険悪な初仕事
遅くなり申し訳ございません。
夏休みに入りましたので更新ペースを上げたいと思っております。
一週間後、気乗りはしませんでしたが仕方なく仕事にいきました。実はこの日ウォーミングアップのための仕事が用意されていたので行かないわけがなく(というか、行かないとヤバイことになるし…)険悪な仲のまま圭織さんとの初仕事に行かなければならなくなったのです。あのあと圭織さんと仲良くなろうと何度か接したのですが圭織さんはことごとくそれを拒否してきたので仲良くなれるチャンスすらくれなかったのです。
話は変わりますが、このウォーミングアップのための仕事、実はこれ百さんが僕に譲ってくれた仕事でした。僕のためにと、取っておいてくれたらしくなかなか感動的ですねといったら
「やっぱお前、腹黒だな」
と言われてしまいました。悲しい
「何してるんですか、着きましたよ」
「あぁ、スイマセンすぐ降りますから」
「………フンッ」
今のフンッはなんだったのか突っ込みたいとこではありますがまだそれをできるほどの仲になっていないので無理ですね。トホホ
とはいえ、仕事は仕事私情を挟んではいけません。そんなことを考えてそのヤクザの基地の入り口に立ちます。
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その人は丁重にこれから殺しに向かう建物に向かってノックをして入っていった。
私があの人に情や感情を表すことはない。そう思っていた。
「現場に行って見れば彼のすごさはわかると思うよ。」
法務大臣に言われたことが絵空事であると思っていた。
あのときまでは
バアンッッッッッッッッ
その物音が建物から聞こえてきたのはその人がノックをして建物に入って三秒とたたないときのことだった。私はそのとき少し顔がひきつったのを感じた、が
ドオォォォォン
その轟音と共に人が建物の中から扉を突き破って出てきたのである。その人は尋常じゃないぐらいの血を流し、すでに息絶えているようであった。再び入り口に目をやるとそこにいたのは今まで見ていたその人であったが、雰囲気はまるで違うように見えた。それは何の死線も潜ってきていない私でも分かるような明らかなる、そして近くによるだけで気圧されるような殺意の塊であった。
何より驚いたのはその人がたったの二回の音をさせただけで建物内にいた少なくとも30人、多いと50人と情報が来ていたその場所を″掃除″してしまったことであった。
私はこの時初めてその人がスゴいとの感情を持ってしまっていた。
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ふうっ、終わった終わった。
久しぶりの仕事はブランクが出ているのか相手に攻撃体制を二回も取らせてしまった。うち一回は、攻撃を流して弾き飛ばしたが、そのときに急所を打てず扉を破ったそいつは全身打撲で息絶えていた。飛ばす前に殺せなかったのは完全にこちらのミスだこの人を苦しんで死なせてしまったに違いない。
あぁ、こんなの見たら圭織さんに余計嫌われる…
そう思って見た先にいた彼女は僕のことを猛獣のように見ていた。そんなふうに見られるのは最早慣れていたが、衝撃的だったのはそのつぎに言った彼女の一言であった。
「スゴい…」
その一言を聞いた瞬間、僕はたぶん気持ち悪いぐらいの笑顔になっていたらしく、その一つの過程を経たのち、彼女の顔は汚物をみるような顔へと変形していった。