耳と尻尾が生えていた。

「尻尾?」

俺は思わず、彼女を見てそう口に出してしまった。

その言葉を聞き、耳をピクピクさせてこっちに振り向いた。

その泣き顔であったが、その顔はまさに美少女で俺は思わず頬を赤らめてしまった。

しかし、少女はうろたえてコケながらこっちを見ていた。

「に、人間!?」

おびえた少女に近づいて、手を差し伸べる。

「俺は結城英ゆうき すぐる。英でいいよ!君の名前は?」

はにかんだ笑顔で自己紹介する。

少女は怖がりながら小さな声で答えた。

「私はアリス、猫の亜人です」

「亜人!?じゃあやっぱりここは異世界なのか!」

俺の言葉に可愛らしい耳をピクピク動かしてこっちを見る。

「もしかして異世界の住人さんですか?道理で亜人の私に抵抗なく手を差し伸べてくれたわけですね」

「アリスちゃんだっけ?もしアリスちゃんが亜人だったら何かあるの?」

俺は不思議そうに質問する。

「アリスと呼び捨てにしてもらってかまいません。亜人は唯一魔法が使えないので人間やエルフに迫害されているのです。私の姉もさっき奴隷商に連れ去られてしまって・・・」

そう言うと、また泣き出してしまう。

「その奴隷商はどの方角に行ったの?」

俺の問に驚いたアリスは「西の方です」と答えた。

「もしかしたら君の姉を助けられるかも」

俺はそう言うと、さっき見た10メートルほどの怪鳥を思い出し想像した。

すると、自分の体が光満ち溢れ怪鳥に変身できた。

そして、少女を乗せ大空に飛び立った。

アリスは必死にしがみ付きながら、指をさした。

「あれです!あの小隊です」

よく見ると奴隷を入れる檻を囲むように15人程の兵隊が騎馬に乗っていた。

「よし!じゃあアリスの姉を助けにいくぞ」

俺は急降下して檻にぶつかり檻を破壊する。

何事かと人間たちは慌てふためいている。

俺はその隙に翼を使い風で馬ごと人間たちを吹き飛ばしていく。

しかし、中には炎の魔法で俺に向かって魔法を放つ者もいた。

これが魔法か!

だが、俺が再び翼を使い、風を起こすと人間たちは呆気なく吹き飛ばされ気を失っていた。

まだ意識のある者たちは「撤退」と叫びながら気を失ったものを引きずりながら馬で逃げて行った。

その光景を見ていた亜人たちは次は自分たちがやられると思ったのか、姿勢を低くしてうずくまっていた。

その様子を見て、俺の背中に乗ったアリサが降りてきた。

「フィーナお姉ちゃん!」

そう叫んで亜人たちのもとに走って行く。

俺と同じぐらいだろうか。

17、18歳ぐらいの白の猫耳の美少女に抱き着く。

「アリサ!よかった無事だったのね!」

「うん!うん!お姉ちゃんよかった!」

そう言いながら、二人は泣きながら抱きしめ合った。

俺はその様子を見て怪鳥の姿を解き、光に包まれながら人間の姿に戻った。

その光景を見た亜人たちは、俺が人間だと知り怯えだした。

「怯えなくていい、俺は君たち亜人を助けるために来たんだ」

その言葉を聞き、アリサは起き上がり亜人たちに説明した。

すると、亜人たちも警戒を解いたのか近寄ってきた。

一番年老いた長老のような亜人が手を握手してきた。

「これはこれは私たち亜人なんかのために魔法騎士団を追い払っていただきありがとうございます」

しわくちゃの顔で泣きながら何度も何度もお礼を言ってきた。

「しかし、なぜ亜人である私どもを助けて下さったのですか?」

亜人の長老の言葉に俺は、はにかんだ笑顔で答えた。

「困って泣いている少女が助けを求めてきたんだ!男が命を懸けるには十分過ぎる理由だ」

俺がそう答えると、後ろにいた30人程の亜人たちも頭を下げて泣きながら感謝してきた。

俺は18年の人生でこんなにも人に感謝されたことがなかったので少し恥ずかしかった。



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